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僕は今、食卓のイスの上で正座をしている、いや、させられている。
かれこれ1時間は経った。
「でっ、リオン!!どうして一人であんな行動をしたのかしら?」
ま、まただ、お母様が同じ質問を繰り返してくる、この会話に終りは来るのだろうか?さっきから同じ事を何度も話していると思うんだが、、納得してもらえない。
「はい、そ、それは、みんなを助けたくて、、、」
「自分は力があるから心配ないと言いたいの?」
「はい、誰にもケガして欲しくなかった、僕なら少しぐらい平気だ、だから、、、」
ーー打算的な自分が嫌になる、僕には超人スキルがある、ちょっとのケガなら直ぐに治る。それに、あの時は忍スキルの警告が鳴らなくなっていたから、大丈夫だと、後先考えずに行動出来たんだ。
何度も同じ説明をしていると寧ろ僕の方こそ沸き上がる罪悪感が否めない。
「私はそれが気に入らないのよ!!自分は平気って私達がどれだけ心配したと、、思ってるの。」
お母様は怒っているが、何処か悲しそうにしている。お母様の発した言葉とても力弱いものだった。
「すみません、、、でも怖かったんです、折角、出来た家族を失うのが、、。」
ーーこれは本当だ。まだ家族や屋敷のみんなとの距離感に戸惑うが、、また、1人になるのは嫌だ。
「リオンは私達が考えているより強くて、知らない力を持っている事も分かりました、、ただ、それでも、、また私の前からリオンがいなくなるんじゃないかと、、怖かったのよ。」
涙ぐむお母様を見てチクリと胸が痛んだが、それ以上に、心配してくれたんだ、と言う何処か懐かしい感じが、、、胸の奥にあたたかいものを感じた。
「まあまあ、セリアそろそろいいんじゃないか。正直リオンがいなかったらみんな無事ではすまなかったんだぞ、、、私でも敵う相手ではなかった、それほどの魔物だったんだ。皆を助けてくれてありがとうリオン」
「でも、アルベルト、、、」
お父様がお母様に右手のひらを向けると首を振って話を遮った。
「そこでだ、一応今回の事は王国に報告しないと行けない、、この様な異変が起こって、報告しないわけにはいけないからな。」
「そうよね」
「そして先ほど、今回襲ってきた魔物の事をセバスに調させて少し分かった。まず間違いないと思う。今回の魔物の特徴は王都ダンジョンの40階層ボスに似た記述があった。その魔物はキングプラントと言う。」
「そう間違いないわね。私も鑑定眼鏡でキングプラントと確認しているわ。でもダンジョンのボスがどうして敷地内にいたのでしょう?」
「それは私も分からない。ただ分からないこそ他に異常がないか急ぎ領内を見て回らんといかん。何かあってからでは話にならんしな。それに領民に示しがつかん。」
「そうね、それがいいわ。リオンもレインも近場はアルベルトと見て回るといいわ。」
「ありがとうございますお母様」
「僕もですか、やった、ありがとうございます」
あれレインってこんなんだったっけ?僕と一緒だよ?何時もなら睨みの1つや2つ向けられたんだけどな。
「レインだけズルい私もリオンお兄様と行きたいです。」
「あの、フローラ、お父様も行くのだぞ」
「リオンお兄様がいいの」
フローラ大好きお父様が必死にかまって光線を出すが、ほっぺを膨らましたフローラに軽くスルーされている。あらら、お父様の眉がハの字に下がってる。
でもいつの間に僕はフローラに気に入られたんだ?レインもおかしい。僕を見る目がギラギラからキラキラになってるんだよな。
「コホン!!、それとリオン、話は戻るが、今回の事を王国に報告するが、なるべくリオンの事は伏せて報告するつもりだ、、、だが、上手くいかないかもしれないからその時はすまん。どこで情報が洩れるか分からんからな」
「なるべく大人しくしておきます。」
「そうだな、ただし、どうしても力を使うときには気を付けろよ、、お前を利用しようと近づいてくる者もいるかもしれん、だから、何かあったら遠慮せず私やセリア、他の皆を頼ってほしい、信用してほしい私達は家族だからな」
!!
