表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第6章 禁術の証拠

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/100

第46話 深紅、再び

旧神殿からの帰路、俺たちは追跡を避けるため森沿いの遠回りを選んだ。

だが、今夜はどうにも嫌な気配が消えない。


「……いる」

 ルナが低く言う。

「後ろじゃない。前」


立ち止まる。

月明かりの差す林道の先に、一人の女が立っていた。


深紅の髪。

黒い軍装。

黄金の瞳。


「セラフィナ」

 俺が呟く。


魔人皇国の将軍は、以前と同じく剣を下げたままこちらを見ていた。


「また会ったな、コーイチ」

「できれば、もっと穏やかな場所で会いたかった」

「同感だ」


その返しは意外だった。

ルナは即座に構え、美咲さんと玲奈も警戒を強める。

だがセラフィナはすぐには動かなかった。


「安心しろ。今夜は斬りに来たわけではない」

「信用しろと?」

「したくなければそれでいい。だが王国の禁術施設を荒らしたのは貴様らだろう」


情報が早い。


「そっちも把握してるのか」

「こちらも追っている案件だ」


セラフィナは一歩だけ近づく。


「レーヴェルト王国は国境付近だけでなく、中立地帯にも禁術拠点を置き始めている。召喚、職業改造、魔物誘導。どれも見過ごせん」


完全に利害が一致していた。

だが同時に、敵対国家の将軍とそういう会話をしている現状が嫌でも異常だと分かる。


「で、何の用だ」

「確認と提案だ」


黄金の瞳が俺を射抜く。


「貴様らが持ち出した証拠、こちらにも一部共有しろ」

「見返りは?」

「王国の動きに関する情報を渡す」


サニアっぽい交渉だな、と一瞬思った。

でも悪くない。


「今ここで即答はしない」

「賢明だ」

 セラフィナは頷く。

「だが急げ。王国は既に第二段階へ入っている」


「第二段階?」

 美咲さんが問う。


「新たな召喚計画だ」

 セラフィナが淡々と答える。

「前回の“成功例”と“失敗例”を踏まえ、より制御しやすい形へ改良したものらしい」


空気が凍る。


「また、やるつもりなの?」

 玲奈の声が震える。


「そのための施設と物資が動いている」

 セラフィナは言う。

「我が国としても放置はできん」


俺は木箱の中身を思い出した。

例外個体の喪失。

第二段階。

全部が繋がる。


「……ふざけるな」

 思わず口から漏れた。


王国はまだ懲りていない。

一度目で何人もの人生を滅茶苦茶にしておいて、さらに次をやるつもりか。

セラフィナはそんな俺を見て、わずかに目を細めた。


「その顔は嫌いではない」

「褒められても嬉しくない」

「褒めてはいない」


相変わらずだ。

だが、以前より話は通じる。


「また連絡を取る」

 セラフィナは踵を返す。

「貴様らが王国を潰す気なら、こちらも利用価値を認めよう」


「そっちも利用する気満々だな」

「当然だ。国とはそういうものだ」


そう言い残し、彼女は夜の林へ溶けるように消えた。

残された俺たちは、しばらく誰も口を開かなかった。

やがてルナが小さく言う。


「また強い女だった」

「うん」

 玲奈が頷く。

「でも今回は、話が通じた気がします」

「王国よりはな」

 俺が答えると、美咲さんが苦く笑った。


深紅の魔人、再び。

そして今度は、敵だけでは終わらないかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