主人公紹介 渡会勝治(わたらいかつじ)と住居兼宿泊施設
渡会勝治
九州…温泉で有名な大分県のとある山間部で祖母から受け継いだ温泉旅館を営む、40歳。
福岡のとある大学を卒業したが平成大不況は根強く就職活動に失敗、地元自治体に非正規雇用の形で働いていた。しかし給与等待遇の格差、それでいて職責の重さばかりが大きくトラブルの矢面に立たされる事が多かった事から心身に不調を感じるようになり亡くなった祖母が営んでいた民宿を継ぐ事にした。それが今から十年前だった。
すり減った心身は徐々に回復したが目下のお悩みは客数の減少である。
民宿『わたらい』
温泉を引いた風呂場が自慢のひなびた宿屋、逆にそれ以外に自慢はない。…と、いうのも大分県には別府という温泉の代名詞的な観光地があり民宿わたらいがある地域は知る人ぞ知るといった具合の場所であった。しかもわたらいはその温泉地のはずれにあった。その為、客はまばらであり従業員を雇って…というものではなく祖母がひとりで営んでいた。
素泊まりの宿であるが炊事場もあり、ガス水道、炭火や薪も使えるかまどもある。コアな利用客は高齢女性、素泊まり料金で泊まれて食事は近所でとれた野菜などを買って自炊する事も可能。そうして十日くらい泊まって帰っていく、風呂が温泉なので湯治と洒落込む訳である。長い人は月単位で利用していた。
しかし、高齢女性の来訪も減少傾向が顕著で宿泊客がゼロの日も珍しくない。




