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〈勇者サイド〉
「ねぇ、私達はここのママール軍と一緒に戦えばいいのよね?」
「ああ、そうだ。北を包囲したアトラ軍と、西を包囲したスカイム軍にはザンクロス王国軍が兵士を派遣すると言っていた。あの王だ、大丈夫何だろう。」
「ああ、確かにあのザンクロス王の纏ってる気配はリオンに近い。あの王はリオン並に強いんじゃねぇかな。転生すると強くなるのかね?」
「どうだろう、情報が少なすぎて判断が出来ないな。」
「分かったわ。要するに私達はママール軍と行動すればいいのね。」
「そうだな。アーサー王子からの話では明日開戦で、ザンクロス軍の合図で遠距離から一斉法撃して、飛び出してきた天魔族を俺達が各個撃破するらしいぞ。話では妖気を放つ武器を持っているのが上級天魔族が3人いるらしい。そいつらは要注意だ。決して一人で突っ込まない事だ。特にショウヤ!」
「うっ、大丈夫だ。僕もまだ死にたくないから。」
「ショウヤは念のためリオンを連れて来てくれないか?今だったらショウヤも魔力が回復するだろうし、不測の事態になっても動けるメンバーが多いに越した事はないはずだからな。」
「ああ、確かにそうだな、じゃあ。ちょっと行って来ーー。」
「天魔族だぁぁ!!天魔族が攻めて来たぞ!!!!」
ショウヤの言葉をかき消して見張りの兵士の声が風魔法に乗ってママール軍全体に響いた。
「えっ、何!!」
「ショウヤ、直ぐにリオンを、、、。」
ドゴォーーン!!
ソウタの声が爆音と共にかき消され、天幕が吹き飛んだ!!
「キャー!!」
「ぐぁぅぅ」
「うぐっ、皆大丈夫か!」
暴風が落ち着くのを見計らってショウヤが体を起こし屈んだ姿勢のまま皆を見渡し声を発した。
「くっ、やられた。直ぐに魔装だ。」
ソウタも皆の無事を確認するとそう叫んだ。
「「「「魔装!!」」」」
皆がそれぞれの魔装を纏い、立ち上がり周りを見渡した。そこに悲惨な光景が目に入る。あちらこちら兵士達の天幕から煙が上がっている。空には14人の天魔族が手当たり次第魔法をママール軍に打ち放っていた。
「ひどい!!」
イロハの悲鳴にも似た叫びもショウヤの耳には入らなかった。
「はっ!!(キュロットと、エリーナ姫は?)」
ショウヤは直ぐに青揮騎士団、黒揮騎士団、白揮騎士団に有る筈の王子や王女の少し大く紋章の入った青、黒、白の天幕を確認した。
「、、、!?」
天幕の無事が確認出来ショウヤがホッとしたのも束の間だった。
『フハハハ、恐るに足らんわ。虫けら共め!!』
ドスの効いた声が風に乗って響いてくる。よく見れば妖気を纏ったショウヤの魔槍の倍ほどの槍を左手に、右手を地上に向けて水魔法を放っていた。
黒揮騎士団、白揮騎士団の纏まった辺りにキラキラと白い靄が舞い降りた。
「不味い魔銃術!!」
何かに気づいたソウタが慌てて空に向けて魔銃術を5発放ち、白い靄をかき消した、、が、全てではなかった。
間に合わなかった白い靄が地面へと舞い落ちると構えて立っていた兵士や騎士達の膝から下が一瞬で凍りついた。騎士達の悲鳴や呻き声があがった。
それでも魔法の勢いが極寒地がの故か、止まることなく徐々に上へと上がり体を凍り付かせていく。
『誰だ!!俺の邪魔をする奴は!!、、、、、ほう、お前達が勇者か!』
ベルトガンは勇者を見つけるとニヤリと口角を上げると嘲笑した。
『フハハハ、残念だが、妖気を混ぜたからな、、普通の魔法じゃ回復は出来んぞ。、、じわじわ凍りつけばいい。虫けらが恐怖で顔を歪める姿は逆に楽しいわ。』
ベルトガンがどうだ勇者と言わんばかりに絶望とも言える言葉を発した。それを耳にしたショウヤの目にはある人物をとらえていた。
「うっ、嘘だろ!!」
騎士達と同じように膝から下が凍りついたキュロットが、エリーナを捜せばエリーナも同じ状態だった。
姫達の周りも同じ状態で、誰一人動けなかった。皆が皆、体を光らせている。回復魔法を発動しているのだろうが、ベルトガンの言葉通り意味を成していなかった。
