番号の国
【二〇三六年七月二日 国際通信】
ハロウフィールド、アーガスノルン社の管理下に
米政府「一時的措置」と説明 区域名は「セクター1」
米政府は1日、住民の異常行動が続く中西部ハロウフィールド市とその周辺約300平方キロメートルについて、管理権限をアーガスノルン・コーポレーションに移譲すると発表した。同社は区域を「セクター1」と命名し、独自の警備部隊と医療チームを投入して封鎖と管理を行う。
州兵による封鎖は先月以降、隊員にも症状が広がり、事実上維持できなくなっていた。政府高官は「汚染されたナノマシンを制御できる技術を持つのは同社だけだ。人命を守るための一時的な措置であり、主権を放棄するものではない」と述べた。
セクター1の内部では、米国の法律に代わり、同社が定める「区域管理規則」が適用される。住民約4万人の処遇について、同社は「治療と保護に全力を尽くす」としている。
【二〇三六年九月十八日 ヴァルト日報】
ドルトム市など三都市、管理移譲を決定
欧州初「セクター2」誕生 連邦議会は紛糾
西ヴァルト連邦政府は17日、東部ドルトム市と周辺二市の管理権限をアーガスノルン社に移譲する法案を、賛成多数で可決した。同区域は「セクター2」となる。
ドルトム市では7月以降、ハロウフィールドと同様の症状が急拡大し、市の病院は機能を停止していた。連邦政府独自の調査団は、区域内に入った翌日に半数が体調不良を訴えて撤退している。
採決に先立つ議会では、野党議員が「政府が自国の土地を一企業に差し出すのか」と詰め寄ったが、首相は「では他にどうやって国民を守るのか、示していただきたい」と応じ、議場は静まり返った。
政府関係者によると、移譲の申し入れは連邦政府側から行ったという。
【二〇三六年十一月五日 東都新聞】
「セクター3」は東南アジアに 移譲の動き各国へ
汚染確認は世界27都市に 専門家「政府には測る手段がない」
東南アジアの港湾都市パラン・ヒラで4日、管理権限のアーガスノルン社への移譲手続きが完了し、「セクター3」が発足した。同様の汚染はこれまでに世界27都市で確認されており、うち9都市の政府がすでに移譲の協議に入っている。
各国が移譲に踏み切る背景には、汚染の範囲や進行を独自に把握できないという事情がある。ナノマシン濃度を測る装置は事実上すべて同社製で、汚染区域内では同社の技術者以外が装置を正しく運用できないとされる。
ある国の保健当局者は本紙の取材に「我々が持っているのは、同社から送られてくる数字だけだ。その数字が危険だと言えば、我々は従うしかない」と語った。




