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学園中が騒然とする中、僕は訳も分からず城の牢屋へ連行された。
ーーあれ、牢屋って騎士団の宿舎のある方じゃなかったっけ?
僕が連行された牢屋は、王城の地下だった。知らなかったが王城の牢屋は6区画に別れていた。知っている方がおかしいか。
ーーへぇ、身分で入る牢屋が違う、、のかな?、何処まで行くんだ。あれれ、どんどん造りが綺麗になっていくぞ。
僕の連行された区画の中はしっかりとした清潔感のある牢屋が4つあった。誰も収容されて居ない綺麗な区画に連行されたみたいだ。
ーーかなり広くて綺麗なんだな。昔僕が住んで居た所より遥かに綺麗でしっかりしている。ベットもあるし、、あれっ、牢番は?
牢屋の格子から首だけ出して区画内を見渡す。
ーーやっぱり牢番が居ない。これはひょっとして逃げ出さないか試されてる?僕なら簡単に出れるんだ。しないけど。
連行した騎士は何も言わずさっさと出ていって、することもないのでベットで横になった。思いの外クッションはしっかりしていた。トイレにはちゃんと扉があるから臭いも気にならない。
ーーここが牢屋じゃなければ快適なんだけど、。
することがないのでどうしても自分の状況を考えてしまう。
ーーはぁ、僕が国家反逆罪、、これって領の皆にも知られるん、、だよね。学園の生徒達皆の前で連行されたもんな。
ーーはぁ、ガーディン家の長男が牢屋になんて、いよいよ、ガーディン家と縁を切るべきじゃないか。もともと、卒業後に冒険者になるつもりだったしな。
ーーでも、先ずはクラスメートや天魔族の問題を片付けてからになるか。
ーーあれ、クラスの皆は天魔族問題が片付いたらどうするんだ?ショウヤ達にも聞いてなかったが、元の世界に帰るのか?んっ?召還魔法ってあるのか?そもそも召喚されて500年以上経っている。帰れたとしてもどうなるんだ?
ーーまあ今の僕には関係ないことか、この世界に転生している訳だし。それにここから出られるかも分からない。
ーーああ、いけない。こんな慣れない所にいる所為かどんどん悪い事を考えてしまう。
ーーんっ!!
奥で扉が開く音が聞こえる。
ーー誰か入って来た?
「行けません姫、お待ちください。」
「ローラン今がチャンスだよ。あの少年を私の隊に入隊させれればお父様も暁騎士団を正式に認めてくれるわ。ローラン!!そこを退きなさい。」
ーーうわっ、あの時の姫様じゃないか。
「しかし、国家反逆罪で収容しているような輩を姫に近づける訳には。姫、罪人を入れて暁騎士団が認めてもらえるとは思えません。お願いです。もっと冷静になって下さい。」
「そんなの分からないわ。ローラン!!あの少年は、リオンとか言う少年は、かなりの神聖魔法使いだったのよ。知らなかったわ。あの時は気取ったエリート学生だと思っていたよ。」
ーー僕、周りから気取ってると思われてるのか、、傷つくなぁ。
「それがどうしたと言うのです姫。神聖魔法使いでどうして入隊に繋がるのですか?そのに他にも神聖魔法使いの学生なら沢山います。」
「お父様達が今後の医療について話している時に、たまたま通りかかって名前が上がっているのを聞いたのよ。お父様が目をつけてるのだもん、きっと何かあるわ。」
「姫、その様な行儀の悪い事はなさらないで下さい。」
「あの時に声をかけていれば、、、それにね。リオンはガーディン家の長男なのに社交デビューすらしてないくらい立場が低いのよ。ローラン!!私も暁騎士団の為にと色々調べたのよ。リオンが立場が低いのは生い立ちによるものだと思うの。」
ーーうそ、あんな姫様でも簡単に分かるんだ。怖いな。
「だからよ。今回は誰にも評価されてないから不満があったのよ。私が暁騎士団で正当な立場を与えてやれば喜んで入隊すると思うの。」
ーーいやいや、全部聞こえてるし、評価なんて気にしてない。むしろスルーして下さい。社交デビューは母様とフローラが許してくれなかっただけだし、そもそも騎士団なんて入りたくもない。
「そうかも、知れませんが。理由になってません。それにその話はその者が罪人になる前の話では?罪人を入隊させて何故騎士団を正式に認めてもらえるのです?」
「退きなさい。大丈夫だから私に任せなさいローラン!!」
「嫌です。上級天地族で固めた我等姫の暁騎士団に罪人を入隊させる訳には行けません。逆に暁騎士団の名が地に落ちます。さあ、戻りますよ。」
「ちょっと痛い、腕つかまないでよローラン。痛いでしょう。」
「何時までもここに居るわけに行けません。」
扉が閉まりユーナ姫とローランの気配が遠のいて行く。正直ほっとした。関わりたくないと思った相手だ。
ーー罪人、罪人言いやがって気分が悪い。そっちが勝手に近づいて来たんだよ。それにしても姫様はどうして僕を入隊させたら正式に騎士団と認めてもらえると思っていたんだ?
