表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/39

1-27.ゴブリン袋には

 朝飯を食べていると職人が食堂まで来て

「オリ、冒険者ギルドに白旗が上がってたよ」

 白旗はこっちでは降伏じゃなくて緊急招集の意味。それを見た職人が教えてくれたのだ。


「旗見ただけだから、何があったか知らないけど」

 まあ8級の俺に関係はないとは思うが「ありがと。一応顔出すわ」

 残りを口に突っ込んで工房を出た。


 ギルド内には緊張があった。

 集まった人がいると思っていたが冒険者の数は少ない。

 普段依頼書が貼り付けてあるボードには

「ゴブリンの強化体が出た。8級以上にゴブリン討伐を強制依頼」

 と大きな1枚が貼られていた。

 無視できない。


 プルトさんの前は空いているので話を聞きに行く。

「ゴブリンの強化体ってそんなに強いの」

「バラバラね、でもそんなに強いやつはいない。強くても6級冒険者なら1対1じゃまず負けない」

 それなら、脅威ないんじゃない?

「なんで強制依頼なんです」

「数よ」

 わからん、そこ詳しく。


「強化体の存在ってもっと強力な個体が生まれた証拠なの。その個体がリーダーになって共食いをやめさせる。そうするとゴブリンは一気に増えてその中から強い個体も出てくる」

 なるほど。

「ゴブリンは成長も早い。生まれて20日もすれば大人と変わらなくなる。次の繁殖も可能なんですごい増えるの」


「強力な個体これをギルドではゴブリンキングと呼んでる。このゴブリンキングの居場所を探すのと数を減らすのがこの依頼の内容。オリみたいな低レベル冒険者には数を減らす方を頼んでいる」

