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「みんな席についてるわね。」



教室から全体を見渡し、空席が無いのを確認すると担任の先生が挨拶した。



「私が1年C組担任のクレア・コースイーツよ。魔法教科は神聖魔法を教えているわ、これから1年間よろしくね。」



 ニコリと愛想よくそう言った先生はスタイルのいい美人さんだ。20代前半だろうかサラサラとした金髪は肩より少し下くらいで綺麗に切り揃えている。メガネを掛け薄く化粧をしている。親しみやすそうな気さくな感じがする。



 それから順番に軽く自己紹介した、僕が無属性と言ったらシーラが驚いた顔をした、、。



ーーあっそうだった、アルス様を治療したところを見られているからね。無属性はおかしく思うよな。ふむ、聞かれたら何て答えようか、、。



リオンが八属性持っている事をシーラは知っているが、その事をリオンは知らない。だがリオンは既に全属性持ちになっているが、その事をシーラは知らない。



 時間内に自己紹介は終りはシーラはアルス様と一緒で光属性、カイルは火属性、グレイは闇属性と悔しそうにしていたが、僕が無属性とだと知ると、ニヤついた顔で嘲笑っていた。嫌な奴だ。



 今日は自己紹介だけで授業は明日からということだ、みんな寮生活の準備もあるだろうと、午前中で解散となった。

 途中までシーラとその取り巻きが数人付いてきてあわよくば僕の部屋まで着いて来そうで大変だった。男子寮なんだけどね。何とか寮にある食堂で夕飯を一緒に食べる約束をしてシーラと別れた。



 ◇



 僕達が今日から生活する学園寮は、男女別々に2棟建っている。プライベートはキチンと守られ1人1部屋ある。洗濯は指定された洗濯袋に入れて所定の場所(部屋の外にある洗濯ボックス)に入れておけば次の日には洗濯されて返ってくるそうだ。これは助かる。更にお風呂は共同入浴場と各部屋にシャワーが備えてある。



 食堂は男子寮と女子寮の中間にある、時間は自由で何時行っても食べることが出来る。これは、建前上、実践で夜番を経験させる授業があるからになっているが、実際には過去に食べるのが大好きな何処ぞの天地族坊っちゃんが揉めてこうなったらしい。作る人は大変だ。



ーーあっ、そう言えば僕は、、、。



 部屋に着いて椅子に腰かけ物思いに耽っていたが、僕は収納スキルがあるから整理するものなんてないんだ。



ーー何も置いてないのは流石に不自然か。



あまり着ることのない服をクローゼットにかけた。机の上には教科書を立て掛け、明日の授業の準備をして鞄を用意した。



ーーあれ、もう終わってしまった。



机に立て掛けた教科書をパラパラみて直ぐに閉じた。



ーーうん暇だ、よし。



折角だから学園の敷地内を見て回ろうと部屋を出る事にした。









   ー リオンある日の冒険者活動 ー

《無自覚者お節介リオンはフラグを立てる・その2》




 王立ママル総合学園に入学まであと3日だ、学園までも馬車で3日かかる、そう、今日僕はガーディン家の屋敷を出発した。

学園までガーディン家の馬車を使うと御者が大変だろうからお断りした。



 馬車は町馬車停留所で簡単に乗ることが出来た。だが、町の定期馬車での移動は思ったより大変だった。

 その定期馬車は隣町の老人会に参加するお婆ちゃんで一杯だったのだ。

 隣町まで1日かかる、その中に連れのいない僕は一人だが孫みたいで嬉しかったのか?やたらとお婆ちゃん達が僕に触ってくる。

 お菓子を食べさてくれたり、果物を食べされてくれたり、あれやこれやと、涙が、、、ただ、僕の隣の席を取り合うのは止めてほしかった、僕の髪はボサボサ服はあちこち裂けている。

 別れ際には拝んでるお婆ちゃんもいた。



 兎に角1日で馬車は懲りた、そして僕は考え思い付いた。超人スキルがあるじゃないかと。

 超人スキルで早く王都に行って、ダンジョンでも行ってみようと、、、2日目の朝、馬車で残り2日かかる距離も、超人スキルであぁら不思議。たったの2時間で到着しました。

 このスキルの事をお母様とフローラに知られたら、、と、怖くなって考えるのを辞めた。




 見慣れた街並み懐かしい、そう言えば王都は一年ぶりだろうか、早速、冒険者ギルドに向かう、あの時の受付嬢はいるかな、ショートカットで薄い緑色の髪をした人だったよね、、。