一人で生きてきた僕は、無意識に心に壁を造っていた、人にしてあげても、自分がされるのは何処かで拒んでいた。騙され裏切られてきた僕は人を信用するのが怖い、何かされるとむず痒く落ち着かないのだ、、、はあ、よく見ているんだなお父様は、、敵わないや。僕は嬉しくなった。
「はい、分かりました」
「よし、この話はここまでだ、遅くなったが食事にしよう」
この日を境にレインとフローラは僕に対する態度が劇的に変わった。もう別人じゃないかと思うくらいだ。レインは僕を尊敬しているらしく何でも真似をしたがる。フローラはフローラで何かと抱きついて来て甘えるようになった。
その後、僕は自重しながらお父様に付いて領地内の見回りや、剣術、礼儀、一般教養、魔術の勉強、メイド騎士達との訓練に明け暮れた。忙しい毎日だが凄く充実していた。
ギルドランクもやっとFになったんだ。お母様に何度も何度もお願いして冒険者活動を許してもらった。でも許してもらった依頼は採取のみだ、、めげなかった僕を誉めてやりたい。
半年活動をしないと冒険者ランクがGに戻されるんだ、大変だろ?だからね、、えっ?GもFもそんなに関係ないって?ははは、いいんだ。
天地族の生活に四苦八苦しながらも月日は流れ、僕は15歳となり王立学園に入学した。
◇
ー リオンある日の冒険者活動 ー
《無自覚者お節介リオンはフラグを立てる・その1》
王立学園の入学まで残り1ヶ月となっていたある日。
今日も採取した薬草を納品した、本当に収納スキルは便利だ魔力の量で収納出来る量が増えるのだ、流石に時間凍結はしないから、劣化してしまうが僕は魔力量が多いから収納が一杯になったことはない。魔力はいつの間にか増えていたんだよね。
僕は報酬を受けとり収納して冒険者ギルドを出ると、一人の少女が目にはいる。その少女は7歳位でギルドの前に座り込み泣いていた。
「どうしたの?」
僕も荷物持ちをしていた頃、ギルドの前でよく膝を抱え座っていたのを思い出した。その時は誰も声をかけてくれなかったけど、、その辛さを知ってる僕はつい声かける。
「冒険者さんですか?」
「そうだね、一応冒険者だよ」
ランクFだけど、僕にはちゃんと2つ名もある、〈道具屋のパシリ〉だ、、ああ目に汗が入っちゃった。
「お願いです、お兄ちゃんを捜して下さい。」
「お兄ちゃん?何かあったの?」
「お兄ちゃんは、ケガをしたお父さんに上級薬草を取って来ると言って家を飛び出したけど、、昨日からまだ帰って来ないんです。」
「上級薬草を取りに?」
僕も今日薬草を採取してギルドに納めたばかりだ、カチカの森は魔物も出ないし、僕の活動範囲だ。でも上級薬草となると、、カチカの森にはない。どういう事だ?
「よく効く薬草がカチカ樹海にあるってお兄ちゃん言ってました」
「カチカ樹海!!」
カチカ樹海!!確かに樹海なら魔素も薄くだが漂っているから上級薬草もありそうだ。カチカ森の更に奥にある。魔物も当然出る樹海だ、僕が薬草採取の依頼をする条件として耳にタコが出来るくらいカチカ樹海には行かないように!!とお母様に言われたのだ、
その事を条件に一人での活動が許されている。
「今はこれだけしか持ってないけど、後で残りは払います、お兄ちゃんを捜してください」
そう言って女の子は胸元で抱えていた両手を僕に見えるように広げた。荒れて傷だらけの手には、300ダネがあった。
僕は一瞬お母様の顔が横切ったが、首を振って300ダネを受け取るり兄の名前を尋ねた。
「お兄ちゃんはなんて名前なんだい?」
女の子の顔がパッと花が開くように明るくなった。
「ありがとう、お兄ちゃんはラインって言うの、私はラン、どうかお願いします。」
ランが立ち上がりペコリと頭を下げた。
「僕はリオンだよ。すぐに見つけて来るからね、待っててねランちゃん」
僕はランの頭を優しく撫でて安心させると、カチカ樹海に向け走った。だが、走り出してすぐ不安が襲いかかる。
ーー勢いで依頼受けたけど、、、お母様怒るよね
ーー、、、怖いよね
ーー、、怖いな~、、。
ヘタレさ全快である。
ーーでも領民の為、、だよね、うん、そうだ。
そして僕は都合のいい解釈をして現実逃避することにした。
◇
カチカ樹海には普通の人だと半日かかる。だがそれ程の距離でも超人スキルがあれば、あら不思議ものの30分で到着した。
「よし、着いた!!」
ーーさてと
僕は忍スキルで辺りの気配を探った、、う~ん、5人組のパーティが二組、、魔物らしい気配が無数に、、。
んっ!?
1つだけ動かない小さな気配があるラインさんかな?、、動かないし気になる、一先ず、動かない気配の所に向う事にした。
ーーおっと!!
デカイ豚の魔物だ、、鑑定するとオークと言うらしい。気持ちを悪い、歩く度にお腹がブルブル揺れている。
オークは一匹だ!!
こちらに気づいていない久しぶりの戦闘だな、高ぶる気持ちを押さえ、身体魔強化と暗黒剣を魔装した。
ーー準備はオッケーだ、よし行くぞ!
忍スキル隠密で静かに素早く近寄った、オークとの戦闘は初めてだ、油断してはいけない。これ大事。
「はっ!!」
ザシュ!!
