20
休み明け僕は普段通りカイル、シーラ、シャロンと学園に向かっていた。重い足取りでだ。遠くからでも教室の前に人がいるのがわかる。
ーーああ、やっぱり
当たり前だが僕の祈りは届かなかった。みんなしっかり覚えているのだろう。だってほら、教室の前にレーナ先輩とアイリスが仁王立ちしてドアを塞いでいる。
「リオンどうして、立ち止まるんだ?」
カイルが立ち止まった僕に振り替えった。
「あっ、今もの凄く体調が悪くなったみたいなんだ。」
「リオン大丈夫?」
「本当だわ、リオン何か悪い物でも食べたの?顔色悪いわよ。」
シーラとシャロンが僕に近づき顔を覗き込んでくる。シャロンは僕の背中を大丈夫?と摩ってくれている。
「ほら、リオンくん教室に行くわよ!!」
後ろから凄い力で両手肩を掴まれた、誰だ!!
「「「「クレア先生?」」」
「痛っ!!」
いきなりでシーラ、シャロン、カイルの声が被って聞こえた。痛いんだが、、。
ーークレア先生?
先生は更に肩を掴んだまま強引に後ろに引っ張った、突然の事で僕は後ろに倒れそうになる。がそれをクレア先生が後ろから抱き締めて受け止めた。先生の柔らかいものが当たり息が止まりそうになる。
「大丈夫よ、一応皆には口止めしてあるから。」
クレア先生がにこりと抱きしめた僕の耳元で小さく呟いた。慌てて起きようとするが先生が力を入れて起きないように抵抗している。
「あらあら、急に後ろに倒れるから先生心配しちゃたわよ。リオンくん体調が悪いの?」
先生が引っ張ったんだろ、と言う言葉を必死に飲み込んだ。
「、、先生、ありがとうございます。もう大丈夫ですので。」
シーラとシャロンはしきりに首を傾げ、疑いの目でクレア先生を見ている。、でも、先生のお陰で胸のつっかえが取れた、少しスッキリした、これで教室に向かえるぞ。
「シーラ、シャロン心配かけたね、もう大丈夫だ、なんか良くなった。」
「そう、それならよかったわ」
「うん、よかったよ」
シーラとシャロンが安堵の色を見せた、、だが僕は次の言葉で凍りついた。
「ああ、来たです、リオちゃーん!!」
ーーえっ!!
アイリスが僕の名前を、しかも勝手に短くしてるし、、君はそんな大きな声で叫ぶような子ではなかったはずでは、、。しかもこっちに走って来ている。
「「リオちゃん?」」
ーーうわ、なんか知らんがまずい気が、、。
シーラとシャロンの肩がふるふると震えている。
バフッ!!
シーラとシャロンに気をとられているうちに、止まると思ったていたアイリスがそのまま僕に抱きついていた。
「「あーちょっと!!」貴女!!」
「ちょっと、いきなり何ですかアイリスさん。」
ーーなんだこの展開は、思考が追い付かない。
「アイリスですよ、リオちゃん、ね!!ア、イ、リ、ス。」
抱きついたまニコっとアイリスが顔を上げる。
「・・・」
うっ、女性の笑顔は反則だよな
「分かったからアイリス、離れてくれ。」
「えー、、、嫌です。」
「アイリス離れなさい!!」
「レーナ先輩!!」
「ちぇーです」
しょんぼりしながらしぶしぶアイリスが離れた
「先日は炊き出しお手伝いいただき、ありがとうございました。」
レーナ先輩は僕に軽く頭を下げた、先輩が一瞬睨んだ気がしたが、気のせいか?ふんわりとした雰囲気で御礼の言葉をくれた。
「いえいえ、僕は先生に言われて炊き出しをしたので、御礼言われる資格はないのです。」
「いえ、そう言う訳に行きません、、、あの、、その今日の放課後にまた、治療院に来てください、折入って話したいことがあります。待ってますね。」
そう言うと有無を言わさずレーナ先輩は3年の教室に帰っていった。僕の周りの温度がぐんぐん下がっている。
ーーああ、、この状況を僕にどうしろと、、。
限りなく不機嫌に見えるのが4人いる。こうなったらカイルだ。カイルを使うんだ。
「か、カイルそろそろ中に、、ん!?」
カイルがいない、ふと教室の中を見ると楽しそうにグレイと話をしている。か、カイルゥゥいつの間に!!
