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夕暮れの公園
彼はベンチに座っていた。空を見上げて眺めていた。人気のない公園のベンチに。
冬の寒さと春の暖かさが曖昧となる時間に。夕暮れの時間に彼はいた。
空は混ざり合っていた。夕暮れの赤と夜の青が混ざり合い、美しい黄昏を見せている。
彼はその景色を楽しんでいた。ただ1人で。彼にとって自然の美というのは、この世で最も美しいものだと思っていた。人工による美ではなく、自然が魅せる美に彼は心を惹かれていたのである。
冬と春の中間の時。その時にこそ見えるものがある。彼はそれを虹と呼んでいた。
黄昏の虹と称して楽しんでいた。今日はどのように混ざり合ってくれるのか。その不規則さを楽しんでいた。
誰もが見上げれば、黄昏の時を楽しめるだろう。しかし、最もよく見えるのは、遮るものが無い郊外の公園なのかもしれない。
今の町中というのは、どこも電線だらけの空である。電線の黒い線が夕暮れの景色を邪魔していると言えよう。そこに彼は残念さを見出していた。しかし、文句は抱かない。言っても仕方ないのだから。
永久の黄昏があるのなら、そこに住んでみたいと彼は思っているのかもしれない。
しかし、それはファンタジーの中の産物でしかない。
もし、彼に絵を描く才があるのなら、キャンパスにその思いをぶつけるのかもしれない。風景画ばかり描く画家として――。