呆けるショウヤにソウタや、イロハ、ユイが声をかけるが、ショウヤの耳には入ってなかった。
気付けばショウヤはジャンプしてエリーナに近づていた。
「エリーナ姫!!」
「あっ、ショウ、ヤ、、殿、、、これは、、不甲斐、、ない。」
エリーナな苦痛で額には脂汗を流していた。ショウヤは凍り付いた足下に視線を落とすと顔を青くした。
見えている部位が黒く変色していたのだ。凍傷と言う言葉が頭に過る。
「そんな、こんな短時間で、、。」
「回復、、魔法、も効か、、ない。」
エリーナは俯くが直ぐに顔を上げ周りの騎士達を見渡し何やら決断したように感じた。
ショウヤが何をするのか声をかけようとしたが、その言葉より早く魔手を発動した。
エリーナは魔手で剣を取ると自らの足を切断した。
「姫!!」
ショウヤは叫ばずにはいられなかった。器用に魔手を使い倒れる事はなかったが、今度は自らの回復魔法を放とうとする。
ショウヤは自らの頬を叩き歯を食い縛ると。
「エリーナ姫。僕が。」
エリーナを手で制してショウヤは優しく言葉を投げかけそっと近づき回復魔法を発動した。
それを見ていた周りの騎士達も覚悟を決めると同じように切断と回復魔法を二人一組でしていった。
「すまぬ、ショウヤ殿。」
エリーナは俯きあの話は冗談だった、あの時は変な事を言って済まなかったと言葉続けた。回復魔法で身体欠損を治す魔法はない。エリーナが言わんとしている事がショウヤには痛いほど分かった。ショウヤの為に嘘を付いている事も。
「エリーナ姫。いや、、。」
ショウヤは視線を合わせてくれないエリーナの顔に無理矢理自らの顔を近づた。
「ショウヤ殿、何を、、!?」
ショウヤは涙で濡らしていたエリーナの顔を拭いた。顔に触れられ驚くエリーナの額に軽く口付けし途切れた言葉を続けた。
「エリーナ。エリーナは僕が貰う。キュロットもだ。だから泣くな。、、同情じゃないぞ、僕はエリーナが好きだと気づいたからだ。だから彼奴は許せない。僕に任せてくれ。」
ショウヤはエリーナからゆっくりと離れ頭を撫でると踵を返し今度はキュロットの所にジャンプした。
「ショウヤ、、。」
キュロットの部隊も同じ状況だった。キュロットは既に自らの足を切断し回復魔法を使っていた。
「あっ、ショウヤさん。わたし足が無くなっちゃった、、
あははは。」
キュロットも顔色が悪い、魔力をかなり消費したのだろう。
「わたし魅了、、無くなっちゃったね。あ~あ、残念だよ。残念、、。」
キュロットは残念と呟くと俯いた。
「魔力足りないからリベンジにも行けないや、、、悔しいな、、。ははは。」
ショウヤは黙って近づくとキュロットの頭を撫でるとそんなことないと続けた。
「キュロットは魅了的だ。だからキュロットは僕が貰う。エリーナもだ、だから、リベンジの相手も僕が貰うよ。」
「えっ、、。ショウヤさん」
「だから僕に任せろ!!」
「うん。待ってる。」
今度はショウヤが魔手で頭を押されられるとキュロットに唇を奪われた。いきなりで驚いたショウヤだったが爆発音で我にかえった。
「行ってくる。」
そう言ったショウヤは遠目に見えるベルトガンの背後にジャンプして魔槍を突き刺した。
『ぐっ、何奴!!』
ベルトガンは身体捻り避けたが、避けきれず薄く横腹を掠めた。
「ショウヤ!!勝手な行動するなよ!!」
「どこ行っていたのよ」
「ばかショウヤ!!」
「すまない、皆、でもこいつだけは僕に殺らせてくれ。」
「でも、こいつ上級で手強い、、。」
「ユイ!」
ソウタが首を左右に振ってユイを制した。ここはショウヤに任せようと続けた。
「あと13体いる、俺達は先にそっちに行くぞ。」
「でも、、。」
「大丈夫よ、ソウタがああ言ってる。あっちの方が被害が広がってるよぉ。」
「ショウヤ、任せるんだからしっかり殺りなさいよ。」
「分かってるよ。ユイ。」
ショウヤはベルトガンに視線を向けたまま、ソウタ達に早くあっちに行けと手を払った。
『何を言ってる。お前達は俺の獲物だ。勝手に、、。』
ガッ!!
