「物質基準」初の拘束者 前科なしの小学校教師 予防保護法の施行から9日、世論は支持多数
【ヴァルト市=1992年3月2日】
西ヴァルト連邦の警察当局は1日、血中のマレボリン(通称・悪人物質)濃度がベネボリン(同・善人物質)濃度を上回ったとして、市内に住む小学校教師の男性(41)を予防保護法に基づき拘束したと発表した。同法は先月21日に施行されたばかりで、適用は世界で初めてとなる。
男性に前科や逮捕歴はなく、同僚や保護者からは「温厚で子ども思いの先生」との声が上がっている。拘束のきっかけは、同法の施行に合わせて公務員を対象に行われた一斉検査だった。当局によると、男性のマレボリン濃度は基準値を大きく超えており、再検査でも同様の結果が出たという。
検査にはアーガスノルン社製の簡易生体分析装置が使われた。同社は「装置の精度には絶対の自信がある。今回の結果は、外見や評判では人の内面は分からないことを示している」とコメントした。
男性の弁護人は「何もしていない人間を、数値だけで閉じ込めるのは法治国家の否定だ」として、即時の釈放を求めている。また弁護側は、独自に別の分析機関へ再検査を依頼する方針を示したが、現在、同連邦で認可を受けている分析装置はすべてアーガスノルン社製だという。
一方、本紙が実施した緊急世論調査では、今回の拘束を「妥当」と答えた人が68%に達した。市内で取材に応じた主婦(35)は「子どもを預ける学校の先生が悪人物質の高い人だったなんて、怖くて仕方がない。早く分かってよかった」と話した。
同連邦では今後、教職員や医療従事者、警察官など子どもや市民と接する職業への定期検査の義務化が検討されている。




