3.再び
階段から落ちるシャーロットを見た。慌てて駆け寄ったが、間に合わなかったーーが、光のベールに包まれ、シャーロットはふわりとその場に眠るように着地した。
「…スティーヴン様…」
ジャスミンは一目見てわかった。あの光が、スティーヴンの加護のものであると。
バンターキッシュ王国へ向かう道中、沢山のことがあった。ほんとに、たくさんのことが。
「シャーロット様…」
抱き上げ、部屋へ向かう道中、悲しくて泣いてしまった。こんなにも大事に思い遣っている二人が、離れなくてはならない。離れる覚悟をした主人が、悲しかった。
幸せそうに笑い、頬を染め、年相応の姿を見せていたのに。漸く、幸せになれると思ったのに。
シャーロットの部屋の前に、誰かがいた。慌てて涙を拭い、戦闘態勢に入ろうとしてーーやめた。
「スティーヴン様…」
そこには、スティーヴンがいた。人差し指を口的にやり、静かにするよういわれる。
「加護が働いたから、様子を見にきた」
「階段から落ちたようで…」
「そうか。無事でよかった」
そう言い、スティーヴンは愛おしそうにシャーロットの頬を撫でる。
「これから、どうなさるのですか」
本当に、別れてしまうのですか。
侍女として、踏み込んではいけないとはわかっているが、あんなに泣くシャーロット見て、放っておくだけなんて、できない。
「決めたんだ」
ジャスミンからシャーロットを受け取り、額に口付ける。加護の力が働き、光に包まれる。
「もう一度、求婚すると」
その言葉を聞いて、ジャスミンは心底安堵した。諦めないでくれるのだと、唇を噛み締め、涙を堪えた。
「シャーロット様は、頑固ですよ」
「そんなことは、知っている」
少し困ったように笑い、スティーヴンが言う。
「そこも、好きなんだ」
そう言って、シャーロットをベッドに下ろし、闇へと消えていった。




