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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第5章 自由都市アストラ

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第33話 自由都市アストラ

アストラが見えたのは翌日の昼過ぎだった。丘を越えた先に、高い外壁と、内側に詰め込まれた無数の建物が広がっている。王都とは違う種類の熱気が、遠目にも伝わってきた。


「でかいな……」

「うん」

 ルナも珍しく目を丸くしている。

「におい、いっぱい」

「獣人も多いわね」

 美咲さんが門前の列を見て言う。


確かに、人間だけじゃない。獣人、耳の長いエルフ、角を持つ亜人まで普通に列に並んでいる。王国では考えにくい光景だ。


検問は意外なほどあっさりしていた。名前、滞在目的、武装の確認。門番はルナを見ても特に驚かず、簡易滞在札の説明だけをして通してくれた。


門をくぐった瞬間、街の喧騒が一気に押し寄せる。露店の呼び声、鉄を打つ音、香辛料の匂い、聞き取れない言語のざわめき。人の多さに目が回りそうだった。


「王都より、見られてる感じは少ないですね」

 玲奈が小さく言う。

「その代わり、誰も助けてもくれなさそうだけど」

「たぶん、その通りだな」


まずは宿を探したが、現実は厳しかった。安宿はどこも混んでいるか、治安が悪すぎる。中程度の宿は高い。結局、裏通り寄りの狭い宿で二部屋をようやく確保した。


「高い」

 ルナが真顔で言う。

「高いな」

「でも屋根ある」

「それは大事だ」


荷を下ろし、窓の外を見ながら美咲さんが息を吐く。

「王国の外に出たって、やっと実感した」

「俺もだ」


だが、中立都市は楽園じゃない。ここでは、王国の庇護の代わりに、自分の価値を示さなければ生きていけない。


「まずは情報だな」

 俺は言う。

「王国がどこまで手を回してるか、この街で何ができるか、仕事はあるか」

「お金も」

 ルナが付け足す。

「それもな」


追放された無職が、王国から逃れてたどり着いた自由都市。みじめな話のはずなのに、不思議と今はそう思わなかった。ここからなら、何かを作れるかもしれない。そんな予感があった。

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