表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JOKERMAN  作者: ホーリン・ホーク
14/33

14.setting off

「お前さんは何飲む?」

 開店前のカフェレストRamona。

 ビフ・キューズはカウンター越しに顔を突き出した。

 椅子に座るボビィは上目遣いで「う〜ん……トマト、ジュース!」

 それは隣りのジョーの真似だ。

「おや、お前さんも無塩が好きかい?」

「? ……むえん?」

「ふふふ。待ってな」

 ビフはニッコリ笑ってボビィにキャンディをあげた。そしてすかさず特製トマトジュース。得意げにズズンとジョッキ一杯、ボビィの前に。


挿絵(By みてみん)


「うわ!」

「さあ召し上がれ〜!」

 恐ろしく濃厚な赤にシブい顔のボビィ。

「搾りたての旬の健康ジュースだ! こいつを飲めばジョーのようにデッカくなれるぞ! さあ頑張れ! ハッハッハ」

「それ言うなら牛乳」とジョーは吹き出し、並んで座るリリィもクスッと笑った。



 ビフはリリィの車を修理工場へ運ぶ手配を済ませた。

「工場長は、今日返事はできないと。だが明日には直させる。宿をとってあげよう。ジョーの知り合いは特別だ」

 ボビィはジョーと店の奥でダーツを楽しんでいる。


 リリィは考えていた。

 ――あの車を修理して、待ってる時間なんてない。こうしている間もフットプライドがいつ現れるかわからない……。


挿絵(By みてみん)


「……ビフさん。ご面倒おかけして申し訳ありません。本当にありがとうございます。実は私たち急いでいて、待っているわけには。車はまた落ち着いてから取りに来ます。それができない時は処分する形で……」

 リリィはハンドバッグから財布を出した。


「本当にごめんなさい。とても親切にしていただいて、感謝します」

 ビフは痛々しげにリリィを見つめた。

「……そうか」

「駅の場所、教えていただけませんか?」

「ああ。地図を書こう。なぁに近いから直ぐにわかるさ」


 リリィは立ち、ボビィを呼んだ。ボビィは俯いたが、しっかりとジョーに別れを告げた。


「ジョーおじさん、楽しかった。ありがとう」

「俺もだ」

 目尻に皺を寄せ、ジョーは応えた。ボビィは右手を差し出した。

「助けてくれてありがとう。……また会える?」

「ああ。会えるさ」

 その小さな手を、ジョーはしっかり握りしめた。

 ささやかな友情。「会えるさ」というその言葉を信じて、ボビィは満面の笑みを浮かべた。


挿絵(By みてみん)


 リリィは何度も頭を下げ、ボビィの手を引き、去って行った。

 ジョーは静かに店を出る。遠ざかってゆく二人。

 人混みに紛れ見えなくなるまで、ジョーは二人を見送った。見えなくなってからも、彼はしばらくそこに立っていた。



 そして静まり返った店内。カウンターの椅子に腰を下ろすジョー。コップを磨きながら、ビフは彼の表情を窺う。


「ジョー。本当にただの知り合いか?」

「……ああ。道でバッタリの、ただの知り合いさ」

「惚れたのか?」

「いや……そんなんじゃないさ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