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1-14.猪を狩れ

「オリ明日はトトロクの採集とかどうです」

「黒丸キノコですか」土の中にある茸。トリフみたいだが地中にある間は匂いがしない。

 高級食材だが生息地が不明で9級冒険者が簡単にとれる品物じゃない。

 プルトさん煽ってきてる?


 常設依頼には植物系も有るには有る。

 薬草も需要が多ければ栽培が試みられている。高級食材も同じだ。

 そうして栽培が難しいものが残る。

 それらは発見が難しい、採集が困難、生息地が危険など失敗の可能性が高く低レベル冒険者には手が出ない。

 見つけたら持ってきてくれという意味で常設依頼に乗っていたりする。


 にっこりして「無理ですね」と断る。

「チェ」舌打ちしやがった。

 まあワザと聞こえるようにしているので、このやりとりを楽しんでいるのだろう。

 こっちもわかってます感をだしておく。


「代わりにオリにはこれをお願いしたいです」と別の依頼書を出してきた。

 相手を見て依頼内容を調整しているのは本当のようだ。

 大猪(デ・ブロ)、巨大な猪。絵に描かれているのは角が無く代わりに毛のあるトリケラトプス。

「トードン村からの依頼で、作物の味を覚えたらしく何度も被害に遭っています」と村への地図も広げた。


「この時期のデ・ブロは子連れで気が立っているので、本来近づきたくは無いのですが、作物の味を覚えた個体が広がるのは防ぎたい」

 大鉄貨二枚をカウンターに置く。

「準備金に大鉄貨二枚。一頭でも仕留めれば返金の必要はありません。しかも他にペナルティーはありません」

 条件がゆるい。


「期限もありませんが参加数を絞っていません。最終目的はこの一群の掃討です。ギルドの輸送班が先に向かっているので現地で肉を買取ます」

 依頼書を覗き込む。最終目標未達成でもペナルティーが付かない。

「成功時の報酬分配は仕留めた数で割り振りますが、肉の販売額の方が高くなるはずです」

 肉で十分な稼ぎになるので成功報酬を諦めれば途中でも抜けれる仕事だ。殲滅出来るとはギルドでも考えてない証拠だ。


 もう1人と1パーティと一緒にトードン村へ。

 ギルドが用意したでっかい亀が引く馬車で移動する。

 一応自己紹介はしたが仲良くする気はなく馬車の中は静か。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 到着した村はすでに戦闘中だった。すぐに戦いに加わる。


 2組のパーティがお互いを罵っている。

 それぞれが4人で1頭を抑えているが、下手に傷だけつけて興奮させている。

 その間に畑には5~6頭のデ・ブロが入りこんでいた。


「ケプロスあんたが指示してくれ」

 俺がこの中の唯一の7級のもう一人のソロ冒険者に指示を頼んだ。

 ケプロスも一緒にきたパーティの3人も嫌な顔をする。

「数が多い、連携して効率よく稼ぎたい。ああはなりたく無い」と揉めている2パーティを指差す。

 俺の言いたいことが伝わったらしく、ケプロスが「いいか」と3人パーティに聞く。


「報酬は人の数にしてくれ」と返事。

 2人と1パーティの三等分じゃなく、5人で分けろと言うのだ。妥当だ。

「承知した。赤い尾は畑のデ・ブロを追い払え。倒す必要はないまずは畑から引き離せ。オレとオリで戦っている連中を助ける」


 ケプロスが一番大きいのを相手にしているパーティに向かったので、もう一方を受け持った。

「手伝う」と叫んでデ・ブロの上に飛び上がった。

 降下する力も加えて頭に槍を突き立てるが刺さらない。丈夫な頭蓋骨だ。


「邪魔するな」と声と共に火球(ファイヤーボール)、俺は吹き飛ばされてしまった。

 バリアでダメージを抑えられたが、耳と目が痛い。慌てて自己治癒で癒す。

 殺す気か!


