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〈ママール城、王室〉
「陛下!!大変です。」
宰相のハウスタが珍しく王室に駆け込んで来た。息を切らし額には汗をかいている。
「どうしたハウスタよ!!」
「はっはい、光と闇の魔珠だ何者かに盗まれたと、ハラブラク領とラインハルト領から報告が上がってます。」
「なんだと!!詳しく申せ。」
「はい、報告によりますとハラブラク領、ラインハルト領、共に王令に則り、警戒レベルを最大に引き上げておりました。」
「うむ、ショウヤ殿より魔珠を狙う存在を告げられていた故に、厳重に警戒するようワシが指示したからの。魔法結界の設置にもこちらの宮廷魔法士を派遣したであろう。」
「はい、陛下の指示通り魔珠は離れの宝物庫に移し管理。建物には上級魔法結界を常時展開。警備兵60名を動員し24時間体制で巡回警戒していた様ですが、、、。深夜に強襲があり警備兵は、、、その。」
「警備兵がどうしたのだ、ハウスタ、、。」
「警備兵は全て殺されていたそうです。建物は半壊との事でした。」
「全て殺され半壊だと、魔法結界はどうした?展開しなかったのか?」
「魔法結界は発動していた形跡を残し消滅していたそうです。強襲時の所要時間はたったの10分と報告を受けております。領騎士団が到着時には見るも無惨な光景が広がっていたそうです。」
「これだけの事を起こして、たった10分だと、、、ぐぬぬっ、、九分九厘、てっ天魔族、奴等なのか、。」
「我々は事を甘く見ていた様です。ショウヤ殿の申し出を受けていれば、、。」
「ぐっ。だがな初代王より賜った物を差し出せとは、、他に被害は!?」
「はい、既に1週間経過しておりますが、これといって他には報告は上がっていません。ただ領内は身元の確認やら、現場検証と慌ただしいみたいです。念の為こちらから視察団を送るよう指示しております。」
「そ、そうか、、ご苦労だったな。ハウスタすまぬが、ショウヤ殿を呼んでくれんか。」
「はい、畏まりました。」
ハウスタの返事を聞くとバース陛下はぐったりと椅子にもたれ掛かった。その時であるー。
ーパーンッ!!バリンッ!!
ママール城に張り巡らされた結界が弾け、王室の窓ガラスが割れた。その割れた窓から黒い影が伸びて少年が姿を現せた。
「なっ何奴か!!」「誰か!!」
「「陛下ぁぁ!!」」
王室の前で待機していた近衛騎士2名が窓ガラスの割れる音に反応し扉から勢いよく入ってくると、部屋の入り口まで避難した、王と宰相の前に庇うように前に出た。そして少年を正面に捉えの剣の柄に手を添え何時でも抜剣出来る様に腰を少し落として構えをとった。
「ほう、安心するが良い。今日はママール王国の王に挨拶に来ただけだ。」
ーパーンッ!!
少年が右手の平を向けると激しく閃光が部屋中を走り抜けた。4人はあまりの早さに反応できず全身に閃光を浴びた。
「「「「ぐっっあぁ!!」」」」
閃光が治まり、4人は何処にもケガがないのに安堵したが直ぐに体の異変に気づいた。
「き、貴様何をした!!」「っ、痺れて動けん!!」
「「ぐぬぬっ!!」なん足る不覚!!」
少年は先程までママール王が腰掛けていた。王座に腕を組み座わると視線を4人に戻した。
「ふんっ、そう、身構えるでない。話をしに来ただけだと言ったであろう。下手に騒がれると面倒だ、、、、死体が増えてな。」
「っ!!」
4人が鋭い殺気を放ち睨み付ける。正確には睨む事しか出来ない。バースも魔手の使い手でAランク冒険者並の強さを誇る。宰相ハウスタもまた風魔法の使い手で王宮魔法士の並の腕前がある。近衛騎士はSランクに届きそうな強さを誇るのだが、体が痺れ動けずにいた。
「ふははは、この椅子も悪くないな。ではママール王よ。しかと覚えよ、我はザンクロス王国の王となった、この世界を統べるものだ。今はカルス・ザンクロスを名乗っている。これよりママール王国はザンクロス王国の属国とする。」
「何バカな事を、、ザンクロス王国の王は、、確か。」
「我以外は皆病に伏せている、困ったものよ。しかたなく第4王子たる我が王に就いたのだよ。」
「貴様何をした。それにワシらは同盟を既に結んでおろう。今更属国などに、、。」
カルスがニヤリと口角を上げると、真っ赤な血を彩るような瞳が4人の視線を呑み込んだ。ザンクロス王族固有スキル魔眼である。通常はカリスマ性が上がる程度だが、カルスに至っては自分より戦闘能力が高い者には一時的に、自分より戦闘能力が劣る者は半永久的に眷属化させる。
「「「「ぐあぁぁぁぁ!!」」」」
