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1-28. しあわせを呼ぶ招待状

 ゴブリンキング討伐時の話をしつこく聞かれた。

 正直に言う気にならなかったので話を作った。


 洞窟に目を付けて空からシュリーゲンに見張らせ近づく。

 見張りをシュリーゲンの毒で倒し、入口に木を詰めて火を付けた。

 火に包まれて出てくるゴブリンを出口で待ってて仕留めた。

 最後に出てきたゴブリンキングは一撃じゃ無理だったが怪我をしていたので1人と1匹でなんとかなった。

 こんなストーリーだ、状況証拠的に嘘にはならない。

 嘘発見器を持ち出されなかったので出来た事だが。


「そんなんでうまくいくか」

「さぁ。今回はうまくいっただけかも」

「狩りの定石にするにはリスクがあるな〜」

 楽に狩る方法が有るならそれを探したい。

「そう思いますね」

 これを定番にするのは止めてくれ、嘘なんだから


「でぇ」

 ダロンの声が一段低くなる。体がピリピリしてくる、威圧も混ぜてるな。

「で、とは?」しらばっくれる。

「どうしてあそこにゴブリンキングが居るって知ってたんだよ」

「確証が有ったわけじゃありませんよ。可能性が高いかなと思っただけで」

「なんで可能性が高いと思ったんだよ」

「オークの巣だったから」

 そこから俺の考えを教えた。


「最近7級レベルの魔物が少なくなってたの知ってますよね」

「それがどうした」

「あのクラスの餌ってゴブリンじゃ無いかってことです」

 ダロンの顔色が変わった、さすが全部説明する必要がない。

 必要はないが。

「詳しく説明してもいいですが、俺の考えが正しいか他の冒険者の意見も聞きたいですね」


 ダロンはしばらく間を開けた後、背もたれに倒れた。

「ザックのやろう何てもん拾ってきやがった」

 ザックとは俺が最初に合った冒険者の名前。

「拾ったとは失礼な」


 ダロンはふ〜と息を吐いた後「冒険者証明を出せ、オレの権限で7級にしてやる」

「いいの」

「そのくらいの権限はある。ゴブリンキングを単体で倒すのが8級だとギルドの仕事が疑われるんだよ、迷惑だ」

 冒険者証明を外すのが面倒でそのまま渡す。

 それを見て

「なんで3つも有るんだよ。商業ギルドと兼任はたまにいるが錬金術も持ってるなんて初耳だぞ」

「冒険者以外の2つは10級ですし」

「だから、そう言えるのがおかしいって言ってるんよ」

 残るは魔法使い。呪語魔法も習得したいと思っているとは言わないでおこう。


 ダロンに解放されるとギルドは空いている時間、暇そうなプルトさんと雑談するしか他にすることがない。

「オリもう7級か早いね」

「もしかして最速?」

 異世界転生もの定番だよね。

「残念ながら1日で9級から6級になったのがいるんで自慢にならないよ」

 あら。

「貴族からの紹介も1日で」

 6級への紹介は貴族の推薦が必要だ。無理だろう。


「もともと持ってたのよ。騎士見習いが何かの理由で辞める時に元の主人からもらってたの」

 スタートが違うじゃん、それと比較するのは卑怯なんじゃない。

「最終的には4級冒険者になって元主人の養子になって家をついでる」

「それって」

「それ以上は言ってはダメよ」遮ってニコリ。


「オリ居たか、丁度よかった」

 ギルドに入ってきたのはギルドマスターのアダンサ。

 俺を見つけるなり近寄ってきた。

「お前にガナターン第5爵位から召喚命令が来ている」

 と丸められて獣紙をよこした。

「3日後に屋敷に行け。ガナターン卿は下々にご理解があるのでその格好でも問題ない」

 命令?

 拒否権ないの、俺の意思は?


「なんだその顔は。お前は6級になりたがってただろう。ガナターン第5爵位近くにいる下級貴族に顔を覚えてもらえるチャンスなんだぞ」

「そうなんですけど」

「やったねオリ、6級も近い」プルトさんが茶化す。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「君がオリか座りたまえ」

 領主様の屋敷に行くと2時間ほど待たされて主のいる部屋に通された。

 そこは謁見用ではなく普通の応接室。とんでもなく広いが。

 大きなテーブルを挟んで1人は座っている。

 膝をついての謁見を想像していたので、それよりは数倍まし。

 武器の槍とナタは預けてあるし、シュリーゲンは鳥かごに入れられ俺の前に置かれている。


 領主の肩までの赤茶けた髪に金色の目、見た目は20代。無論長身のハンサム。

 そして初めて感情の乗っていない言葉を聞いた。俺の声は他の人にはこう聞こえるんだ。俺が貴族の隠し子と疑われる理由を理解した。


「どうぞ」と給仕がお茶を運んできた。

 部屋には数人の男女の召使がいる。そして8人の武装した兵。

「楽にしてくれたまえ。君の話を商業ギルドから聞いてね一度会っておくべきと考えていたのだ」

 商業ギルド。何のことだ?

「上ものの保存期間を増やす技術は君が神と契約しているのでは」

 フリーズドライ!

「あ、はい。私が契約しているものです」

 貴族に耳に入るのが想像より早い。フットワーク軽いなこの領主。

 さてどうする気なんだか。


「あの技術で街の食料事情が変わる。凍らして乾燥させる工場を私の直営で営むことにした」

 そう来たか。

「君の功績にどう報いればいい」

「あれに関してはすべて商業ギルドのギンにお願いしてあります。いただくものも商業ギルドからいただきますので領主様に特別頂く謂れがございません」


 ここで無礼者〜。と飛んでくるかと思ったが何も起きなかった。

「なるほど聞いていた通りだな。思慮深く目先の損得では動かない」

 どんな噂を流されてんだよ俺。


「だが欲はあるのだろう」

「はい、自由に旅をしてみたいです。この世界の隅々まで見てみたいのです」

 ん、静寂。

「あははははぁぁぁ」領主が笑い出した。

 笑いが収まると。

「なんとも強欲な、それはこの国の者では夢みない事だ。それを成したものは歴史的に見ても数えるほどしかいない。欲が無いなどと言ってすまなかった」

 何が面白いのか領主は再び笑う。


「推薦状を書いても良いが私の推薦状はそれほど軽くない。1つ仕事を受けてくれ」

 ヤバい、これは面倒事に巻き込まれたな。

 絶対簡単な仕事じゃないよな、断るなんて絶対できないし。


「娘キーナのナポリクス共和国留学の護衛にオリを追加する」

「へぇ」「あ」「それは」

 俺と兵達の驚きの声は重なる


 それで終わりになったが部屋を出たところで

「明日、時間があるか」と兵に聞かれた。

 さっきのメイドもそうだが働いている者まで声に感情が薄い。


 予定など何もない。

「有りますが」

「もう一度屋敷を訪ねてくれ。今度は裏口から来てくれ」

「心配するなお前を殺そうというのではない」

 後ろから割り込み、こっちは身なりがいい

「ハフルケイト卿」兵が彼の名前を教えてくれた。

「また主様が無茶な思いつきをされたと聞いてな」

 やっぱりそうだったんだ。


「私はこのガナターン領の騎士ハフルケイト・ザパスケス。キーナお嬢様の留学期間の護衛隊の指揮を任されている」

 手を出してきた、握手する。

「君の実力を知りたい」

 この上からの言い方と声に感情が乗っていないせいで彼の第一印象は良くない。



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