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貧乏令嬢は助けた王子様に溺愛される  作者: 美里


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賭けの行方

学校生活とアレン様の侍女としての生活を続けるうち、学期試験の時期が近づいてきた。


休日、自分の部屋で試験に向けて勉強をしていると


コンコン


「リアン?入ってもいい?」

アレン様の声だった。


扉を開けるとアレン様が中に入ってくる。


「おかえりなさいませ。ご帰宅に気が付かず申し訳ございません。すぐお部屋で伺います。」

急いでアレン様の部屋へ向かおうとすると


「大丈夫だよ。リアンとここで勉強してもいい?」

持参している勉強道具を見せながらアレン様が言う。


「こ、ここでですか、、?」

驚くわたしに喜ぶアレン様。


隣に行けばここより広い部屋があるのに…なぜだろう。そう思いながら2人で横に並びながら勉強を始めた。


しばらくしたときに

「ねぇリアン?、僕と勝負しない?」

アレン様は悪戯っぽく笑ってそう言った。

「勝負…ですか?」


「そう。全部で9ある教科、どちらが多く首位がとれるか」

点数高い方、ではなく学年1位の数で勝負をするなんてハードル高そうなことを仰られる…

気が遠くなるような表情をしながら話を聞く。


勝った方が、相手に一つだけ願いを聞いてもらえるという。


家に帰りたい――侍女という立場であれば数日まとまったお休みなんてもらえないだろう。そう思ったわたしは、迷わずその勝負を受けた。


家に帰ったら学校でのこと、侍女のこと、家族に話すんだ。街のみんなとも会いたいし。剣術もしばらくやってないから討伐も気分転換に行きたいなあ…


そして数日後、


「ゲホ、ゲホ…」


睡眠時間を削ってまで勉強に打ち込んだせいか、熱を出して寝込んでしまった。


「アレン様にうつさないようしっかり自分の体調を優先して過ごしてください。」

侍女頭のノアさんに注意されながらベッドで横になる。


ノアさんからはアレン様の世話は他の侍女に任せていると聞いている。


コンコン


ノアさんかな?そう思い扉を開けると

アレン様が扉の前にいらっしゃった。


うつすとまずい!慌てて扉を閉めようとするも簡単に扉は開かれてしまう。


「アレン様…?」

何か行動しないとと思った矢先、目眩を起こしフラッとする。


アレン様がしっかりと抱き抱えてくれ、横抱きの状態でベッドへと運ぶ。


頭の中がポワポワとしている。

何か話しかけられているようだが聞こえない。

すると額に冷たいものが当てられる。


なにこれ、すごい気持ちいい…

それがアレン様の手だとは気づかないわたしは、その額にあるものを両手で掴んで自分の頬に当ててしまう。


「アレン様に勝ったら……おうちに、帰る……」

うわ言のようにそう呟いたのを最後に、意識は闇に沈んだ。


しばらくして目を覚ますと、すぐそばでアレン様が眠っていた。よくみてみると、わたしがアレン様の手を掴んでいた。


「アレン様…!」

ことの状態を察したわたしは思わず名前を呼ぶ。


「リアン…起きたの…?おはよう。」


「もももも申し訳ございません!」

慌てて土下座して謝ると、アレン様はただ嬉しそうに笑うだけだった。


「治ってよかった」

体温を測り熱は無事になくなっていた。


正直、朦朧としていてきちんと覚えていない。ただ、アレン様がそばにいるだけでこんなに安らぐなんて――この気持ち、気づきたくなかった。気付いたところで迷惑かけるのだから。


恋愛経験がないわたしでもわかる。

アレン様を好きになってしまったんだ。


この想いは、隠し通さなければ。

アレン様はわたしを婚約者にしたいと以前言ってくださった。しかし陛下がお認めにならなかった。


それはきっと


身分の違い


貴族のお茶会にすら参加してないわたしが、ドレスなんて持ってないわたしが、国政について無知のわたしがアレン様のおそばになんていられるわけないもの。


侍女としていられるとしても、こんなやましい気持ちを抱いたままそばにいることが学園の令嬢たちに知られたらしたら穢らわしい存在よね。



勝負に勝ったら家に帰る。

寮はまた再度手続きして入れるようにして。

アレン様とはただの同級生として関わろう。


この気持ちは隠し通したほうがいいよね。



――試験は無事に終わり、帰りの馬車のルートがいつもと違うことに気がついた。


アレン様に連れられたのは、豪華な衣服店だった。

華やかなドレスに魅了されていると、好きなものを選んでほしいと言われ、戸惑いを隠せない。


「もうすぐ僕の誕生日パーティーがあるんだ。参加してほしい」

「いえ、わたしは侍女ですので、裏方に……」

「駄目だよ。君からの誕生日プレゼントとして、君のドレス姿が見たいんだ」


仕方なく店内を見渡すと、ひときわ目を引く水色のドレスに視線が釘付けになった。アレン様の瞳の色によく似た、きらめくドレスだった。


「お客様、お目が高いですね。こちらのドレスは昨日入ってきたばかりでしてーー…」


店員さんの話や、アレン様が店員さんと話している会話はあまり覚えていない。


そのあとはわたしの採寸があったり、ドレスに合わせた装飾品もまとめてアレン様がお買い上げされていた。



そして迎えた試験結果――僅差で、わたしの勝ちだった。


勝った褒美の返事を先延ばしにしたまま、誕生日パーティーの日を迎えてしまった。

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