このあとの記憶は僕に残ってなかった。なんか朧気に色んな約束させられたような気が、、。気付けば放課後となっていたのだ。
◇
「ごめんなさいね、こんな所に呼び出したりして、でもリオンくんの為でもあるのよ。」
僕は放課後レーナ先輩と待ち合わせした治療院に来ていた、決して変な期待をしたわけではない。
「僕の為?、、ですか?」
レーナ先輩が何を言いたいのかよく分からない。僕には何も心当たりがない。
「そうよ、あなた私の家、、イルミル家の事はご存じ?」
「すみません、知っているのはイルミル天中爵家は聖を司っていると言う事くらいです、それ以上の事は何も知りません。」
入学前に覚えた程度ではこれが精一杯の答えだったが、レーナ先輩は、あまり気にしていないみたいだ。
「そうなの残念ね、、イルミル家は遥か昔、クイール皇国が滅ぶキッカケ、災いの1つとなった聖魔珠を守ってきた家なの。先代ママール王により聖魔珠を賜り人目に触れないように家宝として守ってきたのよ。
聖を司るって言うのはイルミル家は何代も神聖属性の子供しか生まれてこなかったから自然とそう呼ばれるようになっただけなのよね。」
そんな逸話があったんだ、しかもクイール皇国は前世の僕を召還した国じゃないか、魔珠、か、、何故か気になる。
「魔珠ですか?」
「ええ、普段聖魔珠は白く輝くキレイな宝石にしか見えないわ、、、でもそれは魔珠が長い年月の間に大気中の神聖属性の魔力を少しずつ吸収してきた為なの。」
「へぇ、知りませんでした。」
「そして、その聖魔珠を使えば誰でも神聖属性の魔力を得ることが出来ると伝えられているの、つまり、神聖魔法が使えるように成ると言うことなのよね。」
「誰でもですか?」
「そうよ、でもね聖魔珠を使うと魔珠は暫く力を失い石みたいになってしまうの。そして再び元の聖魔珠に戻る為には長い年月をかけて大気中の魔力を吸収しないと行けない、イルミル家にはそう伝えられているのよ。」
「長い年月ですか。」
はあ、と溜め息を吐いたレーナ先輩は僕に真剣な顔を向けてきた。
「そろそろ本題に移るわ、その守ってきた聖魔珠がつい最近何者かに盗まれたのです。」
「えっ、それは大変じゃないですか?」
「そうです大変です、イルミル家とって大問題です。」
「手掛かりはあるのですか?」
「あるわ、確かリオンくんは無属性なのに神聖魔法が使えるわよね」
「えっ!!」
どうやらレーナ先輩は始めから僕を疑っていたみたいだ、ここまできてやっと気付くなんて、なんて情けない。へんな気持ちなんて持ってなかったからな。
「、、、はい、それが何か?」
「正直に話た方が身のためだと思うわよ。」
僕が犯人候補だったとは、なんとか弁明しないと、疑いをかけられただけでもガーディン家に迷惑がかかる。
「何の事を言っているのか分かりませんよ、先輩!!」
「あくまでもシラを切るのですね。」
「シラを切るも何も本当に何の事か分かりませんよ。」
「あなたが聖魔珠を盗んで使ったのでしょ、そして神聖魔法を手に入れたのですわ、そうでしょうリオンくん?」
参ったな候補じゃなかった、神聖魔法を見せたばかりに僕が犯人だと確信しているんだ。
「そんなこと僕はしてませんよ。」
「なら、何故2つも属性を持っているのよ、、普通の人は1つでしょ、、こんなこと普通じゃあり得ないわ!!」
それはスキルのお陰とは言えず、何を言えば分かってもらえるんだ。
「ぼ、僕は普通じゃないのですよ」
ーー苦しい言い訳だな
「人が真面目に話しているのにふざけないで!!」
ーーやっぱりそうなるよな
「ふざけてませんよ、大真面目です信じて下さい。」
「分かりました、、あなたは話せば分かる人だと思っていましたが、仕方ありません。」
レーナ先輩が指をパチンと鳴らした、すると二人の黒装束の男性がレーナ先輩の前に現れた、レーナ先輩の護衛だろうか、忍スキルに頼り過ぎていた。忍スキルに引っ掛からないことがあるなんて、かなりのやり手だろう。
「ウイ、サイ、間違いないわ。そこの少年が聖魔珠を盗んで使った犯人よ、捕まえて頂戴!!」
「お嬢様それは誠ですか、それが誠なら許せぬ、、行くぞサイ!」
「分かりました、では兄上行きます。」
「ち、ちょっと話を聞いてよ」
ウイとサイが腰を低くし短剣を両手に構えた、警告スキルが頭に響いてくる、、僕は慌てて身体魔強化をする。
まだだ、まだ警告がゆっくり鳴り響く、、、魔装はここでは使いたくない。
なら、もうこれしかない。やったことはないが、何となくイメージ出来る。素早く全身に無属性の魔力で全身を包み込む。
「はぁぁあ!!」
無属性魔法、身体強化!!
「ほう、身体強化か。面白い!」
「兄上、余裕こいている場合じゃないぜ、俺のスキルが逃げろと言っている、しかも全力で、、。」
「奇遇だなサイ、俺のスキルもだ、、、、だがお嬢様の手前しっぽを巻いて逃げることは出来んぞ。」
「何ぶつぶつ言っているの、早く捕まえなさい、お父様に報告に行くんだから。」
ドゴンッ!!
