17
学校に入学して5日経った。
学園生活最初の休みが来た。休みは週末に2日あるが、今月から1日は慈善活動をしないといけない。
この一週間は、剣術の授業で男子5人に囲まれると言うハプニングがあった、ひたすら避けていたら、勝手に疲れて倒れてくれた。ちょいと脅すと調子に乗っていたから少し痛い目にあわせてやろうと思っただけだって直ぐに口を割った。
ーー物騒だ。
ふと、横を見るとカイルが隣で頷いていたから「服装が乱れてるぞ」と着ていた訓練用上着を訓練用ズボンにキッチリ入れてシーラ達女子の所に連れていってあげた。
カイルは「やだーその格好」と笑われていたが、どこか満足気だった。変な性癖に目覚めなければいいのだがと少し反省した。
1週間なんてあっという間だ、早いもので、今日は炊き出しの日。慈善活動の日だ。今は男子寮の前でクレア先生を待っている。
「リオンくん、ちゃんと待ってたわね。」
「よろしい」と頷くクレア先生は何時ものスーツでは無く、真っ白で左胸辺りに学園エンブレムの刺繍が入ったフード付きローブを着ている。学園ローブは薄い素材で先生にサイズが合っているのか?体のラインがハッキリと出ている。
ーーもう少し大きいサイズのローブを着た方が、、。
「先生は、、今日の活動はそのローブを着でするんですね。」
クレア先生はくるりとその場で回りポーズをとる。先生ってこんな性格だったつけ?、、そんなに胸を張らないで欲しい、目のやり場に困る。
「ふふふ、似合うでしょう、、、今日は国民の人への治療と炊き出しだから、学園指定の学園ローブの方がいいのよ。はい、これはリオンくんの分ね」
先生はそう言うと、その学園ローブを僕に被せた、僕のローブは普通だ、ゆとりあるサイズで締め付け感はない。。
「、、、、って、先生自分で出来ます、ああ、ちょっと抱きつく必要はないでしょ。」
「まあまあ、難いこと言わないの、ね!」
「ね!!じゃないですよ、、もう、はい、行きましょうよ。」
僕と先生は学園の中でも正門の近くにある建物、教会みたい造りの建物に着いた。
「ここよ、、あっ皆いるいる、レーナちゃん!!」
先生が元気に手を振る、僕も一緒にって、、知り合いでもないのに恥ずかしいだけだ。
「クレア先生、遅いですよ、皆待っていました。」
神聖魔法科のメンバーは3年生まで入れて21人男子8人女子13人だ。皆、学園ローブを着ている。先生の隣で学園ローブを着た僕を不信に思ったのかレーナさんと呼ばれた生徒がいや、神聖魔法科の生徒が僕を見ている。
「そうそう、みんな、この子はリオンくんと言って私が担当してる1ーCクラスの生徒よ。今日から1ヶ月間慈善活動を手伝ってもらうの。皆もどんどんリオンくんを使って頂戴ね」
ーー使って頂戴って、炊き出しだけだよね。
「えっと、ご紹介に預かりました僕はリオンと言います。1年です。とある理由で炊き出しのお手伝いにきました。今日はよろしくお願いします」
ーー料理スキル持ってる事は別に言わなくていいよね。
「私はレーナ・イルミル、この神聖魔法科の取りまとめをしているの。学年は3年だからリオンくんより先輩になるわ、でも気にせずに今日はよろしくね」
茶色い髪を後で束ねた清楚な感じの人だ、美人さんだ、というか流石は天地族が多いこの学園は全体的にレベルが高い。
テキパキとレーナ先輩の指示で準備が整っていく。暫くすると学園治療院を開く時間になった。
開院すると直ぐに外で待っていた人達が入ってきた。怪我をしている人、病気の人、お腹が空いている人、無料で治療とご飯が食べれるので、あっという間に建物内は人で一杯になる。
ーー僕が荷物持ちしていた時にもしていたのだろうか?
