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5.婚約者…?
「それでだ、サック卿」
リフィスに動揺する暇も与えずに、ムーサは話を続ける。
「先に陛下が『婚約者』と申せられたが、今日からそなたたちには、婚約してもらい、常に一緒にいてもらう。」
『婚約者』というのが、先ほどの濃い話のせいで頭から抜け落ちたところだったが、ムーサに拾われた。
正直、まだ動揺やら困惑やら、様々な感情が入り混じるが、目の前には皇帝がいる。
もちろんリフィスが落ち着くのを待ってくれる訳はないと、静かに深呼吸をして心を落ち着かせ、しっかりと皇帝を見る。
「わかりました。その来る日まで、彼女を必ず護ります。」
リフィスの覚悟が決まったその狼のような鋭い目に、皇帝が口を開いた。
「リフィス・サックよ。大災害は言葉通りだが、この帝国民の三分の二は死ぬというのを頭に入れておけ。決して甘く見るな。そなたの大事な人を守りたければな…。シュダリーのように、この帝国の騎士として、灰翼の騎士団長として、務めを果たせ」
その名前を聞き、体がピクリと反応する。そして唇をグッと噛み、皇帝に応える。
「ッハ!陛下の御心のままに…。」
そしてリフィスは不穏な空気を感じながら、【神の子】とともに、自身の屋敷へと向かった。




