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1-19. 青葉・食う

「野菜輸送の護衛があるって聞いたんですが」とプルトさんに聞いた。

ギルマスに聞いた仕事だが依頼ボードに無い。


「誰に聞いたんです」とプルトさんが警戒した顔をした。

「ギルドマスター」と答えたら。

「ったく、あの人は」と頭を抱えて出した。


「信用に関わるので人を選んで紹介している仕事です」

あれ、それ聞いてない。

「ただ今はシーズンじゃありませんね。下ものは保存が効くので収穫後に一気に集めるんですよ。大きな輸送隊になっちゃうんで護衛もそれなりの質と数が必要なんです」

下ものって根菜や芋だったな。でも質か。

「それ俺じゃ受けられないんじゃ」

「シーズンまでに進級してください」

簡単に言ってくれる


「俺でも受けれると聞いたんですが」

「それって上ものの事言ってます」

上ものは葉系の生鮮野菜。


「こっちはお金に困ってる人にだけ紹介してます。9級の依頼、依頼書貼ってありますよ」

気づいてなかった。

「もっともこっちは護衛依頼じゃなくて、人手としての依頼です」

「そう言えばありましたね、そんなの」

一泊二日の仕事で大鉄貨4枚、9級の依頼としては平均。


「お金に困ってる人は見つけるんですよ。たしか君はお金に困ってないよね」

「タダ働きさせられて、そろそろ稼がないととは思ってたんですよ」

「あまりおすすめできない仕事ですよ」

嫌味はスルーされた。


「こっちのこと知らなのすぎるので、何事も経験かと」

「それは興味本位と言うやつですか」

そう言われれば「そうかもしれないですね。ダメですか」

「いえ、そんな事はないのですが」


「上もの市場組合なら常時人手不足なのでいつでも紹介できます。訓練所に組合の人がいるので試験を受けてください。合格すれば詳細は彼が教えてくれます」

と言われたのでギルド裏の訓練所へ。

何故、訓練所。


訓練所入り口で

「クインタ鉄貨3枚」普段なら使用料がいるが

「上もの市場組合の人から説明受けろって言われたんだ」と来た理由を説明。

「へぇ~オリが。彼なら緑のマント着てお茶飲んでる人です」

「そういえば、いたね、そんな人」目立っていた人だった。


「こちらで上もの運搬の依頼を受けれると聞いたんですが」と8級のタグを見せた。

「本来この仕事は9級なんだがな。怪我でもしているのか」

「いいえ」と彼の前でぴょんぴょん飛んで見せた。

「わかったわかった。身体強化魔法使えるんだよな」

返事の代わりに身体強化をして見せた。


魔力を見る目があれば見える。

「わかった。その状態でついてこい」と走りだした。

彼も身体強化状態、時速30キロは出ていそう。訓練所の周りを4周。

止まったが、お互いに疲れは見えない。

「この速度で半日走れるか」と聞いてきた。

「やった事ないけど、多分大丈夫かと」


「これを向こうの棚へ運べ」と今度は別の課題。

ちょっと大きめの箱が10ほど地面に置いてある。それを指定された場所に並べた。

身体強化したままなのでこれまた問題なし。


「上もの輸送は収穫時の人手を希望している。一応護衛も兼ねてるが襲われる心配はない。問題有るか?」

「問題ない」

「これを持って上もの市場へ行け」と割札を渡された。


教えてもらった上もの市場へ行くと「冒険者か」と札を見せる前に聞かれた。

「そうだ」と言うと「こっちだ」と腕を引っ張られた。

「乗れ。許可書はその後でいい」無茶するな。

俺が乗った瞬間「8番フィキャーラ行ってきます」

「「「気をつけて」」」太い大きな声で見送られた。


「俺はフィキャーラっていう」と出発後改めての自己紹介。

荷台からタグを見せながら「初めての人間にそれでいいのか。俺はオリ」

「あそこにくる冒険者の用事なんてきまってる。お前8級か追加料金なんて出ないぞ」

「それはいいが仕事内容を詳しく教えてくれ」人手を欲していたのだけは理解してる。


「え、聞いていないのか」

「詳しくは聞いていない。次に聞けとここまで来た」

フィキャーラは笑い出した。

「そっか、上ものは水物って、気が短い連中だからな」

プルトさんは違うはずだが教えてくれなかった。


