かれのゆめをみるの
8年前に支えてくれた、かれのゆめをみるの。もういないかれのゆめを。
あたしたちの職場を支えてくれた彼のことを。でももういない。彼はあたしたちから離れていった。
何故、離れていってしまったのだろう。何故、あたしたちを支えるのをやめてしまったのだろう。
もう2度と帰ってくることは無い。寂しい。彼がいてくれたなら、こんなことにはならなかったのに。
彼がいなくなって、少しずつみんながいなくなっていった。苦しみに耐えられなくなって。
彼が遺したものは負の遺産となってしまった。苦しみの元になってしまった。嘆きが満ちていった。
外部委託が進んでいった。得られる収入を少なくなっていった。自由に使えるお金が少なくなっていた。
どうしてこうなってしまったのだろう。あたしたちはただ楽しく働いていただけなのに。
彼は、変人が、いなくなってから、こうなってしまった。崩壊してしまった。あっけなく。
彼に会うことはもう無い。戻ってきてほしい。そうすれば、きっとみんな帰ってくる。けれど、それは夢でしかない。儚く散りゆく夢。掴もうと消えゆく蜃気楼のようなもの。
ずっとかれのゆめをみるの。どうしてだろう。起きて涙が出てくる。あたしってこんなに弱かったっけ。分からなくなってくる。
かれのゆめをみるの。彼が離れてしまってから、ずっと。彼の背中ばかりの夢を――。




