「善と悪」体内物質で判別可能に 国際共同研究チームが発表 犯罪予防への応用に期待、倫理面での議論も
【ジュネーブ=1990年11月14日】
人間の善悪の傾向が、血液中に含まれる特定の物質の濃度から判別できる可能性があることが分かった。欧州・北米・日本の12の研究機関による国際共同研究チームが13日、英科学誌に論文を発表した。
研究チームは、成人約8000人の血液を分析。慈善活動や地域奉仕に長年従事してきた人々の血中から高い濃度で検出される物質を「ベネボリン」(通称・善人物質)、暴力事件などで有罪判決を受けた受刑者から多く検出される物質を「マレボリン」(通称・悪人物質)と名付けた。マレボリンの濃度がベネボリンを上回る被験者は、5年以内に暴力的な行為に及ぶ割合が統計的に有意に高かったという。
分析には、米アーガスノルン社が開発した高感度生体分析装置が用いられた。同社の装置は従来機に比べて測定誤差が極めて小さく、参加した全ての研究機関で一致した結果が得られたことが、今回の発見の決め手となった。研究チームの代表は「どの国、どの研究所で測っても同じ数値が出る。これは偶然ではなく、人間の本質に関わる生物学的な法則だ」と話す。
アーガスノルン社は同日、記者会見で「科学が人類の安全に貢献できることを誇りに思う」とコメント。警察機関や刑務所向けの簡易検査装置の開発を進めていることを明らかにした。
一方、国内重工大手の垓亜重工は、本紙の取材に対し「現時点で当社から申し上げることはない」と述べるにとどまった。同社は独自の分析技術で知られるが、今回の共同研究には参加していない。
法学者の間では、物質濃度を根拠に個人を監視・拘束することへの懸念も出ている。研究チームは「あくまで傾向を示すもの」としつつ、「社会がこの知見をどう使うかを議論すべき時期に来ている」としている。