ショウヤの魔槍ハルバードを妖槍でベルトガンが受け止めた。
「僕一人で十分だ。」
『フン、雑魚がよく吠えるわ。いいだろう。お前からだ、直ぐに片がつく。同じ事だ。』
〈ワカッテイルノカ、イマノママデハ、マケルゾ。〉
「ああ、分かってる魔槍ハルバード。だが、、これならどうだ!!」
【限界突破:中を発動した】
魔力がグッと減ったが、力が溢れてくる。
〈ホウ、オモシロイ〉
ショウヤはニヤリと口角を上げると魔槍ハルバードを投擲した。
『フン。こざかしい。』
ベルトガンは避けるまでもないと妖槍を振って払おうとしたが、ショウヤの魔槍ハルバードが更に一段速くなり、ベルトガンの腹部を貫いた。
魔槍ハルバードは意思がある、当然、緩急も自在だ。
『なっ!!グハッ』
〈フン、キタナイ、ヤリデ、ワレフレルナ〉
「ベルトガンの身体貫いたら一緒じゃないのか?」
貫いたのを確認したショウヤは魔槍ハルバードを手元に召喚した。
〈チガウナ、、、ナマミジャナイト、マリョククエンダロウ〉
「うげっ、彼奴の魔力喰ったのかよ?」
〈ウマクハナイガナ、、ソレヨリ、イイノカ、サイセイ、シハジメタゾ〉
『ちっ。』
「こっちが、ちっだよ。天魔族は、ほんと厄介だ、、なっ!!」
ショウヤはベルトガンの後にジャンプすると足下を狙って横に払った。
ベルトガンは咄嗟に妖槍を縦に防ごうとしたが、、。
『何っ!!ぐぁっ。』
あっさりと妖槍を切断し、ベルトガンの膝から下を切り落とした。
「痛いよなぁ。ベルトガン。」
『ちょこざいな、こんなもの効かぬ。はっ!!』
ベルトガンの足は直ぐに生えてきたが、無理したのだろう、肩で息をしている。
「なんて理不尽なんだ。お前の足は生えるのに、、、姫や騎士達はもう、、。」
『ほう、そんなに気に入ってくれたか、なら。』
ニヤリと笑うとベルトガンは水魔法を発動しようとした。ベルトガンの強がりだった。
敵わないと思ったベルトガンは時間稼ぎをしてダダフガンと合流しようと思ったのだ。
「なら、なんだ。」
ベルトガンの身体が真ん中からずれて二つなった。
『がっ、がっ、、、。』
「燃えて無くなればいい火光魔法ァァァァ!!」
ベルトガンは跡形もなく燃え尽きた。が、ショウヤの顔は晴れなかった。
しばらくするとソウタ達が帰ってきた。
「すまん、我儘言ったな。」
「ショウヤ、お前一人で、よく殺れたな。」
「へぇ、やるじゃん。ショウヤ。」
「まあ、姫様に格好つけたら下手なこと出来ないわよね。」
「ユイ、何故それを、、。」
「いいじゃない別に、、でも見直したよ。」
「そっ、そうか」
「でも、私のリオンには敵わないけどね。」
「ふん。」
「おい、また誰かくるぞ、、数は8だ。」
「残りの天魔族か!?」
ソウタの声に反応して皆が構えを取った。どんどん黒い影が近づいてくる。
「「「えっ。」」」
部隊を捉えれる距離だが攻撃がこない。味方だろうか?と皆が首を傾げていると。
終いには直ぐ近くまで来た黒い影が8つ降りてきた。その内1人だけニコニコしながら近づいてくる。
「おお、流石勇者ですね。ここは被害が、、、大きいけど天魔族は討伐出来たようですね。」
「あっ、貴方は確かザンクロス王の側にいた、、。」
「はい、カラスです。後ろの7人は私の部下のハシボソ、ハシブト、ワタリ、ミヤマ、コクマル、カチ、ホシです。」