考えても何も分からなかったので、また、ベットに横になっていると給仕が夕飯を持って来てくれた。
給仕は綺麗でやたら丁寧な人だった。それからが予想外な事ばかりだった。王城勤め爵位持ち天地族の皆さんが代わる代わる挨拶に来るのだ。
ーー僕牢屋に居るんだけど。罪人なんだよね。さっき散々言われたし。
対応に困った。勝手に僕を自分の領地に連れて行こうとする者までいて焦った。何するんだよ断るのに大変だった。
ーーひょっとしてこれも試されてるのか?簡単に人の誘いに乗る様な奴なのかと、、怖いわ。
そんなことが数日続き、、。
「リオン。久しぶりだな。」
ーーお父様だ。
神妙な面持ちでお父様が僕の牢屋の前に来た。僕は直ぐに立ち上がり姿勢を正した。
「はいお父様。お久し振りです。このような場所で申し訳ございません。」
「ああ大丈夫だ。話は聞いたぞ。勇者様と結託して国家反逆の疑いをかけられているんだってな。」
「はい、ご迷惑をお掛けして済みません。」
「それでリオン。本当にその様な事実はあったのか?」
お父様が真剣な眼差しで僕を見つめている。久しぶりに会うが気軽な反応は出来ない。
「その様な事実はありませんが、失敗した場合そうとも言えるかも知れません。」
ーー西の大陸の天魔族が襲って来る事になるかもしれない。僕達が勝てなかったら、この王国も無事ではいられないしな。
「そうか、、ここに来る前に私も勇者様達と話をした。」
「お父様が?、、では、。」
「リオンに前世の記憶があることか?それとも全属性持ちって事か?」
「は、はい、もうご存知なんですね。黙っていて済みません。」
「いや、いい、これは先に陛下から聞いていた。」
ーーああ、王太子達に話したもんな、その時に陛下に伝わったんだな。
「そうでしたか、、既に、それで勇者様とは?」
「ああ当然、勇者様にも話を聞いたよ。信じられん話だったからな。当初は話すのを渋っていたが、、話を詰めていく内に内容に矛盾が生じてな直ぐに分かった。」
ーーショウヤだろうな、ショウヤが焦ってる姿が目に浮かぶよ。
「そうでしたか。」
「私は正直、リオンお前から、この話を聞きたかった。」
お父様が少し寂しげに目を閉じた。ズキリと胸が痛んだ。何時かは話さなければ、と気づいていたはずなのにズルズルと後に回していた、最悪な結果だ。
「、、、、っ。」
ーーお父様に言葉が返せなかった。本当の事を話すのが怖かった。また家族を失うかも知れないと思ってしまったんだよな。
お父様がこちらに目を向けふっと優しく微笑んだ。
「すまないな。それでリオン先程失敗したらと言うのは魔珠の事や結界の事を行っているのか?」
ーーなんでお父様が謝る?僕は本当の事を黙ってたんだよ。
「、、はい。そうです。」
「魔珠については王国に返還することで勇者様達と話がついてる。これでリオンも近々牢屋から出られるだろ。」
「えっ、魔珠を返還するんすか!!勇者様が?」
ーーなんで。僕が捕まったからなのか。それじゃ、僕は何の為に、、。
「ああ。そうだ。」
ーー天魔族はどうするんだ、ここが危険になる。それにショウヤ達は結界をどうする。ソウタの研究が進むにはまだ時間が足りないよな。
「でも、それでは天魔族に、、お父様は信じられないかと思いますが、天魔族も魔珠を狙ってます。このままだと王城が最悪の事態にもなりかねません。」
「ああ、それも心配するな。その事もちゃんと聞いているぞ。それになザンクロス王国が北の辺境に天魔族を追い詰めたそうだ。その討伐に勇者様達も参加する事が決まった。、、ここだけの話だが、その討伐の報酬で魔珠を正式に勇者様に授けるらしいぞ。」
