最初にやって来たのは
最初にやって来たのは、柴垣作りの時に手伝ってくれた、小六の知り合いの二人だった。
たしか、小六の話では、里の人とも自分たち木地師とも違う、山人の二人だと言っていた。
おそらく、小六が今晩の宴に招いたのだろう。
俺が栗ぜんざいを厨に運んで外に出ると、三人で何かを話し込んでいた。
相変わらず、小六は鼻を膨らませ、命令口調で二人に話している。
それを神妙な顔で聴いて畏まる二人の姿が、どこか可笑しい。
小六がこちらを見ている俺に気づき、二人を従えて寄って来る。
その自慢げに歩く姿も、裸の王様のように見えて、口元が緩む。
俺の目の前に立つ二人は、小六に促されて挨拶をした。
ひょろりと背が高く、手足の長い男は「半助」と名乗り、丸い顔が特徴的な男は「千太」と名乗った。
慣れない様子でぎこちなく、それでも丁寧に頭を下げていた。
二人とも小六とは一つ二つ下の年齢らしいが、はっきりとはしない。
小六は「俺たちは用事があるから」と告げ、俺から離れて行った。
厨の煙道からは盛んに煙が昇り、蒸される米の匂いが出入り口から洩れてくる。
その厨から花里が器を持って出てくると、呼ばずとも鶏たちが集まり出す。
花里が手早く餌を地面に撒くと、鶏たちは我先にと啄み始める。
普段であれば、その様子をゆっくり眺めるところなのかもしれないが、忙しいらしく、すぐに厨へ戻ろうとしている。
俺と目が合うと、これから来る客のために、主屋で待つようにと促される。
それとなく促された気もする。
鶏は啄むことに忙しい。
すでに花里は厨の中に戻っている。
しばらくその様子を一人眺めて、俺は主屋の出入口に向かう。
誰もいないと思っていた屋内の上がり口に、千太が立っていた。
丸い顔に笑顔を浮かべている。
俺が何をしているのか尋ねると、小六の指示で、来る客の下足番をするのだという。
彼の足元には、水の張られた桶が置かれていた。
そこで足を洗い、麻布で拭い、中へ入るのだと教えてくれる。
俺がそのまま上がろうとすると、厳しく止められ、足を洗えと言う。
言われるままに洗いながら、小六と半助は何をしているのか尋ねると、半助は門番として客を迎え入れ、小六は敷地内の建屋を案内して回るのだと教えてくれた。
すでに千太と半助も小六の案内で建屋を見て回り、まだ使われていない厠では、こういう風に使うのだと、しゃがみ込みながら事細かに説明されたと語る。
何をしているんだ小六。
実際には使っていないにしても、おまえは。
俺が足を拭いていると、千太は桶の水を替えるために、いそいそと主屋を出ていった。
どうやら、小六は二人を配下のように使う腹づもりでいるらしい。
俺は広間に敷かれた一枚の畳の上でぽつねんと一人、そんなことを考えていた。




