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海外のショートストーリーズ翻訳集  作者: はまゆう


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10/11

ナイチンゲールと薔薇 オスカー•ワイルド

「赤い薔薇を持ってきてくれたら、一緒に踊ってあげると彼女は言ったのに」若い学生は嘆いた。「僕の庭には、赤い薔薇なんて一輪も咲いていない」

常緑のかしの木の巣から、ナイチンゲールはその声を聞き、葉の隙間から外を覗いて不思議に思った。

「庭中どこを探しても、赤い薔薇がないなんて!」彼は叫び、その美しい瞳に涙を浮かべた。「ああ、幸福なんていうものは、なんて些細なことに左右されるのだろう。僕は賢者たちが書き残したものをすべて読み漁り、哲学のあらゆる奥義を極めたというのに、たった一輪の赤い薔薇がないばかりに、これほど惨めな思いをするなんて」

「ここに、本物の恋人がいるわ」とナイチンゲールは呟いた。「まだ見ぬ彼のことを、私は夜な夜な歌い続けてきた。夜ごとにその物語を星たちに語り聞かせてきたけれど、今、ようやくその姿を目にすることができた。彼の髪はヒヤシンスの花のように黒く、その唇は彼が焦がれる薔薇のように赤い。けれど、激しい情熱のせいでその顔は青白い象牙のようになり、悲しみがその額に刻印を押してしまっている」

「明日、王子が舞踏会を開くんだ」若い学生は独りごちた。「僕の愛する人もそこへ行く。もし僕が赤い薔薇を届ければ、彼女は夜明けまで僕と踊ってくれる。もし赤い薔薇があれば、僕は彼女をこの腕に抱きしめ、彼女は僕の肩に頭を乗せ、その手は僕の手と固く結ばれる。なのに、僕の庭には赤い薔薇がない。僕はただ一人寂しく座り、彼女は僕のそばを通り過ぎていくだけだ。僕に目もくれず、僕の心は張り裂けてしまうだろう」

「本当に、これこそが本物の恋人だわ」ナイチンゲールは言った。「私が歌うものを、彼はその身で苦しんでいる。私にとっての喜びが、彼にとっては苦痛なのだわ。恋とは、なんて素晴らしいものかしら。エメラルドよりも尊く、気品あるオパールよりも愛おしい。真珠や柘榴ざくろで買い取ることもできなければ、市場に並ぶこともない。商人から購うこともできず、金と天秤にかけて量ることもできないものなのだわ」

「楽団はバルコニーに陣取り」若い学生は言った。「弦楽器を奏でるだろう。僕の愛する人は、ハープとヴァイオリンの音色に合わせて踊る。彼女の足取りはとても軽やかで、床に触れることさえないかもしれない。華やかな衣装をまとった廷臣たちが、彼女の周りに群がるだろう。だけど、僕とは踊ってくれない。彼女に捧げる赤い薔薇が、僕にはないのだから」

彼は草の上に身を投げ出し、両手に顔を埋めて泣き崩れた。

「なぜ彼は泣いているんだい?」

尻尾をピンと立てて通りかかった小さな緑のトカゲが尋ねた。

「本当に、なぜかしら?」

日の光を追いかけてひらひらと舞っていた蝶が言った。

「本当になぜかしら?」

雛菊ひなぎくが隣の雛菊に、優しく低い声で囁いた。

「彼は赤い薔薇のために泣いているのよ」とナイチンゲールが答えた。

「赤い薔薇のためにだって!」彼らは叫んだ。「なんて馬鹿げているんだ!」

少し皮肉屋だった小さなトカゲは、声を立てて笑った。

けれど、ナイチンゲールだけは学生の悲しみの秘密を理解していた。彼女は樫の木の上で静かに座り、恋の神秘に思いを馳せた。

突然、彼女は茶色の翼を広げて飛び立ち、空へと舞い上がった。影のように木立ちを通り抜け、影のように庭を横切っていった。

芝生の中央に、美しい薔薇の木が立っていた。それを見つけると、彼女はそこへ飛び、一本の枝に降り立った。

「私に赤い薔薇をくださいな」彼女は声をあげた。「そうしたら、私の最も甘美な歌をあなたに歌ってあげる」

しかし、薔薇の木は首を振った。

「私の薔薇は白いのだ」木は答えた。「海の泡のように白く、山の上の雪よりも白い。だが、あの古い日時計の周りに生えている私の兄弟のところへ行ってみるがいい。彼なら、お前が欲しいものをくれるかもしれない」

そこでナイチンゲールは、古い日時計の周りに生えている薔薇の木へと飛んだ。

「私に赤い薔薇をくださいな」彼女は声をあげた。「そうしたら、私の最も甘美な歌をあなたに歌ってあげる」

しかし、薔薇の木は首を振った。

「私の薔薇は黄色いのだ」木は答えた。「琥珀の玉座に座る人魚の髪のように黄色く、草刈り人が大鎌を持ってやってくる前に、我が世の春と野原に咲き誇る水仙よりも黄色い。だが、あの学生の窓の下に生えている私の兄弟のところへ行ってみるがいい。彼なら、お前が欲しいものをくれるかもしれない」

