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僕はお父様が面会に来てから7日後に無事釈放となった。本当に良かった。ご丁寧に王国騎士が学園寮まで送ってくれたのはいいが、目立ってしょうがなかった。幸い、授業中だったので学生達に会うことなかった。
そして今僕は、ガーディン領へ飛行中だ。だがその足取りは重くリオンはゆっくり飛んでいるがそれでも1時間後にはガーディン領に入る。
今ガーディン領に向かっているのにも理由がある。お父様が面会に来て4日後、お母様から手紙が届いた。
その手紙には僕を心配している事や、体の事、手紙が途切れた事、、、等長々と綴られていたが、要約すると、学園の手続きは済ませてあるから、挨拶したら寄り道せずに真っ直ぐ飛んで帰って来るように、と。僕はその手紙を丁寧に折り畳んで胸のポケットにしまった。
ーー飛んでって、、どう考えても魔装したら飛べる事、、お母様達にバレてる、、よね。
リオンの知らぬ所だが、その手紙の背景にはシルビ達こと専属メイドの間で熾烈なだっこ争いが繰り広げられたのだ。
何処で嗅ぎ付けたのか専属メイド達は、学園までリオンを迎えに行く計画を立てていた。一見、忠誠心溢れ献身的な行動に見えるが、帰りは空中飛行初体験(リオンからお姫様抱っこ)と言う下心満載の行動計画だった。
だがしかし専属メイド達の思惑は、その行動をいち早く感づいたセリアとフローラの手によって軽く握り潰された事は言うまでもない。
ーーガーディン領が見えてきた。もうすぐ着きそうだな。僕の学園スローライフも、、、終わる。、、んっ、あれれ今でもスローライフになってないぞ。
学園では手紙の通り休学申請手続きが終わっていた。お父様だ。手紙にも書いてあったが仕事が早い。せめて挨拶だけでもしなければと思い、学園長室に顔を出したが、学園長もそれなりに地位のある天地族だ。バツが悪そうだった。
お父様はいったい何を話したのだろう。期間については今回は定めないとお父様達で話がついていた。
もうすぐ学園全体は夏休み、つまり長期休暇に入るからその方が良いのではとお父様が提案したみたいだ。
学園長としては、なるべく早く学園に復帰して欲しいとお願いされた。
休学手続きが終えているか確認する事が目的だったので授業には参加しなかったが、すれ違う学生達や遠巻きに僕に視線を向ける者、気になるみたいでちらちらと、声をかけようか、かけまいか迷いの色が見えた。
気にすることじゃないが流石に居心地が悪かった。そう考えると今回の休学は正解だったかもしれない。タイミングよく長期休暇にも入る。長期休暇明けなら僕に対する意識も薄れているだろう。と期待したい。
シーラはまだ、領地から戻って来ていないようだが、この分だと、シーラもそのまま長期休暇に入りそうだ。
僕の事を心配する手紙がシーラから寮に届いていたので返事を書いておく。シャロンやレーナ先輩、アイリスからもかなり心配していた。
何度も面会に行こうとしたが学園から許可が貰えなかったから余計に心配だったそうだ。
外出は必ず学園の許可がいる。えっ?僕は黙って冒険者ギルドに行っているんじゃないかって?そこはクレア先生に許可をもらってるから大丈夫。天魔族に備えてたものをだが気にしたらダメだ。
シャロン達は休学の話になると暗い顔をしていたが最後は笑顔で長期休暇の時に領地に遊びに来て欲しいと言われた。来なかったら迎えに来るそうだ。そんなに気を使わなくてもいいのに。
ーーふぅ、真っ直ぐ帰るように書かれてて、焦ったけど、短時間であれだけ挨拶出来た自分を誉めてあげたい。
ショウヤ達からは開口一番、謝られた。僕の為に魔珠を返還させてしまって逆に申し訳なかったのだが。
僕があまりにも気にするものだから、ソウタから研究は続けれるから心配するなと頭を叩かれた。何でも魔珠のデータは既に取り終えていたらしく今の所、魔珠自体は研究に必要としないと言われホッした。イロハもケラケラ笑ってこくりと頷いていたから間違いないようだ。それに討伐の報酬で魔珠を約束されてるし、どのみち天魔族とは戦わないと行けなかったと。少しでも分散して討伐出来るから逆に良かったとさえ言われた。
ユイは僕の両親に挨拶したいとゴネたが、今回の帰省は半分怒られに帰るようなモノなので勘弁してもらった。
そして、今一番気になっている天魔族討伐。ショウヤ達は明後日からアーサー王子率いる蒼揮騎士団500人、エリーナ王女率いる白揮騎士団500人、キュロット王女率いる黒揮騎士団500人と共にザンクロス王国に向け出発するそうだ。
ザンクロス王国も天魔族を追い込んでるって話だが相当、腕の立つ者でもいるのだろうか?