ーーいた、いた、やっぱり空いている。そう言えば名前知らないや。



「こんにちは、ランクF冒険者ですけどダンジョンに入れますか?」



受付嬢はこんにちはと返事をしてくれた。抑揚のない言葉は冷たい印象、とつり目の所為か睨まれてるような感じは変わらない。



「はい、大丈夫です。念のためプレートを確認致しますが、お借りしてもよろしいですか?」



僕は名前、年齢、性別ギルトランクだけ表示して手渡した。なんだか懐かしくて口元が緩んでしまった、やばい、失礼だったか。



「ほぁ、、ハッ、お、お借りしますね。」

 


あたふたしながら受付嬢はプレートを受けとるとギルト専用魔道機に入れた。



「あれ、私が登録させて頂いた冒険者様ですね、、、あら、名前が間違ってますね」



そうだった、以前はシオンだったな。この1年で環境が劇的に変わった。15年間の中で一番濃厚だったからすっかり忘れていた。



ーーえーと、何て言おうか。



「あら、そうですか?すみません、文字を書いたときに慣れてなくてリオンをシオンって書いてしまったみたいなんですね。」



ーーシオンって名乗った記憶があるが、そこはどうか忘れていてほしい。



「そうだったのね、ごめんなさい気が付かなくて、でも、安心してプレート事態は魔力感知してるから正しい名前が表示されてるわ、ギルトの書類だけ書き直して置くわね。」



ーーよかった、どうなる事かと思った。



「ありがとうございます。」



「ふふふ、それに、冒険者が勝手に改名したりする事は結構あるから気にしなくていいのよ。」



ーーなんと、取り越し苦労だったのか、、。



「それでは今日はダンジョンでしたね。討伐記録はっと、あら、リオンさんは、もう既に2つ名があるんですね。凄いわこの年で、、えー、道具屋のパシ・・・。」



受付嬢が下を向いて誤魔化しているが、必死に笑いを堪えているのは、分かってるんだ。だって、肩がぷるぷる震えている。




「・・・・・。」



「コホンッ!!失礼しました。討伐記録はゴブリンと、えっ、、何、、オーク、キラープラント、キ、キングプラント、ってどういうことですか?」



「あははは、どういうことでしょうね、そう言えば高い所から落としたような、、、。」



ーーひぇーまずい討伐記録が出るんだった。ここは一先ず、、。



「あっ、僕この依頼でいいかな、ランクFの依頼だし、9階層までの順路を教えてほしいって奴、依頼人さんと一緒に9階層まで行けばいいんでしょ、、これで、お願いします」



 僕は素早くプレートを取り上げ依頼書の控を提出して受付から逃げるように離れた。受付嬢の待ちなさいという声が聞こえたが、、、今更戻れないし、戻りたくない。



ーーさて、えっ!?



改めてゆっくり見てびっくり。この依頼Gランクより報酬が少ないじゃないか。でも受けたものは仕方ない。



ーーはあ。



気を取り直し、再び依頼を確認する。



ーーなになにダンジョンの前で毎日10時に待っているセシル。か、これは1週間前に出た依頼だったのか、、大変だろうに毎日待ってたのかよ、、今は11時、時間過ぎてるし今日はもうダメかもしれないな。取り合えず待ち合わせ場所に行ってみようか。





「セシルさ~んいますか?」



 王都ダンジョンの前に着いた。今は昼前だ、既に他の冒険者はダンジョンに入っている為か周辺に行き来する人は少ない。



ーーあれ、あそこに誰かいる。



 ふと、1人の少年らしい人と目が合った。歳は同じ位だろうか?顔は中性っぽくかわいい感じの少年だ。身なりはボロの服を着てショートソードを腰に下げていた。頭に皮の帽子を被っている。



 この子も昔の僕みたいに生活の為にダンジョンに入るんだろうとかと思っていると、少年がこちらに近づいて来た。



「あの~もしかして僕の依頼を受けてくれたんですか?さっき、わっ、僕の名前が呼ばれた気がしたんだけど。」



 声変わりしていないのか、話し掛けられた声は少し高く可愛らしい。知らない人がみたら女の子に見えてしまう。よく、こんな場所に1人でいて無事だったなぁ、見た目に反して凄く強いのか?