ーーそうか魔珠を。それで、、、よかった。何れにせよ、天魔族は倒さないといけなかったしな。
「そうでしたか。それなら僕はもう何も。」
「それでだリオン、、、。」
「はい、分かってます。無実になるとは言え僕はガーディン家に泥を塗ってしまいました。覚悟は出来ています。」
ーーせめて最後くらいはお母様にも謝らないとな。
「はっ!?何を言ってるリオン。私がそんな事する訳ないだろ。仮にそんなことを言うものなら私はセリアに、いや、フローラにも殺されるわ。」
「へっ?」
「私が言いたかったのは、ここから出たら1度、ガーディン領の屋敷に帰ってこいと言いたかったんだ。」
「屋敷に、ですか?」
ーーえっ、僕は天魔族を倒さないと、、。
「セリア達がかなりご立腹だ。覚悟しといた方がいいぞ。リオンお前入学してから1度も領地に帰ってないよな。手紙もここ数日送ってないだろう?」
「はっ!!やばいっ。」
ーー天魔族はショウヤに向かえに来てもらえばいいよね。うん。そうしよう、僕も自分の命が大事だ。
お父様がニヤリと口角を上げた。
「私達を心配させた罰だ、甘んじて受けろよ。まあ、もう暫くはここで辛抱だな、っと言っても悪いようには成らないだろ。罪事態も取って付けた様な、、もともと無いような物だ。タチの悪い天地族絡みのな。ガーディン家にも、リオンにも影響はない。今しばらく待ってろ。」
「罪がないようなもの?ですか。」
「そうだ、お前は政治の主導権争いに巻き込まれたんだ。勇者様が現れてそれが表面化したんだ。これもいい勉強だろう。」
「そうでしたか。お父様ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」
「いいから気にするな。リオンは、、もっと、、、まあいい。」
「はい、屋敷に帰ったらお父様、お母様にちゃんと謝ります。」
「リオン!!」
「何でしょう?」
ポンッと僕の頭に手を置いたお父様は、、。
「待ってるぞ。」
そう言って僕の頭をガシガシと乱暴に撫で回した。
「ぐわっ、ちょっとお父様!!」
僕のぐしゃぐしゃになった頭を見て満足すると、笑みを浮かべ牢屋を出ていった。
僕は何気ない父の優しさが何処か懐かしかった。父はゆっくりと歩み寄ってくれている。思ってた以上に僕は不安だったのだ。前世の記憶がある事で、また一人になるのではないだろうかと。家族として認めてもらえないのではないかと。気づけば僕の頬には涙の流れた後が残っていた。
ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーーー
ギルドランク E 王立学園1年生
名前 リオン・ガーディン 年齢 15歳 男性
魔装武器:暗黒の剣・暗黒の盾
戦闘能力 672
身体魔強化時【1344】
身体魔強化+無属性身体強化時《2016》
暗黒魔装+1000《3016》
《スキル・魔法》
・暗黒魔法:極 ・魔神:上
・同属魔法発動 ・合成魔法
・並行魔法 ・武神:中
・二刀流 ・忍
・超人 ・身体魔強化
・毒耐性:極 ・大地の加護
・料理 ・収納
・鑑定:下
二つ名:道具屋のパシリ :ボッチ王子
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新しく
冒険者の僕はスキルを買うので借金がなかなか減りそうにありません
https://ncode.syosetu.com/n6996dr/
始めてます。
こちらは冒険がメインです。
ちょっと見てもいいかな。と思いましたら見てください。
暇潰しにもならなかったらごめんなさいm(__)m