そこでナイチンゲールは、学生の窓の下に生えている薔薇の木へと飛んだ。

「私に赤い薔薇をくださいな」彼女は声をあげた。「そうしたら、私の最も甘美な歌をあなたに歌ってあげる」

しかし、薔薇の木は首を振った。

「私の薔薇は赤い」木は答えた。「鳩の足のように赤く、海の洞窟で揺らめき続ける大きな珊瑚の団扇うちわよりも赤い。だが、冬の寒さが私の血管を凍えらせ、霜が私の蕾を台無しにし、嵐が私の枝を折ってしまった。だから今年は、一輪の薔薇も咲かせることができないのだ」

「私が欲しいのは、たった一輪の赤い薔薇なの」ナイチンゲールは叫んだ。「たった一輪の赤い薔薇だけ! それを手に入れる方法は、どこにもないの?」

「方法はある」木は答えた。「だが、あまりにも恐ろしくて、お前に告げる勇気がない」

「教えてちょうだい」ナイチンゲールは言った。「私は怖くなんてないわ」

「もし赤い薔薇が欲しいなら」木は言った。「月光の中で音楽を紡ぎ、お前自身の心臓の血でそれを染め上げねばならん。お前の胸をいばらの棘に押し当てて、私に歌を聴かせるのだ。夜通し私に歌い続け、その棘がお前の心臓を貫き、お前の命の血が私の血管に流れ込み、私のものにならねばならんのだ」

「一輪の赤い薔薇のために、死という大きな代償を払うなんて」ナイチンゲールは叫んだ。「それに、命は誰にとってもとても愛おしいもの。緑の森に座って、金の馬車に乗った太陽や、真珠の馬車に乗った月を眺めるのは心地よいわ。サンザシの香りも甘く、谷間に隠れるツリガネソウや、丘に咲くヒースも美しい。けれど、恋は命よりも素晴らしいもの。それに、人間の心に比べたら、鳥の心なんて一体どれほどのものでしょう?」

彼女は茶色の翼を広げて飛び立ち、空へと舞い上がった。影のように庭を通り過ぎ、影のように木立ちを吹き抜けていった。

若い学生は、彼女が残していった時と同じように、まだ草の上に横たわっていた。その美しい瞳の涙は、まだ乾いていなかった。

「元気を出して」ナイチンゲールは叫んだ。「元気を出して。あなたは赤い薔薇を手に入れるわ。私が月光の中で音楽を紡ぎ、私自身の心臓の血でそれを染め上げてみせる。その代わりに私があなたに求めるのは、どうか本物の恋人であってほしいということだけ。なぜなら、恋はどれほど賢い哲学よりも賢く、どれほど強大な権力よりも強いのだから。恋の翼は炎の色、その体も炎のように彩られている。その唇は蜂蜜のように甘く、その息は乳香のよう」

学生は草むらから顔を上げて耳を傾けたが、ナイチンゲールが何を言っているのか理解できなかった。彼は本に書かれていることしか知らなかったからだ。

けれど、樫の木は理解し、悲しみに暮れた。彼は、自分の枝に巣を作ってくれた小さなナイチンゲールをとても可愛がっていたからだ。

「最後に、もう一曲だけ歌っておくれ」木は囁いた。「お前がいなくなると、とても寂しくなる」

そこでナイチンゲールは樫の木のために歌った。その声は、銀の水差しから溢れ出る水のごとく清らかだった。

彼女が歌い終えると、学生は立ち上がり、ポケットから手帳と鉛筆を取り出した。

「彼女には形式フォルムがある」彼は木立ちを歩き去りながら、心の中で言った。「それは認めざるを得ない。だが、感情フィーリングはあるのだろうか? おそらく、ないのだろうな。要するに、彼女は世の大半の芸術家と同じだ。スタイルだけで、誠実さというものがない。他人のために自分を犠牲にすることなどしないのだ。ただ音楽のことだけを考えている。芸術というものが利己的なのは誰もが知っていることだ。それでも、彼女の声にいくつかの美しい音色が含まれていることは認めざるを得ない。それが何の意味も持たず、実用的な役にも立たないのは、なんと惜しいことだろう」

彼は自分の部屋に入り、小さなわらのベッドに横たわって愛する人のことを考え始め、やがて眠りに落ちた。

そして、月が夜空に輝く頃、ナイチンゲールは薔薇の木へと飛び、その胸を棘に押し当てた。夜通し、彼女は胸を棘に押し当てたまま歌い続け、冷たく透き通った月は身を乗り出してそれに耳を傾けた。夜通し彼女は歌い、棘は彼女の胸の奥深くへと突き刺さり、彼女の命の血は体から流れ出ていった。