 目を開けると近くに大猪(デ・ブロ)がいたので距離を取る。俺に火球(ファイヤーボール)を打ったのはその大猪(デ・ブロ)と戦っていた魔術師。


「アレは俺たちの獲物だ。横からきて何してくれたんだ」と喚く男。

「冷静になれ。お前たちだけじゃトドメは無理だっただろう」ケプロスがなだめているが難しそうだ。

 ケプロスは大猪(デ・ブロ)を仕留めた。喉には刃が通るらしく一撃で沈めた、さすが。


 その後取り分で揉めた。

 獲物を盗まれたと最初に戦っていた2パーティが主張。ケプロスは分けようと提案。

 俺たちとの約束もあるのでケプロスの主張では9人で分けることに。

「そんなことは認められない」とだだをこねられている。

 なお肉を買取に来ているギルド職員はこの争いに関与しない、当事者で決めてくれというスタンス。


 もう1つの件はこうはいかない。

 俺が火球(ファイヤーボール)を受けた件だ。

 ギルドでは冒険者同士の死闘を禁じている。喧嘩は完全に禁止できないので殴り合い程度は見逃していた。

 しかし火球(ファイヤーボール)は一線を超えている。

 当事者は大猪(デ・ブロ)に当てようとした時に俺が割り込んできたと言い訳をしたが「邪魔だ」と叫んだので無理がある。目撃者は多い。

 あれは事故ではなく、狙って当てたと判断された。対象パーティは冒険者の権利を剥奪され街に連れて行かれた。


 人数が減っても最初のパーティは共同討伐の提案を拒絶した。

「最初に見つけたやつに獲物の権利があるのは知ってんだろ。冒険者の最低限のルールだ。後からゾロゾロと割り込んできやがって」

 全部自分たちのだという主張を変えない。


 俺は彼らが「俺たちが見つけたんだぞ」と言ったことに引っかかった。

「依頼で来たんじゃないのか、俺たちは討伐依頼で来ている」と俺が言うと

「討伐依頼なんてしらねえ、俺たちは支援要請なんて出していない。お前らが勝手に来たんだ」と返ってきた。


 静かに「お前ら大猪(デ・ブロ)をこの村に引き込んだな」声の大きさに反して魔力を込めた。

「「なにぃ」」

 その場にいた冒険者が俺の指摘に大きく反応したが、先のパーティと後からきた人ではその態度が違う。

 戸惑いと驚きだ。

「近くであの群れを見つけて行動を縛るためにこの村に引き入れた。村で待っていれば何度でも来るからな。そして怯えた村がギルドに依頼をだしたってとこじゃないか」

 反論はなかった。


「確認してくる」ギルド職員への報告のためケプロスが立ち上がる。

 結局かれらも連行される事になった。

「また冒険者の悪評が広がるな。まったくいい迷惑だ」と赤い尾のリーダーが言う。


 翌日からの作戦は1頭ずつ確実に仕留める方針に決定。

 俺が足止めして、ケプロスが止め。パーティ3人は畑を守る。

 親1頭と子を4頭を仕留めた。残りは子供が2頭。

 その後2日まったが逃げた2頭は戻ってこなかった。親を失って行動パターンが変わったのだろう。

 ギルド職員が明日帰ると決断した。


「どうする」とはケプロス。

 村に危険がなくなった。

 ギルドからの依頼は殲滅だから2頭を追わなければならないが、発見できる保証もない。

「俺たちは引き上げる」セゲルル達は帰ることを決めた。

「俺は続けたいかな、一頭も倒していない。ケプロスに教えてもらった事を復習したい」と俺。

 翌日全員が村を出た。俺だけ別方向だが。


 あれだけ大きな体なので足跡が残るはず、なので追跡は簡単だと考えていたが甘かった。

 村の周りは足跡だらけでどれが新しい足跡なのか判断が難しい。

 シュリーゲンに村から離れて行く足跡を何本も追ってもらい、やっと2頭の逃げた方向がわかった。

 これに丸1日かかってしまった。


 翌日からはボトリスに地面を先行してもらいながら2頭を追う。

 足跡を見るとところどころ数m離れているところがある、飛ぶ様に走った後だ。

 助かるのはこの走りはほぼ真っ直ぐにしか残っていない。怯え逃げたためだろう計画性などない。

 2匹は一緒に逃げていた。


 追跡は意外に早く終わった。

 山の崩れた一角にいた。そこは木々が倒され土が掘り返されていた。

 2頭その中に泥まみれになって休んでいた。

 子供なので繁殖用の巣ではないだろう、一時的な借家みたいなものか。

 ボトリスが一頭の気管に入り呼吸を止め。シュリーゲンがもう一頭の注意を引いている間に俺が目を貫いた。


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