「先生、この学園治療院はいつ頃からしてるのですか?」
「えっと、私が就任して建物を改修してからだから。そうね、半年くらい前からね、、みんなに治療と神聖魔法の実践をさせたくて始めたのよ。国民の為にもなるし、生徒達も良い経験を積めるの。」
ーーそうたったんだ。
先生の対する好感が上がった。僕が荷物持ちをしていた頃にあれば、僕は毎週来ていただろう。毎日お腹が空いていたもんね。お腹が空くのは辛い、皆の為にも料理スキルを使って体に優しい美味しいものを食べさせないと。
リオンは分かっていなかった、この決意が、みんなの胃袋を掴んでしまう事に。
「先生!!僕も炊き出し頑張ります。」
「ふふふ、よろしくね、じゃあ、私は治療にいってくるわ。結構、人が多くてなって、、生徒だけじゃ対応できなくなってきたみたいなの、」
先生はそう言うと治療にあたっている生徒達の方に行った。
ーーさてと。
今日の献立はスープとおにぎりとの事だが、、材料はある。料理スキルを発動した。
ーーおお!!
料理スキルは凄い、作りたと思う料理をイメージして作りたいと思えば大まかな作り方、料理方法が分かってしまう。あらゆる料理に携わりマスターした人が取得出来るスキルなのではと思う。
チラリと皆を見ると手際よく4人体制で、先生はレーナ先輩と2人体制で治療している。国民もキチンと並んで待っている。
ーー僕も頑張らないと。
早速、僕も奥に入りスープとおにぎりを作り始めた。料理スキルの恩恵で自分でも信じられないくらい手際よく料理している。材料はボアの肉と根菜を入れ、調味料で味を整えていく。前世のブタ汁らしいボア汁と、塩おにぎりだ。
◇
「リオンくん、美味しそうな匂いがするけど、そろそろ炊き出しを配ってくれない、治療が終った人達が、お腹を空かせて待っているわ。」
待合場を覗くとかなりの人が炊き出しを期待して、列をなして待っている。
「分かりました。今から配ります。」
ボア汁は大鍋4つ塩おにぎりは大皿2つに山積み作ったかなりの量になってしまった。超人スキルを使ってボア汁と塩おにぎりの大皿に待合室まで運んだ。並べてあるテーブルには既に木のお碗が準備してある。国民のみんなとテーブルを挟んで立ちお椀にボア汁を注いでいく。
「皆さんお待たせしてすみませんでした、1人、スープ1杯と塩おにぎり1個です、受け取ったら後ろの方に座ってゆっくり食べてください。」
僕はどんどんボア汁と塩おにぎりを手渡していく、皆からおいしいと声が聞こえてくるが、一向に帰ろうとする気配がしない。見かねたクレア先生が、治療で待っている人が治療院に入れないので食べ終わったら帰ってねと、笑みを浮かべながら追い出していった。チラッと先生の額に青筋が浮かんでいるように見えた。
道理で治療が終わって体調が良くなったはずなのに、追い出されていく国民のみんなが青ざめてると思ったよ。
朝9時から始めてそろそろお昼、皆にも疲れの色が見えている。先生の「そろそろ休憩にしましょう」と言う声で皆に安堵の色がみえる。ただ、午前中予想以上に人が訪れた為、塩おにぎりが底をついてしまった。
「ああ、残念、もう塩おにぎりが無くなってるわ、凄く食べるの楽しみにしてましたのに。」
レーナ先輩の嘆きに周りの皆も頷いている、足りなくなって申し訳なくも、皆が食べたかったと言ってくれて嬉しかった。
ーーよかった、一応あれを準備してて。
「すみません塩おにぎりはもうありませんが、頑張っている皆さんに、煮込みうどんを代わりに作っておきました。」
塩おにぎりがなくなりそうだと思った僕は小麦粉があるのに気づきうどんを準備した。みんながお昼ボア汁だけだと可愛そうだと思ったのだ。食べやすいようにボア汁にうどんを入れて煮込んだだけの簡単賄いだ、それを人数分注いでいく。
「はいどうぞ!!」
「わあ、美味しそうな匂い」
「みんなに行き渡ったみたいね。では食べましょうか。」
先生の合図で『いただきます』と皆が一斉に食べ始めた。
ドキドキしながら皆の反応をみる。作った手前皆の反応が気になる。皆美味しく思ってくれるといいけど。
ーーおっ、自分で作ったにしてはかなり美味しい。
皆を見るが、一言も話さない。もくもく食べている。ちょっとは何か反応が欲しいんだが、、何か言ってくれ、。
皆のうどんをすする音しか聞こえない。諦めて僕もうどんをすすった。
ーーおいしいよね?