オークに気づかれる事なく僕の一振りでオークの頭と体が離れた。
ーーあれ、あっけない、、オーバーキルだな。
オークはすぐに光を放ち粒子となって消えた。
オークの肉とゴブリンの魔石と比べると2倍はある大きい魔石をドロップした。ついでに目についた上級薬草も採集していく。
ーーおお、よし、これも収納だ。
その後もオークを数体倒した。その中でオークメイジとオークアーチャがいて、嬉しいことに雷魔法弱スキルと木魔法弱スキルを吸収した。
おお、これで全ての属性魔法を手に入れた!!狙っていたがこれは嬉しい。
!?
【無、光、闇、雷、木、神聖、四大属性スキルが統合され魔神スキルになります、同属魔法発動スキルを取得した】
【スキル統合補正により戦闘能力25上がった】
ああ、久しぶりに頭の中に声が響く、ま、魔神ですか、そろそろ隠蔽スキルがないと鑑定されたらバケモノ扱いを受けるのでは、、と心配になった
んっ、あれ隠蔽スキルあるぞ、忍スキルに統合されている?
えっと、見られても平気なスキルはどれだ、悩みに悩んで料理、収納、鑑定、神聖魔法だけ表示することにした。
ーーそろそろ気配の位置だが、。
ーーんっ崖?じゃないな。
地面が抜けて下の空洞と繋がったのだろう、、よく見ると人が倒れているこの穴から落ちたらしい、、念のため鑑定して誰か確認する。
ーー鑑定!!、、、おお、ラインさんだ
体全体に打撲と軽い脳震盪で気絶しているみたいだ、鑑定したから間違いない。ラインさんの周りには沢山の落ち葉や枯れ木が。落下の時に一緒に落ちた落ち葉と枯れ木がクッションになって助かったみたいだ。
ーーヒョイっと
僕は穴を飛び降りラインに近づいた。
頭は念のため動かさないようにしてっと、僕は神聖魔法を発動。打撲、脳震盪を回復して完治を確認した。穴から上を見上げると、薄くオレンジ色になった空が見える。日が傾き出している。
ーーそろそろ戻らないと
まだ、意識は戻ってないが、ラインさんを背中に背負い街に戻った。
町に着くとギルドの前で待っていたランちゃんに家まで案内してもらいラインさんをベットの中に寝かせた。
質素で何もない家だった。そしてランちゃんにはオークの肉と魔石、上級薬草を渡した。
初めは拒否されたが、これはお兄さんの近くに落ちていたんだよと言うと、喜んで受け取ってくれた。
「リオンお兄さんありがとう」
ランちゃんが満面の笑みで抱きついてきた。
「お兄ちゃんも無事でよかったね、ランちゃん」
僕は可愛らしい少女に妹を見ているようで頬を緩め思わず頭を撫でてあげた。すると少女が抱きついたまま僕を見上げた。
「あのね私ね、決めたの!!大きくなったらリオンお兄さんのお嫁さんになる」
ーーえっ!なぜに!?
ランは抱きついたまま顔をぐりぐり擦り付け、満足げにしている少女の姿があった。
「だ、ダメだよ、女の子が簡単にそんなこと言ったら、そう言うことは大きくなってから考えような」
「分かった、私が大人になってだね」
暫くあたふたしていると少女も落ち着いたようで、、離れてくれた。
ーーふう、一時はどうなるかと思ったけど、良いことも出来た、ドロップアイテムなんて持って帰ったら大変だもんね。収納しててもお肉腐って大変な事になるもんね。気分転換にもなったし全属性揃ったし良いことずくめだ。
僕は上機嫌で帰宅した。満足満足。
だがしかし、屋敷の扉の前で、、笑顔だが目が笑っていないお母様と、、なぜかフローラが出迎えてくれた。
ーー仁王立ちだ。
黒いオーラが見えるその姿はキンクプラントより迫力があり怖い、、いつもは引っ付いてくるメイド騎士達も今日は来ない、嫌な予感がする。
付けられていたのか?色々な事が頭に過る。気配察知はしていたよな、なぜだ、、、。
僕は1時間屋敷の前で正座する事になった。その他にも2週間の冒険者活動停止と、1ヶ月お母様の肩揉み、フローラのお茶の相手をすることとなる。
因みに何で分かったのと機嫌のいい日に聞いたら、女の勘よ、と言われた・・・・。
こうしてリオンは女性の恐ろしさを学んでいくのだった。
ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーー
ギルドランク F
名前 リオン・ガーディン
年齢 15歳 男性
戦闘能力 172【344】UP
〈魔装時+700〉
《スキル・魔法》
隠蔽・暗黒魔法:極
隠蔽・魔神:大
隠蔽・同属魔法発動
隠蔽・合成魔法
隠蔽・並行魔法
隠蔽・武神:中
隠蔽・二刀流
隠蔽・忍
隠蔽・超人
隠蔽・身体魔強化
隠蔽・毒耐性:上
・神聖魔法(魔神)
・料理
・収納
・鑑定:下
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