後ろの黒ずくめの7人が軽く会釈をした。
「それで、そのカラスさんが何故ここに?」
「いえ、北と西の天魔族の掃除が終わったので、お節介がてら皆様の様子を確認に来た次第です。はい。」
「そうだったのか、、ここはこの通りだ。終わった。それよりザンクロス王の所に行かなくでもいいのか?まだ戦ってるんじゃあ?」
「はい、ご安心を。カルス様の方は開戦して直ぐ終わってます。彼方は全ての魔族を投降させましたので、それはもう、あっさりとでしたよ。あっさりと。」
カラスが詰まらなかったと言わんばかりに眉をハの時にして首を左右に振った。
「魔族が投降?」
「はい。そうです。その行動する様に約束させてましたから。魔族はザンクロス王国で扱うことになります。約束です。約束。」
カラスはうんうんと一人で納得しながら頷いている。
「「「「(ザンクロス王怖ぇぇ)」」」」
「ここも終わったようですので、ここの事は私の方からカルス様に報告しときます。正式にはまた使いが来ると思いますよ。では、私達はこれで失礼します。」
カラスが、ペコリと頭を下げると、後ろの7人もペコリと頭を下げ一斉にザンクロス軍の方へ飛び立った。
「あれ、今のやつらって魔族?」
「いや、違うだろう。」
「何で飛べるんだ?」
「まあ、いいじゃない。それより天魔族が居なくなったのが分かったんだから、皆に回復魔法をかけて回りましょう。」
「ああ、そうだな。確か、リオンは回復魔法得意だったよな。魔力も確か俺達より多い筈だ。
負傷者が多くて俺達だけじゃ、手が回らん。ショウヤすまんが呼んで来てくれ。ショウヤはその、、リオンを呼んで来たら着いてあげてるといいから。」
「すまん。皆ありがとう。」
ショウヤはリオンの所へ転移魔法を発動した。
ーーーーーーーー学生証ーーーーーーーーーーーー
異世界:時の勇者
名前 時任翔也 年齢 18歳 男性
魔装武器:魔槍ハルバード
戦闘能力 450 UP
時空魔装+900《1350》
《スキル・魔法》
・時空魔法:極 ・光魔法:上 ・火魔法:中
・槍術:極 ・収納 ・気配察知 ・気配遮断
・合成魔法 ・魔力回復:下 ・※限界突破:中UP
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ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーーー
ギルドランク E 王立学園1年生
名前 リオン・ガーディン 年齢 15歳 男性
魔装武器:暗黒の剣・暗黒の盾
戦闘能力 672
身体魔強化時【1344】
身体魔強化+無属性身体強化時《2016》
暗黒魔装+1000《3016》
《スキル・魔法》
・暗黒魔法:極 ・魔神:上
・同属魔法発動 ・合成魔法
・並行魔法 ・武神:中
・二刀流 ・忍
・超人 ・身体魔強化
・毒耐性:極 ・大地の加護
・料理 ・収納
・鑑定:下
二つ名:道具屋のパシリ :ボッチ王子
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すみません、勇者サイドのつもりがほぼショウヤ視点になってしまいました。