「もしかしてセシルさんですか?」



「はい、わ、僕がそうです。」



「そうか、よかった。僕はリオン、ランクFの冒険者です。セシルさんの依頼を受けてここに来ました。」



「ありがとうございますリオンさん、よかった依頼料も少ないし誰も来てくれないんじゃないかと思ってました。」



 言えない、あの場を逃げるために勢いでとった依頼だったと言うことを。



「ははは、僕の事はリオンでいいですよ、早速行きましょうか?9階層までの道順は任せて下さいセシルさん」



 僕は2年間近く荷物持ちしていたからね、9階層までなら頭に入っている。



「はい、わ、僕もセシルでいいよ」



「9階層には上級薬草が自生してて、お金になるからね。なるだけ安全な道を教えるから頑張ってね。じゃ行こう!!」



勝手にお金に困ってるだろうと解釈している失礼なリオンであるが、セシルは気にしていなかった。



「あっ、ええ、ありがとう、凄く助かるよ。」



僕は魔物がなるべくいない道を丁寧に教えた。それでも現れるのがゴブリンだ。こんなやつに時間を取られると後が困る。身体魔強化でお腹に掌底をお見舞いして行く。ゴブリンはバンバン光の粒子となって行く。



「り、リオンは本当にFランクの冒険者なのかい?」



「そうだよ、まあ、相手はゴブリンだしね。」



そう言いつ、あっゴブリンだ、、ほいっ!!



バン!!



軽くゴブリンを葬りつつ無事9階層まで着いた。ここに来るまで3時間くらい掛かった、途中お腹が空いて保存食を収納から出してセシルと食べた。セシルは驚き、よく固まっていたが、時間が経つにつれ慣れたようでダンジョンを楽しんでいるように感じた。



ーーよかった。



 今日は上手く案内出来たと思う。そしてこの辺りに目的の上級薬草が自生しているのだ。



「はい、これが上級薬草だよ」



僕は5束ほど取ってセシルに渡した。これは1つ1000ダネで引き取ってくれるよ。これは高いよね。でも、辺りを見渡すが5束以上は見つけれない、冒険者にも人気だ。



ーーああ、やっぱり採集は楽しいな。



思わず口元が緩む、セシルも上級薬草を持って顔を赤くしている。嬉しくて興奮しているのだろう。怒ってないよね?



「あ、ありがとうリオン、お陰で助かったよ。」



「よかった。でも1人で来るときは気を付けてね、稀にゴブリンの上位モンスターのボブゴブリンが出るから、危なくなったらちゃんと教えた安全部屋に逃げるんだよ。」



「分かったよ。」



「じゃあ、目的も達成したよね。さあ戻ろうか?あそこに置いてたセシルの荷物取ってくるよ。」



「えっ、もう、そんな時間。そ、そうだね、。」



僕は、薬草を取る時に置いていたセシルの荷物を手に取る。すると後ろにいるセシルから呟くような声が微かに聴こえた。



「痛っ!!」



「セシル!?どうかしたの?」



「ああ、リオンごめんさっき足を少し捻ったみたいなんだ。薬草は使いたくないし、肩を貸して貰えるかな。」



いつ捻ったんだ。気付いて上げれなかったよ。全然そんなに素振りしてなかったけど、我慢してたのか。



「我慢して悪化させたら大変だ。ごめん気付かなくて。セシルちょっと痛い所見せてくれ。」



「えっ、あ、うん」



セシルが座り右足首を見せてくれる。汚れを気にして恥ずかしいのだろうか。セシルは顔を真っ赤にして俯いた。気にしないでいいのに。



ーーあれ、赤くないな、腫れもない。今から腫れてくるかもしれないから回復魔法をしとくか。



「それじゃあ、ヒール!!」



僕はセシルの右足首に触れると回復魔法を使った。



「えっ、きゃ、、、、ああ、リオンは神聖魔法が使えるの?」



ーーんん??



セシルが何故かあたふた焦ってた、様子が見られるますます顔を真っ赤になった。熱でも出たのか?