そして、一番最初に口を開いたのは先生だった。
「リオンくーん美味しい。すっごく美味しかった!!ずっと炊き出しに来てもらおうかしら。」
先生に誉められて嬉しいのだが、それに周りも賛成とか言っているし、、、。
「いえ1ヶ月で十分です、、。」
午後からも治療は続き、ボア汁だけの炊き出しになったがそれでも喜んで貰えた。炊き出しを食べた国民みんなは何故か僕と握手をして帰いった。何故に握手?
ーー15時くらいか、、。
見渡せば先生も皆も魔力切れを起こしかけてフラフラになっていた。丁度治療にも区切りが着いたみたいだ。そろそろ終わりになりそうだな。僕もボア汁が無くなって切りがいい。
「ふぅ、今日の活動はおしまいね。みんな今日はお疲れさまねーー。」
「今日は何時も以上に人が多くて大変だったね。」
今日の慈善活動は大成功だったらしく、皆の誇らしげに終始笑顔だ。過去1番の活動になった。
先生が「そろそろ片付けして終わるわよ。」と皆に指示を出していた時、治療院の扉が激しく開いた。
バーン!!
「お願いだ!!仲間を助けてくれ!」
そこには全身傷だらけになった戦士風の少年と、軽装の戦士風の少女が。その2人が肩を貸すように軽装の少年が担がれていた。更に後から遅れて魔法使いらしい少女も入って来たが、魔力切れをおこしかけていて、足元がふらついている。
戦士風の少年の話によると4人はパーティーランクFの冒険者で、王都ダンジョンの3階層でゴブリンの上位のボブゴブリンの集団に襲われたらしい。
命からがら逃げ延びたらしいのだが、その時に魔法使いの少女を庇って軽装の男性が深い傷を被ったらしい。
庇われたパーティーにいる魔法使いの少女は風魔法使いで、必死に回復魔法をしたが傷が深すぎて出血を抑える程度しか回復出来なかったと涙目で話してくれた。
授業で習ったが回復魔法は神聖魔法以外でもあるが効果が全く違ってくる。土、風、水、光、神聖の順に回復の効果が上がっていく、風魔法:下なら仕方ないと思う。
出血は辛うじて止まっているみたいだがかなりの重傷だ。顔色は青白く、ぐったりして意識もないこのまま何もしなかったら間違いなく命を落とすだろう。早く回復魔法をと、先生、生徒達を見るが皆暗い顔をしている。
「クレア先生?」
「リオンくんそれが、、無理なのよ、、私も生徒達も魔力が殆ど無いの、これだけ重傷だと、、、かなり魔力を消費するわ。さっきまでしていた治療と訳が違うのよ。」
先生が蚊の鳴くような声で説明してくれるが、悔しそうに両手を握りしめている。いや、先生だけじゃなく生徒達も一緒だ。皆の俯いて、男子生徒は苛立ちを露にしている。どうしてこんな時にと思わずにはいられない。
「お願いだ、レンを仲間を助けてくれよ!!」
「どうかお願いします、レンは私を、私を庇ったからこんなことに、、私の風魔法では治せないんです!!」
少年少女は引き下がらず、必死に土下座までしてきた。風魔法使いの少女は、責任を感じているのだろう泣きながら訴えてくる。
「厳しいようだけど、今の私達が回復魔法をしたら、間違いなく魔法発動中に魔力枯渇するわ、魔力枯渇は命の危険が伴うものよ。先生として皆に危険なことはさせれないわ。」
薬草や上級薬草では効果が出るのも遅く、これ程の傷は直ぐに治せないだろう。
先生の一言で皆も諦めの色が見える。それを感じとったのか、風魔法使いの少女が再び回復魔法を発動しようとしているが上手くいかない。終いには体を支えるのも出来なくなり傷ついた軽装の少年の横に座り込んで、悔しそうに涙した。
他のパーティーメンバーも悔しさに涙を堪えている。
ーーもう、迷うまでもないな。
「クレア先生、僕がやります!!」
皆の視線が一斉に集まる、貴方は何を言ってるんだと言う奇異の視線だ。ここには同級生がいる。当然同級生は先の事件で僕は無属性魔法使いだと思われている。周りもそう聞いているだろう。
「ちょっとリオンくん、あなたは無属性でしょう?」
クレア先生が僕を睨むように言い放った、辞めなさいと訴えている、先生は鑑定眼鏡で僕が神聖魔法を使えるのを知っている。知っているからこそ辞めさせようとしているのだ。
僕は大きく首を振った、何も出来ない悔しさは分かる、今の自分ならそれが出来る、なら考えるまでもない。
「先生、僕なら大丈夫です。レンさんは任せてください。」
皆の一番うしろ、レンさんから一番遠い所にいた為、皆を掻き分けるように前に出た。皆は騒ついているが、今は気にしている暇はない。
「リオンくん!!」
先生の心配を他所にレンさんの側までいくと僕は神聖の魔力を素早く練る。右手で触れレンさんを神聖魔力で覆っていく、ケガが完治したイメージで満たしていく。
ーーよし、この魔法だな!!
