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貧乏令嬢は助けた王子様に溺愛される  作者: 美里


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専属侍女

学園生活に慣れ始めたある日、父とともに王国へ呼び出された。


連休には帰ろうと思っていたが思っていたよりも早く父に会えたのは嬉しかったが、喜んでいる場合ではない。


何事かと緊張しながら向かった先で告げられたのは、まさかの言葉だった。


「息子の侍女に任命する」



、、、は?



「シャノワール男爵、お前の娘は大変優秀であると聞く。息子も今は魔術協会で貢献しているそうだな。」


「お褒めに預かり光栄にございます」


「シャノワール嬢は我が息子と仲がいいと、護衛たちからも聞いている。息子本人からは婚約者候補にと言われたがさすがにすぐの返答が難しい。侍女として息子を支えてくれないだろうか?」


えーと、、、、


「もちろん賃金も出す。寮ではなく王宮で暮らすことにはなるがよろしいか?」


よろしいか?

と言われたところで王の命令に背けるわけもなく


「承知致しました。殿下をお支え致します。」


父もわたしも終始はてな状態のまま話が進み、そうしてわたしの、ドキドキと戸惑いに満ちた日々が始まった。


王室内のおおまかなルールなど、侍女頭のノア様に教えを受け終えたところ、アレン様がお部屋に戻られたことを聞き、急いでお部屋へ向かう。


コンコン

「リアンです。失礼致します。」


扉を開けて中へ入ると難しそうな書類に囲まれているアレン様がいました。

学園内とは違った装いに少しドキッとしながらアレン様の方へと向かう。


「リアン…来てくれてありがとう。ジークは少し部屋を出ていろ。」

アレン様がそう言うと、学園内でも護衛をしているジークが静かに部屋を出ていった。


しばらくして思いがけない告白をされた。

「本当は婚約者として迎えたかった。でも父に反対されて、侍女として迎えることになった。……諦めるつもりはないけどね」


わたしの手を取りアレン様はそう言う。

「あの…どうしてわたしを…?出会ってまだ数ヶ月しか経っていないですし…」


「君は僕の命の恩人であり、初恋なんだよ。」


え…?


「昔、まだ10歳くらいの時かな。初めて討伐に参加した時に瓦礫に足を挟んでしまったんだ。周りに誰もいないし、当時は魔力の使い方すらままならなかった。そんな時に君が現れて助けてくれたんだ。」


微かに覚えているような…覚えていないような…

いや、、、綺麗な男の子の記憶はぼんやりと…


「あの時名前を聞いていなかったのと、あの後は魔力をつけてからギルドに参加しろと言われたのもあってすぐに君を探さなかったんだ。」


少し寂しそうな顔をしながら彼は続けた。


「ようやく魔力を自分でコントロールできるようになって君を探したがいなかった。」


兄のゼノンが学園に入って父の仕事の手助けをしていたから討伐には行けてなかった時期なのだわ…


「ギルドに参加している女の子なら平民なのかと思えばいない。貴族ならばお茶会に参加している令嬢かと思えばいない。そんな時に君の兄と知り合ったんだ。」


「ゼノン兄…ですか…?」

意外な人物が話に出てきたことに驚く。


「彼は君とよく似ている。だから僕はあの時助けてくれたのは彼だったのかと思った。彼の話を聞いて君のことを知った。」


アレン様とゼノン兄が知り合っていたなんて…確かに兄は学生時代でも魔術協会のサポートとして王宮に行くことがあったのかもしれない。


「君は、一度金銭面で学校を諦めようとしたことも彼から聞いた。僕は君に会えるのを楽しみにしていたからそんなこと絶対させないと思っていた。結果、お兄さんも同じ気持ちだったようだし、なにより君が優秀で特待生免除されたんだけどね。」


「僕は、リアンが望むことなんでも叶えてあげたい。あの時は守ってもらったけど次は僕が君を守りたい。僕のそばにいて欲しい。だから今回の侍女の話もお世話してもらいたいではなく、そばにいてほしいって気持ちで考えて欲しい。勝手なこと言ってるのは承知の上なんだけど…」


アレン様がこんなにもわたしを想ってくれていたのが驚きだった。

だって助けたのだってもう何年も前だし、一瞬すぎて絶対忘れてるだろうって思うじゃない。現にわたしは言われるまで忘れていたし…

そう考えていた時、


コンコン


「リアン、アレン様のお食事運び忘れていますよ、廊下に置いておくのでその後はあなたが対応してください。」


その声にハッとさせられた。

「し、失礼しました!お食事を中にお運びしますね。」


慌てて廊下へ行き食事を中へ入れる。

準備をしている途中に


「あー、リアンごめん。今日外で食べてきたんだよね。。」

申し訳なさそうに言うアレン様。


「そうなのですね!ではこちら下げ…」

下げようとした時手を掴まれて


「リアンはまだご飯食べてないよね?」

笑顔でそう言うアレン様。

これは…なにか企んでいらっしゃる……?



