3.おやすみ
夕食を皆で済ませ、早めに就寝することにした。スティーヴンはまだ仕事があるらしい。多忙で心配になるが、先に休めとのことだったので、ジャスミンと一緒に休むことにした。
遠くで雷がなっている。今日は悪夢を見そうだな、と思いつつ布団に入った。暫く目を瞑っていたが、なかなか寝付けない。
「寝れないのですか?」
「大丈夫よ。先に休みなさいね」
「いいえ。ローズティーを入れましょう」
「ありがとう」
ジャスミンが部屋で準備をしているのを見ながら、ルーカスを呼ぶ。嵐の夜は、少し心細い。
「ルーカス、貴方も眠れないの?」
「ミー」
膝の上で丸まり、くわっとあくびをした。眠たそうだ。邪魔をしてしまったかと心配したところで、扉がノックされた。
「はい」
ジャスミンが対応すると、相手はスティーヴンだった。手にはタオルを持っている。
「ロティー、大丈夫か」
「スティーヴン様!」
「ルーカスが呼ばれたから、何かあったのかと」
「いえ、もうしわけありません、お仕事の邪魔をしてしまいました」
「いや、いい。寝れていないのか?」
スティーヴンがベッドに腰掛けた。指で髪に触れられ、心地よさに目を閉じる。
「ええ、まだ。少し心細くて」
嵐の夜は、決まって同じ夢を見る。それが怖くて、少し寝付けなかった。
「素直じゃないか。どうした」
「わたくしはいつも素直ですよ」
笑うと、スティーヴンもつられたように笑う。ジャスミンが用意したローズティーを飲み、ほっと息をつく。
「嵐の夜は、少し落ち着かなくて」
「だろうと思って、ジャスミン殿と同室にしたんだ」
そういうことか、と納得して、頭を下げる。
「お気遣い、ありがとうございます」
「私からも、ありがとうございます」
ジャスミンが頭を下げる。スティーヴンはいい、と短く答え、顔を上げるように言う。
「明日は晴れる。都へ行こう。案内する」
「はい!」
「ジャスミン殿は、ロゼッタとオスカーともに護衛についてくれるか」
「はい」
明日の予定を話すと、少し落ち着いた。ローズティーも相まって、眠たくなってきた。
「眠るといい。そばにいる」
「い、いえ。大丈夫です」
ジャスミンがいる手前、甘えるのは恥ずかしい。戸惑っていると、ジャスミンがにこりと笑い、親指を立てられた。
「……では、あの、手を」
寝転がり、手を強請ると、当たり前かのように手を差し出してくれた。
「こ、小指だけでいいです」
照れ臭くて小声でいい、布団を被ると、スティーヴンはくすりと笑い、耳元で言う。
「全部やる。おやすみ」
そんな囁きを耳に、手には暖かな温もりを感じ、眠りに落ちた。




