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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第6章 禁術の証拠

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第45話 禁術の証拠

術者の一人がこちらに気づいた瞬間、ルナが飛び出した。


「行く!」


小柄な身体が一気に間合いを詰める。最初に声を上げた術者の鳩尾へ蹴りが入り、男が机ごと吹き飛んだ。


「侵入者だ!」

「資料を守れ!」


守らせるか。


「玲奈!」

「はい!」


放たれた矢が灯りを落とし、部屋の視界が乱れる。俺はその隙に机へ飛び込み、散乱した書類を掴んだ。

触れた紙から、微かに術式の感触が伝わる。

職業定着補助。


精神補正。

適合率向上。

禁忌指定外部閲覧不可。

黒だ。


「相沢さん、こっちも!」

 美咲さんが木箱の中身を見つける。


中には水晶板と記録媒体、それから小型の陣図石が入っていた。


「持てるだけ持つ!」

「うん!」


だが相手も必死だ。

奥から護衛役らしき男が二人飛び出してきた。軽装だが動きは速い。正規兵じゃない。処理専門の実働部隊だ。

一人が短剣で斬り込んでくる。

俺は腕で流しながら手首へ触れる。潜入、殺傷、制圧。嫌な技能ばかりが流れ込む。

でも使える。

軌道をずらし、肘を逆に取って壁へ叩きつける。


「ぐっ……!」


もう一人はルナへ向かったが、ルナは低く潜って足を払った。床へ崩れたところへ美咲さんの拘束光が巻きつく。


「今のうちに!」

 彼女の声。


玲奈がさらに矢を放つ。術者が詠唱に入る前に、紙束の上へ矢が突き立ち、机ごとひっくり返した。


「これ、全部燃やされたら終わりです!」

「なら先に奪う!」


俺は木箱ごと抱えた。

重い。だが今はそんなことを言っていられない。

その時、部屋の奥の祭壇跡が赤く光り出した。


「……何だ?」

 俺が息を呑む。


フィリアの解析図で見た召喚補助陣に似ている。

術者の一人が叫んだ。


「起動させろ! 証拠を残すな!」


「やばい!」

 玲奈が声を上げる。


陣が暴走しかけていた。証拠を消すための焼却か、あるいは自壊式か。


「撤収!」

 俺が叫ぶ。

「証拠は取った! ここはもう保たない!」


ルナが先に通路へ走る。

美咲さんと玲奈も続く。俺は最後に振り返り、祭壇の光を見た。

そこには、俺たちを召喚した時と似た白い輝きと、歪んだ黒い亀裂が混ざっていた。

あれはまともな術じゃない。

神殿を飛び出した直後、地下から爆音が響いた。

旧神殿の一部が崩れ、夜空へ砂煙が舞い上がる。


「はぁ……っ」

 玲奈が息を切らす。

「危なすぎる……」


俺も肩で息をしながら、抱えていた木箱を下ろした。

中には、王国が隠したかったものが詰まっている。

召喚術の改造記録。

職業付与の補助式。

精神補正の痕跡。

そして俺たちの管理資料。


「これで……」

 美咲さんが震える声で言う。

「言い逃れはできないわね」


俺は頷いた。

ようやく手に入れた。

王国の禁術の証拠を。

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