↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/107

17.決別

ーー芯の通った透き通った声を、拒みたいと初めて思った。

婚約を解消したい、だなんて。彼女の口から言わせてしまった。確かに、危ない目に、沢山あわせてしまった。守れなかった。

不甲斐ない自分が、掛けられる言葉は、ない。

「短い間でしたが、幸せでした。ありがとうございました」

丁寧にお辞儀をする彼女を、どうやって引き止めればいい。どうしたら、どうすればーー。

「おやすみなさい」

パタンと、扉が閉まる前に、強引に手を捩じ込んでいた。

「スティーヴン様…?」

シャーロットの呟きと共に、扉は閉まった。

シャーロットの部屋で、二人扉の前ーー。

「あの、お話は以上です」

わかっている。

「…スティーヴン様…?」

「わかっているんだ!」

びくり、とシャーロットの方が揺れる。

「俺が不甲斐ないことも、俺がきみを傷つけていることも、守りきれていないことも…!」

スティーヴンが両手で顔を覆い、その場に崩れ落ちた。慌ててスティーヴンの手に触れると、驚くほど冷たく、震えていた。

「俺じゃ…っ、守れない、のか…っ」

「スティーヴン、様…」

息が詰まった。スティーヴンの瞳から、一粒の雫が頬を流れたからだ。

「好きなんだ!愛しているんだ!そんなことは、口ではなんとでも言える…!守る、守りたいも、口では何とでも言えると、わかっている…!」

「スティーヴン様…」

「俺では君を、幸せに…できないのか…っ!俺では、ダメなのか」

言葉に詰まった。でも、ここで、甘えてはいけない。一緒にいたいと言ってはいない。私の呪いは、私一人で背負わなければ。


「スティーヴ様。愛していました」

「ロティー」

「さようなら」


そう言って、スティーヴンを立たせ、外に追いやった。それにスティーヴンはーー抵抗しなかった。


ーーさようなら、私の初恋。


ぽとりと落ちたのは、きっと涙ではない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。