彼女はまず、少年と少女の心に宿る「恋の芽生え」を歌った。すると、薔薇の木の最上端の枝に、歌が紡がれるにつれて一枚、また一枚と花弁が重なり、驚くべき薔薇が花開いた。それは最初、川面にかかる霧のように青白かった――朝の足取りのように淡く、夜明けの翼のように銀色だった。銀の鏡に映る薔薇の影のように、水たまりに映る薔薇の影のように、その木の最上端の枝に咲いた薔薇は儚げだった。

しかし、木はナイチンゲールにもっと強く棘を押し当てるよう叫んだ。

「もっと近くへ押し当てるんだ、小さなナイチンゲール」木は叫んだ。「さもないと、薔薇が完成する前に夜が明けてしまう」

そこでナイチンゲールはさらに強く棘を押し当て、彼女の歌声はますます高く、激しくなった。彼女は次に、男と女の魂に燃え上がる「情熱の誕生」を歌ったからだ。

すると、薔薇の花弁に、花婿が花嫁の唇にキスをするときの赤らむ顔のような、繊細なピンクの輝きが差してきた。しかし、棘はまだ彼女の心臓に達していなかったため、薔薇の芯は白いままだった。ナイチンゲールの心臓の血だけが、薔薇の芯を深紅に染めることができるのだから。

木は再び、ナイチンゲールにもっと強く棘を押し当てるよう叫んだ。

「もっと近くへ押し当てるんだ、小さなナイチンゲール」木は叫んだ。「さもないと、薔薇が完成する前に夜が明けてしまう」

そこでナイチンゲールはさらに強く棘を押し当て、ついに棘が彼女の心臓に触れた。激しい激痛が彼女の体を貫いた。苦しく、あまりにも苦しい痛みだったが、彼女の歌声はますます狂おしく、激しさを増していった。彼女は、「死によって完成される愛」、すなわち「墓場にあっても朽ちることのない愛」を歌ったのだ。

そして、その驚くべき薔薇は、東の空の朝焼けのように深紅に染まった。花弁の縁も深紅に、その芯はルビーのように赤く輝いた。

しかし、ナイチンゲールの声は次第に途切れがちになり、小さな翼が羽ばたきを始め、その瞳には白い膜が降りてきた。歌声はますますかすれ、彼女は喉が詰まるような感覚を覚えた。

その時、彼女は最後の一際大きな音楽を解き放った。白い月はそれを聞き、夜明けが来るのを忘れて空に留まり続けた。赤い薔薇はそれを聞き、歓喜のあまり身震いし、冷たい朝の空気にその花弁を開いた。「エコー(谺)」はそれを山の紫の洞窟へと運び、眠っていた羊飼いたちを夢から呼び覚ました。それは川のあしの間を漂い、その伝言を海へと運んでいった。

「見ろ、見るんだ!」木は叫んだ。「薔薇が完成したぞ」

しかし、ナイチンゲールは何も答えなかった。彼女は棘を心臓に突き刺したまま、長い草むらの中に横たわり、死んでいた。

そして正午、学生は窓を開けて外を眺めた。

「おや、なんて素晴らしい幸運だ!」彼は叫んだ。「ここに赤い薔薇があるぞ! こんな薔薇、これまでの人生で一度も見ただおぼえがない。あまりにも美しいから、きっと長いラテン語の名前がついているに違いない」

彼は身を乗り出し、その薔薇を摘み取った。

それから帽子をかぶると、彼は薔薇を手に教授の家へと走っていった。

教授の娘は玄関先に座り、リールに青い絹糸を巻きつけていた。彼女の足元には小さな犬が寝そべっていた。

「赤い薔薇を持ってきてくれたら、一緒に踊ってくれるって言ったよね」学生は声をあげた。「これこそ世界で一番赤い薔薇だ。今夜、これを君の胸元につけておくれ。一緒に踊るとき、これが僕の愛を伝えてくれるから」

しかし、少女は眉をひそめた。

「あいにく、私のドレスには合わないわ」彼女は答えた。「それにね、大法官の甥御おいご様が本物の宝石をいくつか送ってくださったの。お花なんかより宝石の方がずっとお金がかかることくらい、誰だって知っているわ」

「おいおい、呆れたな、君はなんて恩知らずなんだ」学生は腹を立てて言い放ち、薔薇を通りへと投げ捨てた。薔薇は泥水の中に落ち、荷馬車の車輪に踏みにじられた。

「恩知らずですって!」少女は言った。「言わせてもらうけど、あなたこそなんて失礼なの。だいたい、あなた一体何様なの? ただの学生じゃない。大法官の甥御様みたいに、靴に銀のバックルさえつけていないくせに」

彼女は椅子から立ち上がり、家の中に入ってしまった。

「恋なんて、なんてくだらないものだろう」学生は歩き去りながら言った。「論理学の半分も役に立たない。何も証明してくれないし、起こりもしないことをいつも語りかけ、真実でもないことを信じ込ませようとする。要するに、全くもって非現実的だ。今の時代、実用的であることこそがすべてなんだから、僕は哲学に戻って形而上学を勉強することにするよ」

そうして彼は自分の部屋に戻り、埃をかぶった大きな本を取り出すと、それを読み始めた。


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