表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/106

3.琥珀色のピン

都のリニアは賑わっていた。港に近く、海が綺麗だ。昨晩の嵐が嘘のように、空は晴れ渡っている。

ジャスミンが用意したワンピースに、目立つ髪を隠すようにローブを被る。浜風が強く、フードが外れそうになる。手で押さえながら、スティーヴンの横を歩く。スティーヴンが振り返り、少し思案顔をしてから、出店に向かった。豊富な品揃えのアクセサリー屋の前で止まり、また思案顔を浮かべる。

「どうなさいましたか?」

留学生の時の姿になっているスティーヴンに聞くと、彼は琥珀色の宝石のついたピン留めを手に取り、フードにつけた。前髪とフードにつけられたピンで、フードが捲れなくなった。

「これを貰おう」

「まいど!」

「えっ、スティーヴン様、これは…」

「ほら」

「え?」

手を差し出され、不思議に思っていると、スティーヴンが言う。

「これで、手が繋げる」

思わず頬を赤らめると、スティーヴンが顔を覗き込んでくる。

「可愛いな」

「よしてください」

顔を背けて、口を尖らせる。また揶揄われた。

「揶揄っているわけではないぞ。本当のことを言っているんだ」

「わ、わかっております!」

否定すると、どんな甘い言葉が飛んでくるかわからない。慌てて肯定し、スティーヴンの手を引っ張る。

「先を行きましょう」

「ああ」

フードを気にしなくていいのは楽だ。手を繋いで歩き、出店を回る。異国のハンカチーフや、栞、スパイスなど、様々なものが売られていた。

「いろいろな国を見てきました。バンターキッシュ王国につくのも、楽しみです」

「もう少しだ。あと一週間もあれば到着する。長旅だったな。すまない、転移魔法で移動することもできるのだが、国の情勢を目で見ておきたかったんだ」

「ええ。わたくしも、様々な国が見られて嬉しいです」

いろんなことがあった。本当に、いろんなことが。でも、それがあったから、スティーヴンとの仲が深まったと思う。

「この都では、何が起きますかね」

「何も起きないで欲しいが。手を離すなよ」

「わたくしをお転婆娘のようにいいますね」

「その通りだろう?」

「う…」

何も言い返せない。今回のこの国では、何も起きないといいがーー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