「お前の依頼だが、近郊の村へ道を使っての往復の護衛だが、ほぼ出番はない。念の為に冒険者に頼んでいる。年に何人かは運悪く襲われてはいるが」

いるのかよ。

「収穫の手伝いが主だ。市場の連中は俺も含め身体強化できないやつも多いしな」

あ~、俺はフォークリフト代わりか、納得。


「行きは3つの村をゆっくり回る。明日の朝は日が上る前から収穫して速攻で戻る。その時はお前に乗る場所はねえ」

「その分、荷を乗せるのか」

「判ってるね。ここをゴネるやつが多くて面倒なんだ」


本当にのんびりした移動だ。

「しかし、好奇心でこの仕事受けたって、珍しいのもいたもんだ」

フィキャーラも話好きで聞けば教えてくれる。

「組員でも身体強化できる連中は定期路がまかされている。それ以外は順番に良いルートが割り振られる。昼までに出れない場合は残ったメンツで数人が組んででる」

「彼らは身体強化できないんじゃ」

「4人1組で力仕事を賄うし、帰りも馬車にのる必要がある。4人で分けるとギリギリ赤字にならない程度の稼ぎにしかならない」


「輸送員になるには2頭立ての馬車が最低限、大抵は借金持ちだ。毎日餌代と利息の金がいる」

フィキャーラの馬車も2頭の馬が引いていた。

「街の外の仕事だが比較的安全だし、食っていくことはできる。やめる時には馬と馬車を売れば残りの生活もしばらくは安泰。俺はいい仕事だと思っている」


途中村に立ち寄って、簡単な打ち合わせと代金を支払う。

「一箇所で全部まかなうんじゃないんだな」

「いろんな種類が欲しいからな」

「1つの村で数種類集めないのか」

「自分たちで食うためには育てているが、売るのは1つの村で1品ときめてる。そうしないと売れるのだけ育てて村と街共におかしくなっちまう」


夕方に最後の村についた。

フィキャーラはなれたように村長に挨拶して用意された家に入った。

「村も慣れたものだな」静かだ。

「この時期は毎日誰かが来るからな。明日は早い、日が暮れたらすぐ寝ろ」


早いなんてもんじゃなかった、夜中だ。

畑には篝火を焚いている。

「この一角だ」と村人が叫ぶ。数十人が一斉に収穫を始めた。

「オリは皆んなの収穫したのを集めて馬車に乗せろ」とフィキャーラ。声が血走っていた。


積み終わると挨拶もなしに出発。慌てて追いかけた。

それを三箇所。

日の出とともに街に着いた。


「お~、3番じゃないか。オリのおかげだ」

返事もする元気は無い。

上もの市場まで行き依頼書に終了のサインを貰おうとしたが、さっさとどこかに行ってしまった。

市場で働いている人はみんな殺気だっていて誰も俺の話を聞いていない。


「あいつら人手不足だと言いながら、なんで自分達の依頼に人が集まらないのか理解していない」と憤慨するプルト。

「よくあるんですね」

「結構。終了確認の遅れは支払いの遅れじゃないんでペナルティが発生しないんですよ、あいつらは知っていてわざとやってる。知ってる冒険者は行きに無理やりサインをもらってます」

「教えてよ」恨み言。

「ギルド職員がルール違反を教えられますか」

そりゃそうだ。

「もちろん依頼失敗ではありませんのでペナルティは保留。ギルド通して正式に抗議します。お金は回収できますがかかりますよ」

「気長に待つよ」

「8級の言うセリフじゃないんですけど」


「もう1つの方もやるんですか」

保存の効く根菜主流のルート。


興味はあるが「そっちもこんな感じ?」

「下ものはしっかりしてます。ただキャラバン単位で動くので、日数がかかるのとパーティ前提でソロ向きじゃない。それに今は季節じゃないですね」

「今回とは全く感じが違いますね」

「保存が効くので収穫は村ががっちり行います。遠くに行くので複数で組んで安全性をあげてます」

「下ものと違い危険があると」

「村から村へ移動するんですが。街への道と違い整備されていないところも多いんです」

道は魔物避けの対策がされが、通行量の少ないところは後回しか。

「本当に魔物との戦いも発生します」


「無理にねじ込む必要はないけど、空きが有ったらお願いします」とお願いしておいた。

ア・バオア・クー:1章はサブタイトルで遊んでいます

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