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#822 私はソラナ・アーレントと申します

#822


「どうぞ」

 ハルトは彼女にマイクを手渡す。


 彼女は綺麗な長い黒髪をなびかせながら席を離れて、前に進み出ると自分の名を告げる。


「私はソラナ・アーレントと申します」

 そう言いながら壇上のハルトたちを見るが、その表情は硬い。


 そして、また学生たちに向き直ると言ったのだった。

「この宇宙大学を年度末に卒業します」と。


 宇宙大学では1y期間を2つに分け、各期間で単位を取得して卒業となる。だから今年度末には卒業式があり、同時に修了式も行われることになっている。


 そして現在在籍している学生はちょうどこの卒業という大事な時期にいるということだ。ソラナ・アーレンと名乗った彼女はその場で立ち上がるとハルトたちをまぶしそうに見上げて発言する。


「私の進路希望は宇宙パイロットです」

 その発言に学生たちがうなずく。


「宇宙パイロットになるには、まず宇宙大学の最低でも修士課程、ほとんどの方がその上の博士コースを修得しなければなりません、そしてさらに宇宙飛行士選抜試験に合格する必要があります」


「そこにたどり着けるのは何人ほどですか?」

「はい、この宇宙大学の卒業生の中でも1割ほど、つまり約10倍の競争率なのです」


「この宇宙大学への入学もかなりの難関と聞いていますが?」

「そうです、入学前から考えると実際に宇宙飛行士になることができるのは1万人に一人くらいかもしれません」


「で、聞きたいことはなんでしょうか?」

「宇宙飛行士になるにはそれほどの難関であるのに、ハルト隊長さんはここで学生の募集を行うとおっしゃられました」


「そうですよ」

「私たちのこれまでの苦労を考えると、その道が近道過ぎてよほど危険があるのではないか、とかえって疑心暗鬼になっていますのです」


 ハルトはソラナの意見を聞きながら、うーんと考え込む。宇宙飛行士やその関連食職への道が具体的にあることを示せば、学生はそう多くはなくても、即座にフェニックス隊やスペースレール㈱への進路を考えてくれるのかと安易に思っていたのだ。


「ソラナさんのご意見、ごもっともだと思います、確かにフェニックス隊には常に危険が付きまといますしね・・・」


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