 カウンターに強制依頼の依頼書を出し。

「強化体って体の色が普通のと違っているからすぐわかる。オリは手を出しちゃ駄目よ」

 依頼書を受け取り。

「わかりました。言ってきま〜す」


 ゴブリンキングの居場所に当てがある。本来7級の魔物がいたあたりを探す。

 どの魔物も人を見れば襲ってくるが、どこにでもいるゴブリンと違って7級の魔物は街や道に近づかない。

 賢いわけではない、魔物避けの効果はレベルの高い魔物に対して効果が大きくなる傾向がある。ドラゴンなど最高レベルの魔物には効かないが。


 そして7級クラスの魔物はゴブリンを捕食するものも多い。ゴブリンは魔物界では弱肉強食の底辺にいる。

 食物連鎖のバランスは微妙だ、特定の種がいなくなった影響は思わぬところに出る。

 今回のゴブリンキングの出現はこれが原因だろう。


 半日シュリーゲンに空からさがしてもらいそれらしい場所を見つけた。

 直接ゴブリンキングは見つけられなかったが色の違うゴブリンが多い。

 たしかこのあたりにも探索済の洞窟があった。そこだろう。


 遠くからゴブリンを見つけ1匹ずつ確実に仕留める。

 ボトリスが分裂して近づき、不意打ちで顔と首に取り付き息を止めながら首の骨を折る。

 複数いる時はそれに加えシュリーゲンが冷気を下半身に当て動きを止める。お互いを助けられないようにだ。

 俺は何もしていない。


 倒したゴブリンは討伐証明の耳を切り取った後ボトリスに消化させた。煙が出ないし、この方が魔石も取り出しやすい。

 弊害としてボトリスの総量が増える。集まった状態ではもう俺の鎧の中には収まらない。分裂させて分散させている。


 犠牲もなく洞窟の前までこれた。

 ボトリスの視界で中に多くのゴブリンと強化体がいるのがわかる。

 最も奥にいる1匹がゴブリンキングだと当たりを付けた。


「中に入るのは無謀だな」

 1人と2匹では無理だ。

 どうする、報告に戻るか。


「面倒だな」

 どうせ色々と質問攻めになるが、正直に言いたくない事もいくつかある。

 ゴブリンキング倒せばその功績で多少誤魔化しも許してくれるかも、希望的かもしれんがやってみるか。


 相手が洞窟に多数いるのだから普通ならガスが有効だよな。

 ゴブリンも口鼻を塞ぐと窒息するんで呼吸はしている。俺は自分の実験でこの体が酸素を使っているのはわかってる。

 ゴブリンも同じだと仮定しよう。

 木から二酸化炭素を生成出来るが、俺の作れる量ではこの洞窟は満たせない。

 それに大きな木全体を自分の延長と認識するのは無理だ。


 そう言えば烈風のキリミアさんが洞窟も燃やしていたな。

「あれ出来る?」シュリーゲンに聞いてみる。

<デキル>


 そしてシュリーゲンが炎を吐き続け、その炎の先に俺とボトリスが木材を切って洞窟に投げ込み続けた。作戦と言うには雑な計画。


 最初のうちは順調だった。

 逃げ出そうとするゴブリンは木に邪魔され外に出られない、そうしているうちにシュリーゲンの炎で焼かれる。

 しかし次第に強い個体が炎を突破して洞窟の外に出てくる。

 そうなると今度は俺とボトリスが対応していた。それも次第に間に合わなくなり最後には10数匹のゴブリンが這い出してきた。


 数匹はやけどして転がっているので生きていると言っても敵に数える必要はない。動けるのは強化体8匹と一際大きな1匹。こいつがゴブリンキングだろう。


 即座に1人と2匹は動く。

 シュリーゲンは3匹がまとまっているところに冷気と炎を交互に吐き出す。1匹は燃えたが2匹は対抗した。

 その2匹に毒の牙を突き刺す。

 ボトリスは4つに分裂、それぞれの顔を目掛け飛び移る。1匹には避けられたが残りには取り付けた。取り付いたボトリスは鋭い針を作り目に突き刺す。

 痛みで叫んだ瞬間に喉に入り息を止める。苦しみ暴れて3匹は絶命。

 俺は1匹を相手し腹を一差し。


 残ったのはゴブリンキングとボトリスを避けた1匹。と思っていたがゴブリンキングがその1匹を叩き潰した。

 八つ当たりの片手一撃で強化体ゴブリンの頭がめり込んでいる。強い。


 俺は正面に構え、4つに別れたボトリスが後ろと横、シュリーゲンは円を描いている。

 ボトリス一斉に飛び込む、体の一部を刃物状にして通り過ぎる瞬間に切り裂こうとするが刃が通らない。

 シュリーゲンが足元に冷気。凍らせて動きを封じるが一瞬で氷から抜け出す。

 このゴブリン身体強化が使えている。


 俺も最大火力の最大速度、正面から殴り合う。

 お互い当たればダメージを負う攻撃をするが防ぐ、有効な一撃にならない。

 ボトリス1体に合体しゴブリンキングにまといつき動きを阻害。

 シュリーゲンも顔に小さな火球を当て視界を塞ぐ。

 徐々に俺の連撃が効き始めた。


 自分の不利を悟り、仕切り直そうと後ろに大きく飛んだ。

 その瞬間に後ろの地面を凍らす。

 着地時にバランスを崩す。その一瞬の隙を見逃すはずもなく渾身の一撃を叩き込む。


「ぐおぉぉぉ」

 まだ動けるのかよ。槍が胸に刺さってんだぞ。

 今度は俺が距離を取る。

 振り下ろした拳は空を切って地面を叩く。激しい土煙を上げた。

 それがこいつの最後の攻撃だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ゴブリンキングを狩って来ただと」

 ギルドのカウンターにゴブリンキングの生首を置いた。

 ゴブリンキングの討伐証明は生首、悪趣味だ。

「間違いなくゴブリンキングだ」

 買取査定の職員がこれがゴブリンキングだと判定してくれていた。

 何で分かるんだろう、強化体だって醜悪な顔をしていたが。

「あぁ。間違いないだろうさ、一目見ればわかる」

 生首が必要な理由が有るのかもしれない。


「そうじゃない、そうじゃないんだ。オリお前は8級なんだぞ。それを、それを」

「6級なら狩れるんでしょ、俺そのくらいの実力はあると思ってますよ」

「それ、強化体の話だったよね」とプルトさん。

「ゴブリンキングなら6級パーティーが妥当なんだよ」

 またかよ、無意識強ェーは馬鹿みたいでやなんだよ。加減が難しい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