13.anotherside
情報は思いのほか早かった。
インフィラデルから北へ七百キロ、転換の街アナザーサイドの山手に、その車は止まっていた。いや、突っ込んでいた。茂みの中に。
レパードは車に近づき、中の様子を見た。
先ず、二人はいない。荷物もない。周囲にいる気配もない。
少し奥を探ると、草木が微かだが人が行き来した形跡を残していた。先へ進んでみる。進むと、その先には大きな湖が広がった。
土にタイヤの跡。焚き火をしていた、燃えきれなかった木の枝。そして岩陰に陽光を反射する、サングラス。
レパードはポケットから比較的汚くないハンカチを取り出し、それを採取した。誰かが、確かにそこにいたという形跡。それもつい先程まで……。
一方、レオ・フットプライドは一つの手掛かりを入手していた。それはネヴァレンド銀行の〝リリィ・ストーン〟名義の預金口座。
そこには過去三年のうちに年に数回、五十から百万という纏まった金が振り込まれていた。
振り込まれた場所、窓口はアナザーサイド支店。但し、振込人は不明。通帳の写しをじいっと眺めながら、フットプライドは爪を噛む。
――最近のもので八月三十一日……いったい誰が……親族、それともエイブラハムのローリング家……いやいや両家とも精一杯の中流階級。あり得ん。気になるのはアナザーサイドの街。ここはサンダース・ファミリーの領地だ。何か繋がりがあるとでも? まさか、そんなはずは。……考えすぎか。しかし背後に何がある? 今一度リリィの過去を探らねば……。
妙な胸騒ぎを抑えると、やがて鳴り響く電話のベル。フットプライドは受話器を取る。
「何だと? レパード、今何処からだと?」
雑音が入る。レパードは喧しく声を張り上げた。
《ア、ナ、ザー、サイ、ドです! ……聞こえますぅ?》