ドゴンッ!!
「お、お嬢、様、、そ、それは無、理な、話で、す、、ぜ」
「ちょ、ちょっと何言って、、」
バタン、バタン
「えっ、ウイ、サイ、、ちょっとなんで倒れてるの起きなさいよ」
「いい加減にしてくれませんかレーナ先輩!!」
レーナ先輩が驚き狼狽している、僕も少し頭に来ている。言いたいことは言わせてもらおうかとも思ったが、チラリとレーナ先輩を見る。青い顔をしているがこちらを睨みつけたままだ。
ーーはあ!!
「な、何よ開き直るの?あなたが聖魔珠を盗むからでしょ。」
「だから僕は盗んでません。それに僕が普通じゃないのは本当です。今から説明しますから黙って見てて下さい!!」
レーナ先輩には言葉では通じないと分かった、だがこのままにして犯人扱いのまま学園で騒がれても困るしな。もう、仕方ないよな。意を決して僕はレーナ先輩に全属性魔法発動してみせることにした。
◇
「これで信じて貰えました?僕は神聖魔法だけじゃないんです、全属性魔法が使えるんですよ。」
「そ、そんな、ウソよ、、ウソだわ。信じられない。」
「本当です、たった今レーナ先輩に見せたでしょう?」
レーナ先輩はがくりと膝をついて、そのまま座り込んだ。目の焦点が何処かあってない。
「聖魔珠がこれで帰ってくると思ったのに、、お父様も元気になると思ったのに、、、全然関係ないリオンくんを犯人扱いまでしてしまって、、、私これからどうすればいいのよ。」
先程まで狼狽していたレーナ先輩は今度は静かに瞳を濡らし、力なく俯いていた、、でも僕も犯人は気になる。守っているものを簡単に盗みだせる程、実力があると言うことだ、もしレーナ先輩が本当の犯人を突き止めるとどうなる!?危険だよな!!
「レーナ先輩、僕も犯人捜し手伝いますよ。」
「えっ!?」
「犯人捜しですよ。一応僕も巻き込まれましたから。いいでしょう?」
「犯人?」
「それともレーナ先輩は犯人捜しをやめるのですか?」
「やめない、やめないわよ」
「なら、僕は手伝いますよ、1人だと危ないです。一緒に犯人探しましょう。」
レーナ先輩の表情が明るくなった、さっきまで泣いていたのにもう笑ってる、、けど、思い出したように顔を横に振った。
「でも、私、貴方をリオンくんを犯人にしようとしたのよ。」
「誰にだって間違いはありますよ、だから僕は気にしてません。」
「ほ、本当に、、いいの?」
「はい。」
「ありがとう」
「でもまあレーナ先輩はもう少し人の話を聞いた方がいいと思いますよ。ね。」
「うぐ、ごめんなさい。」
「それとレーナ先輩、この事は僕が全属性持っていることは内緒にしてくださー。」
バアーン!!
激しくドアが開くとそこには仁王立ちの4人組がいた、シーラ、シャロン、アイリス、クレア先生だ。
ーーなっ、何時からいたんだ、もしかして
「聞いたです、聞いたですよリオちゃん、、お姉さまと2人。良い感じにはさせませんですよ!!」
「あの、どこから聞いていたの?」
「リオンが全魔法をレーナ先輩に見せている所よ。」
ーーはい、終わた
「どうして私達に秘密で、レーナ先輩には教えるんですか、おかしいわよね。ね。ちょっとリオン、こっちにいらっしゃい。」
「リオンくん、先生が甘かったみたいね。どうやら慈善活動をいえ、私の助手として卒業まで慈善活動をして貰おうかしらね。」
ーーひぇぇ。
僕はされるがままに皆に連行されるた。でも、ありがたい事に全属性持ちだと知っても今まで通りで嬉しくもあった。
◇
日が暮れ真っ暗な治療院内では、2人の男が目を覚ましていた。
「あ、あれここは?」
「うーん、あ、兄上おはようございます。」
「「・・・」」
「帰るぞサイ」
「帰りましょ兄上」
置いてきぼりだと直ぐに分かったが、お互いその言葉を発する事はなかった。月の光が照らす帰り道は何故か歪んで見える2人だった。
ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーー
ギルドランク F 王立学園1年生
名前 リオン・ガーディン
年齢 15歳 男性
戦闘能力 172【344】
〈魔装時+700〉
《スキル・魔法》
隠蔽・暗黒魔法:極
隠蔽・魔神:大
隠蔽・同属魔法発動
隠蔽・合成魔法
隠蔽・並行魔法
隠蔽・武神:中
隠蔽・二刀流
隠蔽・忍
隠蔽・超人
隠蔽・身体魔強化
隠蔽・毒耐性:上
・神聖魔法(魔神)
・料理
・収納
・鑑定:下
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