4人は受けたこともない激痛が目から脳へと刺激した。4人は口を歪め、瞳は真っ赤に充血しながらもがき苦しみ次第に意識を失った。
カルスは雷魔法を解くと4人は崩れるよう床に倒れた。だが、数秒後に4人は何事もなかったように起き上がり、カルスに向かって片膝をついて頭を下げた。
「うむ、ママール王よ、我の命に応えるか。」
「はい、何なりと、、、仰せのままに。」
「そこの近衛騎士2人は部屋の外へ出て待機せよ。そして次に我からの命があるまで誰も通すな。」
「「はっ!!」」
すくっと立ち上がると近衛騎士は王室を出て行った。
「では、次にママール王よ、この王国に滞在する異世界人について応えよ。」
「はい、この王国には今4人の勇者様がおります。」
「4人だとっ!!5人ではないのか!!」
「はい、報告を受けております。勇者様は4人で間違いありません。あと1人いるとすれば我々では分りかねます。ただ心当たりとすれば、前世の記憶があるものが1人、リオン・ガーディンと申すもので、王立学園の1学年におります。この学生はガーディン天爵領の長男になります。」
「ほう、リオン・ガーディンとな。」
◇
ハラブラク領とラインハルト領のグレイとシーラが一時的に領に帰って2日経つ。
僕達はクレア先生に光と闇の魔珠が盗まれた事を聞いていた。
ーーどう考えても天魔族の仕業だろう。
ショウヤは結界塔から帰って来て、何度がママール王と掛け合っていたので大いに悔しがっていたな。
幸いにソウタの研究は順調に行っているみたいだ。
ソウタが居なかったらこの王国はショウヤから何らかの行動を起こされていたのは間違いないだろう。
ーー命拾いしたな、ママール王よ。
なかなか離れようとしないシーラには何かあったら駆けつけるから、その時は必ず連絡をするように、と言って返した。グレイはまあ、大丈夫だろう。
近くに天魔族が居るのは間違いない。残すところ魔珠もショウヤの持っている3つと、ソウタが研究に使っている1つのみとなった。ショウヤとソウタは収納スキルで肌身離さず管理している。今後天魔族がどう行動を起こしてくるか検討がつかない。
ーーソウタの研究に期待するしかないな。僕は暫く静観かな。
今日の午前中は世界史の授業を受けている。授業中の学園は静かなのだが急に学園が騒がしくなった。
何事かと思っているとが鎧を着た騎士達が慌ただしく僕達のクラスに入ってきた。
「リオン・ガーディンはこのクラスか!!」
「ちょ、ちょっと王国の騎士が何事ですか?今は授業中ですよ。」
世界史の中年先生が眼鏡を光らせながら、騎士に歩み寄った。騎士達の視線が僕を捉えた。クラスの皆が僕を見てるから騎士達も分かったのだろう。
「授業中すまぬが、王の勅命である。入らせてもらう。」
世界史の先生を押し退け、騎士達が僕の目の前で立ち止まって四方を囲んだ。
「貴様がリオン・ガーディンか!?」
ーー貴様?
「はい、僕がリオン・ガーディンですけど、、、。」
一人の騎士が紙を広げ読み上げた。
「リオン・ガーディン!!貴様を国家反逆罪で身柄を拘束する。」
「なっ!!国家反逆罪、僕がですか?」
「ふん、とぼける気か、、貴様は異世界人と結託し国家の反逆を企てているのだろう。」
「異世界人、、ショウヤ達とは、。」
「ふん、ほら見ろ。王の勅命である。これ以上抵抗すれば家族まで類が及ぶと思うんだな。」
ーー家族もだと、、。父様、母様、レイン、フローラ、。くっ。
「分かりました。」
「連れていけ。」
「「「「はっ!!」」」」
ふいに、同じクラスのアイリスがこちらを見て勢いよく席から立ち上がるのが見えた。
僕は慌てて首を振って征した。ショウヤにと口パクで伝えたが、首を縦に振ってくれたから多分大丈夫だろう。
ーーでもどうして僕が。
学園中が騒然とする中、僕は訳も分からず城の牢屋へ連行された。
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ギルドランク E 王立学園1年生
名前 リオン・ガーディン 年齢 15歳 男性
魔装武器:暗黒の剣・暗黒の盾
戦闘能力 672
身体魔強化時【1344】
身体魔強化+無属性身体強化時《2016》
暗黒魔装+1000《3016》
《スキル・魔法》
・暗黒魔法:極 ・魔神:上
・同属魔法発動 ・合成魔法
・並行魔法 ・武神:中
・二刀流 ・忍
・超人 ・身体魔強化
・毒耐性:極 ・大地の加護
・料理 ・収納
・鑑定:下
二つ名:道具屋のパシリ :ボッチ王子
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