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春桜

 春になれば花が咲いていく。チューリップが咲いている。色んな花が咲いていく。

その中でも、特に美しいのは桜だろう。今では老木となり、倒木の危険があるとはいえ、桜の美しさは毎年、見飽きることは無いのだから。

 出会いと別れの季節。それを象徴しているのだろうか。桜という存在は。

生きている別れと死んでいく別れ。桜の木の下に埋まりたい。そうやって血肉になりたいと思う人もいるだろうか。幻想を思い抱いてしまうほどには。

それほどまでに、そのような思いを抱くほど、桜は美しいのである。散り際さえも含めて。

 桜の木の下で交わされた約束。それは夢を叶えるほどなのだろうか。勇気をふり絞った告白は。

どんな結果になるとしても、散ってしまうのか、実るかは分からない。しかし、生涯忘れることのできないものになるのだろう。

 桜の花が咲き誇る景色というのは、見る人の心に美しさを思い起こさせる。それがどんな場所であったとしても。

 散るからこそ、儚くも美しいものかもしれない。永遠に咲き誇る桜は自然界には、いないのだから。

 あるとしたら、それは人工の桜。それはそれで美しいのかもしれない。不朽かもしれない。けれども、散り際の美しさには及ぶことは無いのだろう。

 雨水に打たれながら、花びらを散らしていく。それもまた1つの性なのかもしれない。桜の木の。しかし、それでもなお、美しいものである。残念なことでもあるが。

花は散り、葉が芽吹いていく。旬が過ぎ去ってしまうのは悲しいものである。特に早咲きの桜に関しては。長く咲いてほしいとは願っていても、散り際の美しさに及ぶものはあるのだろうか。

 ゲームの中では不朽だとしても、味気ないのも事実。絵や写真ならば、不朽となるだろう。散り際の一瞬を切り取った感じになるだろうか。あるいは咲き誇っている感じになるだろうか。

切り取り、閉じ込められたなら、一瞬の美となるだろう。中に入ると、永遠に咲き誇る桜の園だったりして。

昔のゲームに絵画の中に入って、星を集めるというのがあった。それと同じかもしれない。

散り際まで固定されていたら、時が止まった世界になるのだろうか。それはなんだか味気ないものである。

 桜というのは、咲き誇り、散りゆくまでが一連の流れみたいなものであるがゆえに。

 そう考えてみたら、花が咲き、枯れゆくチューリップなんかはどうなるのだろうか。散りゆく美はないとしても、咲き誇る美はあるのだろう。感じ方は人それぞれだとしても。

 桜の林道があったら美しいものとなるだろう。石畳の上に桜の花びらが舞っている。想像しただけで美しい。花びらを掃き集めるのは大変だろうけども。

 桜をモチーフにした絵画というのは、きっと描くのが大変なのだろう。AIで再現できる世の中になったとしても。どこか味気ないのだろう。だが、それでも、桜の美というのは反映されているはずである。

 今や桜は世界中で、日本の美として認められているのかもしれない。桜を見に観光客が来るぐらいなのだから。しかし、時期もあるし、雨水で打たれ、散ってしまった桜の花を見ても、どう思うのか。

栽培用の桜の木は時期が過ぎているのかもしれない。また来年、桜を見に来るのだろうか。1年の辛抱の後に。

 桜というのは美しいものである。その美しさは、見る者の心を虜にするほどに。春の時期になれば、咲いて散りゆくものであるがためにーー。

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