「エクスヒール!!」
レンの体を眩い光が数秒間包み込みやがて体内に入るように消えていった。
そこには先程まで青白い顔で力無く横たわっていたレンの姿ではなく、血色のよくなったレンの姿があった。
間もなくして意識を取り戻したのかレンがゆっくりと両目を開けた。
「あれ、俺はどうしたんだ、、確かボブゴブリンに、、切られて、。」
「「レーン!!」」「レン良かった。」
パーティーメンバーが駆け寄り喜びあい、魔法使いの少女は抱きつき涙していた。
ーーレン以外も結構ケガしてるんだけ
僕は安堵のしている、残りの3人にもヒールをかけてあげるた。この際だ僕の魔力はほぼ満タンだったしね。
そして4人は何度も何度も御礼を言って治療院を出ていった。良かった。
ーーんっ!!
その一部始終をみ見ていたみんなから声がかかる。忘れてたわ。
「さて、リオンくんどうして無属性の貴方が神聖魔法を使えるのかしら、、しかも最上位の回復魔法をね。」
3年生のレーナに厳しく問い詰められる。クレア先生はお手上げと小さく両手を上げる仕草をした。何もいい案が思いつかない。
ーーこうなったら、あれだな逃げるしか、、、ないよね。
「さ、さあ、どうしてでしょうね。」
僕は少しずつ後ろに下がっていく、すると、がっしりと後ろからホールドされた。
!!
「逃がしませんです。」
何、ウチのクラスでも大人しそうなアイリス・イルミルだ、、、あれイルミルって、、えっ、もしかしてレーナ先輩と姉妹なのか?
「アイリス!!よくやったわ偉いわよ、さあ、リオンくんをこちらに連れてきて、ね。」
「イヤです」
ーーんっ、嫌ってどういう事?
「何を言っているのアイリス?」
「リオンちゃんの魔力温かかったです」
ーーリオンちゃん?ってアイリスの方が僕の頭1つ、いや2つか、小さいと思うけど。
「ちょっとアイリス、いいからこっちに来なさい」
「アイリス、リオンちゃん気に入っちゃったです。」
アイリスが僕の背中で顔をすりすりしている。これは、ある意味逃げるチャンスだ。僕はアイリスの脇をチョイとつついた。
「アイリスさんごめん!!」
きゃ!!
アイリスがくすぐったくて両手を離した。
ーー今だ!!
僕は素早く駆け治療院の出入口まで行って、振り返った。挨拶は大事だよな。
「皆さん今日はありがとうございました。」
「リオンちゃーん」
「ちょっとリオンくん!!」
「リオォン」
「僕の王子さまぁ」
背筋に悪寒が走り必死に走った、1度も振り返ることなくだ。途中すれ違う人は何事だとびっくりしていたが、僕は無事、寮に逃げ込むことが出来た。
「どうか明日の休みで皆が忘れていますように。」
ひたすら祈るリオンだった。
ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーー
ギルドランク F 王立学園1年生
名前 リオン・ガーディン
年齢 15歳 男性
戦闘能力 172【344】
〈魔装時+700〉
《スキル・魔法》
隠蔽・暗黒魔法:極
隠蔽・魔神:大
隠蔽・同属魔法発動
隠蔽・合成魔法
隠蔽・並行魔法
隠蔽・武神:中
隠蔽・二刀流
隠蔽・忍
隠蔽・超人
隠蔽・身体魔強化
隠蔽・毒耐性:上
・神聖魔法(魔神)
・料理
・収納
・鑑定:下
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