「セシル足はどう?大丈夫?でも顔が赤いけど熱でも上がったのか?」



「いや、大丈夫だよ、良くなってる。ありがとう!!顔が赤いのは神聖魔法が見れて興奮したからで、気にしないで。」



「そっか。ならいい。」



「うん。」



ーーうーん、セシルがどこか元気がないな。



 もしかして、いつも食べてないから疲れが出たか。休憩少なかったし、やっぱり顔が赤いままだしな。よくみたら体細いよな。

 僕も荷物持ちをしている時、お金が無く食べれてないから、よくバテて冒険者に怒られたっけ。



「ごめん気が付かなくて、今日は休憩も少なかったし、かなり歩いたから疲れが出たんだね、帰りは僕の背中に乗るといいよ。」



「え、いや、それは、流石にまずいって。」



セシルは顔を真っ赤にして両手をブンブン振っている。



「いいから、気にするなよ男同士だ。僕も同年代のセシルとダンジョンに入れて楽しかった。お互い様だろ。」



「そ、そうか、お、男同士だしな、うん、分かったリオンお願いしてもいいかな。」



僕はセシルをおんぶすると駆け足でダンジョンを出た。やっぱりセシルは軽かった、ちゃんと食べれてないのだろう。今日のゴブリンの魔石も上げよう。



帰りは駆け足だった為1時間でダンジョン出入口に戻って来た。

その後セシルに依頼達成のサインをもらい、ゴブリンの魔石を数十個、上級薬草を5束渡した。



「また、依頼を出したらリオンが引き受けてくれるか?」



「ああ、当たり前だよ。セシルもちゃんと食べるんだぞ。」



「分かった。あのさリオン!!僕もっと頑張って戦えるようになるから、その時は一緒にダンジョン探索してくれないか?」



「勿論だ、僕でよかったら何時でも。セシルとダンジョン探索。楽しみに待ってるよ。」



「ほんとか、ありがとうリオン!!」



「ああ、じゃあ僕とセシルは今日から友達だ!!」



なんか以前の僕を見ているみたいでほっとけなかった。



「友達、いいのかリオン」



セシルが嫌な顔をしたら辞めとこうと思ったけど、よかった嬉しそうだ。



「いいに決まってるだろ、嫌だったら言わないよ。」



初めて友達が出来た嬉しさに上機嫌で握手をして僕達は別れた、握手した手は柔らかかった気が、気のせいだろう。







「で、リオンさん何か言うことは?」



僕は受付嬢に責められている。さっきまでの浮わついた気持ちが嘘の様に今は底辺をさ迷っている。



「はい、ありません。」



「命の危険があるのが冒険者なのです、そのような冒険者をサポートするのも私達の仕事なのです。で・す・か・ら・今度からは私の忠告も少しは頭に入れてくださいね」



「はい」



「今日はもういいです、私は受付嬢のマインと言います。リオンさんの専属受付嬢になりましたので必ず私の所に来てくださいね。」



「はあ。」



「分かりましたか?」



「はい!!」


こうしてリオンは、逆らえない(ひと)がまた増えた。



 ◇

 ◇

 ◇




「どうでしたか?今日の探索候補者はセシリーナお嬢様」



「うん、サイート文句なしの合格だよ、リオンの身元を調べてくれない?リオンは私のパーティーに絶対入ってもらうから。」



「お嬢様がそんなに気に入るなんて、それほどの方でしたか」



 いつも強気で勝ち気なセシリーナが顔を真っ赤にしている。始めてみせる表情で何時もと違う態度のお嬢様がサイートは可笑しかった。



「これでパーティーは後3人ですね」



「ええ、お兄様には負けませんわ、、、、でも、、後1度くらいはリオンと二人で行くのも、、ふふふ、友達だもんね。」




ビクッ!!



僕は辺りを見渡した、何か悪寒がしたが気の所為だったか。さあて、宿に戻って寝よう、、、セシルはちゃんと食べたかな。



 こうして2日目の僕の冒険は終わった。ただ3日目もダンジョンに行こうとルンルン気分で行ったら、受付嬢マインがオススメの依頼がないから探索はまたにしましょうと、言いつつ、2時間ほど個室で拘束された。

 冒険者の心得を教えてくれたマインは何故か隣に座り腕を組んできた。こうしないとリオンが逃げるからと目を剃らされた。前科があるだけに何も言えないリオンだった。





ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーー

  ギルドランク F 王立学園1年生

 名前 リオン・ガーディン 

 年齢 15歳 男性 


   戦闘能力 172【344】

    〈魔装時+700〉


  《スキル・魔法》

  隠蔽・暗黒魔法:極 

  隠蔽・魔神:大

  隠蔽・同属魔法発動  

  隠蔽・合成魔法    

  隠蔽・並行魔法

  隠蔽・武神:中   

  隠蔽・二刀流 

  隠蔽・忍     

  隠蔽・超人

  隠蔽・身体魔強化 

  隠蔽・毒耐性:上

    ・神聖魔法(魔神)

    ・料理

    ・収納 

    ・鑑定:下

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