僕も戦闘に参加する旨を伝え、戦を交える時にはショウヤが僕を迎えに来てくれる事になった。ショウヤは僕の屋敷に1度来ているので問題なく転移魔法が使えるらしい。
ーー懐かしい。ガーディン領の屋敷が見えてきたぞ。お土産のお菓子も忘れずに買ってきた、これで大丈夫だろう。
僕は屋敷の前に降り立つと、緊張でひきつる頬を摘まみ深呼吸をすると扉を開けた。扉の先にはセバスが待ち構えていた。
ーーうわっセバスだ!!
「た、ただいま戻りましたセバス。」
待ち構えていたセバスであったが、飛んで帰って来た為リオンは音もなく屋敷に入った。不意を突かれた形のセバスの顔は驚愕に震え固まっていた。
「セバス?」
「り、リオンぼったま、お、お帰りなさいませ。」
珍しくセバスが発した言葉はカミカミであった。セバスの噛み具合に、僕は頬が緩み緊張がほぐれる感じがした。セバスの後方ではメイド達が僕に気づき慌てて奥へ駆けていった。
ーー走って行ったけど大丈夫?お母様を呼びに行ったんだよね?
固まっている、セバスをどうしようかと思っていると、
「リオン!!」
「「お兄様!!」」
直ぐに僕の名前が呼ばれた。呼ばれた方に視線を移すと、嬉しそうな笑顔のお母様とフローラ、それとレインが早足で僕が立っているエントランスまで出て来た。
「お母様、それにフローラとレインも。ただいま戻りました。」
「「「お帰りなさい、リオン」お兄様」」
そう返してくれたお母様と、フローラ、レインが今度はゆっくりと僕に近づいて来る、僕もゆっくりとだが1歩1歩近づくとお母様は両手を広げ僕を抱き締めた。
「よかった。おかえりリオン。無事帰って来てくれて嬉しいわ。」
よく見ればお母様の目には涙があった。涙を浮かべた目には化粧で誤魔化しているがうっすらと隈がある。思わず「ごめんなさいお母様」と僕が呟くとお母様は更にぎゅっと抱き締めていた腕に力を込めた。
「お母様だけズルいわ、次は私の番です。」
「フローラ、何言ってる次は僕だ。」
フローラとレインの声に僕は心配してくれる人達がいる事に改めて感謝した。
逃げ出そうとしていた自分に対する罪悪感を振り払い、自分を求めてくれる兄弟に頬を緩める。
お母様から手を離し腰を少し落としてフローラとレインに抱きついた。
お母様は名残惜しそうにしていたが、フローラは頬をうっすらと紅く染め、レインはキラキラした瞳で僕を見上げていた。
ポンポンと軽くフローラとレインの頭を触れ、喜びを噛み締めていると頬に痛みが走った。
「痛っ!!」
「もう、私達を心配させたバツですよ。」
お母様は僕の頬を摘まみ、満面の笑みを浮かべていた。その笑顔は泣き笑いにも見えた。
「あはは、リオン戻ったんだな。おかえり。」
お母様の後から笑顔でお父様が声を掛けて来た。僕の側まで来ると肩をポンポンと嬉しそうに叩いた。
「待っていたぞ。」
「はひ、、おほうさま、、、ははいまほどひまひた、、っへほろほろ、はなひてふれませんか?おはあはま」
「ふははは、まだ、まだ、これからだぞ、リオン。といっても疲れたろ先ずは汗でも流してこい。」
何処で待機していたのか、待ってましたとばかりにシルビ、アイカ、イリス、ウルド、エル、オリビア達が現れた。瞬く間にお母様と僕を引き離した。お母様の「もう~」と言う声が聞こえたが、シルビ達が僕を囲んで見えない。
「「「「「「おかえりなさいませ、リオン様」」」」」」
「ただいま皆。」
相変わらずの皆反応が懐かしく、思わず頬が緩む。そう言えば学園に行く前は毎日がこんなだったな。
シルビ「リオン様、背が少し伸びましたね。」
エル「リオン様の笑顔は凶器です」
アイカ「私を誘う、や、やるじゃないか」
ウルド「あらあら、男に磨きがかかってるわ」
オリビア「リオン様私は何時でも」
「ちょっと皆、一遍に話しても何言ってるか分からないって。」
ーーあれ?
皆の顔や手に細かい擦り傷が見える。
「皆、その傷どうしたの?何があった?」
シルビ達は一斉に僕から視線を逸らした。
「ほらほらリオン。早く行ってこい。」
お父様のイタズラ混じりの笑みが見えた。その笑みは、まだまだこれからだぞと物語っていて、どこか楽しげだった。
ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーーー
ギルドランク E 王立学園1年生
名前 リオン・ガーディン 年齢 15歳 男性
魔装武器:暗黒の剣・暗黒の盾
戦闘能力 672
身体魔強化時【1344】
身体魔強化+無属性身体強化時《2016》
暗黒魔装+1000《3016》
《スキル・魔法》
・暗黒魔法:極 ・魔神:上
・同属魔法発動 ・合成魔法
・並行魔法 ・武神:中
・二刀流 ・忍
・超人 ・身体魔強化
・毒耐性:極 ・大地の加護
・料理 ・収納
・鑑定:下
二つ名:道具屋のパシリ :ボッチ王子
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