#800 1両の客車なら私の技術をもってすれば、そう時間はかかりませんよ
#800
アリスにはうまくかわされてしまったが、アリスはハルトが元居た世界の話題なのでは?と思うことを突然しゃべりだすから不思議だ。
「ハルト隊長、営業運転ってことになれば、コスモ1号だってせめて10両の客車を準備しなくちゃならないですよね?」
「まあ、そうだな」
「1両の客車なら私の技術をもってすれば、そう時間はかかりませんよ」
「そ、そうか、それは頼もしいな、じゃあ10両はどうなんだ?」
「1両できればあとはコピーするだけなんで、けっこう簡単ですよ」
アリスは自信満々で答える。ならば、ここはアリスにお願いするのが正解だ。
「じゃあ、頼むぞ」
ハルトがそういうとアリスは満面の笑顔で答える。
「フェニックス2号を流用しないコスモ1号10両編成、コスモ2号同じく10両編成、重力圏内用補助機関車2両、ワープトンネル専用補助機関車をもう1両、承りますね!」
アリスはそういうと早くもハルトに背を向けて、できたばかりの車両基地に戻っていく。この調子だとアリスはしばらく旗艦ルミナスに乗り組まずに車両基地の工場で寝泊まりしながらコスモシリーズの新造に励むつもりなのだ。さすがアリスである。
ハルトは迎賓館に戻って、ルミナの居場所を尋ねる。
「レイのかあちゃは旗艦ルミナスにいるよ」
まだうまく話せないレイに代わって、ユナが答える。
ユナはまだ幼いのにSAIとしても賢いほうだとハルトは思う。レイもユナのように賢く育ってほしいものだ。
ルミナが旗艦ルミナスにいることがわかったので、ハルトはビークルに乗らずに徒歩で旗艦ルミナスが係留されているドックに向かう。
フェニックスベースは海岸沿いの大きな岩の岸壁内部に作られている。なので、地下施設同じなのだが、照明がうまく配置されているので、暗さを感じることはない。ハルトは散布を楽しみながら、巨大なドックにたどり着く。
ドックの側壁に設けられたゲートの前に立つと、生体認識によりハルトがハルトであると認証され、ゲートの扉が静かに開く。
ゲートを入るとすぐにエレベータがあるので、ハルトは迷いなく乗り込む。がこんと音がするとするすると上昇し、がこんと停止、扉が開く。