――わたしは今、アレン様の膝の上に座っています。

なぜこうなったのでしょう。


「ほら、リアン口開けて?あーん」

アレン様は一口一口丁寧にわたしに餌付けをしています。


「あ、あの…自分で食べられます。」

あまりにも恥ずかしくて膝から降りようとしたところ


「だめ、僕がリアンを甘やかしたいから」

そう言って腰回りを引き寄せられ逃げられないよう掴まれてしまいました。


こんな近い距離でご飯を食べさせてもらうなんて恥ずかしくて堪らない時間が過ぎたのでした。

食べ終えた食事を下げ終え、アレン様の入浴の支度へと向かう。

入浴の手伝いは流石にお断りをしましたが、お風呂上がり、アレン様はなぜか髪を濡らしたままいらっしゃいました。


「アレン様?髪がまだ濡れているようですよ?」

アレン様に近づいてそう伝えると


「魔法での乾かし方教えて欲しい」

と、抱きしめられながらそう甘えて言われたので

そのままの体制で乾かすことにしました。


「火と風で操って温風を調整しながら髪の毛を優しく撫でるだけですよ」

まるで大型犬を扱うかのように優しく髪の毛を乾かしていく。艶やかな金色の髪の毛が風とともにサラッと動く。


「ありがとう。リアンに乾かしてもらうの気持ちいいね。これから毎日よろしくね。」


毎日ですか…

そう思いながらベッドの準備も終えており自分の部屋に戻る。


用意されたわたしの部屋はアレン様すぐ隣だ。

鍵もなく、いつでもアレン様が入ってこられる造りだ。

侍女の部屋と言われていたので簡素な作りかと思えば、わりと可愛らしいインテリアやお洋服が用意されていた。


入浴を終え、授業の予習復習をしベッドに入る。


「これからどうなるんだろう…」


天井を見つめながら考えていたが、緊張と疲労であっという間に夢の中へと眠った。


その夜、わたしの部屋にアレン様がいらっしゃった。眠っているわたしを見つめる。

「ようやく会えたね。僕の恩人。僕の運命の人。……大好きだよ」

そう囁いて、ひたいにキスを落とし部屋を後にした。



――自分の朝の支度を終えると、アレン様の部屋へと向かう。


コンコン


「リアンです。おはようございます。入りますね。」


入るとまだ布団の中で眠るアレン様の姿が。

カーテンを開けて太陽の光が照らす彼はキラキラと輝いているようだった。


「アレン様、朝ですよ、起きてください。…わっ!」

アレン様に近づいて起こそうとしたところ、腕を引っ張られて布団のなかに入り込んでしまった。


「ん…リアンがある…夢じゃない…?」

寝ぼけているのか彼はわたしに抱きついている。

色気の増した寝起きのアレン様にドキドキするのを抑えながら


「ほら、起きてください!学校遅れます!」

こんな姿を学園で熱い視線を送る令嬢たちが見たら卒倒間違いないだろうな…と思いながらシャワーへ促し、また夜の時と同じように髪を乾かす。


朝食はテラスで用意する。

王宮では家族揃って食事をすることがほぼないそうだ。わたしの家では家族揃ってご飯を食べるのが当たり前だったからやっぱり世界が違うのね、と納得していた。


学園へは2人同じ馬車で向かう。

護衛のジークは馬で向かい、ユリシスとカイトは学園で合流するとのことだった。


馬車でアレン様と向かい合う。

目の前に座るアレン様は、やはり美しい。

見ているだけでも眼福である。

するとバチっと目が合ってしまった。


慌てて目を逸らす。

「そんな朝から熱い視線を貰えるなんて照れるな。」

微笑みながらそう言われる。


「僕もリアンのことずっと見ていたい。」

アレン様がこちらを見ている気配を感じて下を向いていると、髪の毛のひと束をすくいあげ、軽く口付けをされた。


「なっ!」

思わず見上げると

「ようやく目が合った」

アレン様が微笑みながらわたしを見つめるのであった。

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