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聖女ラエルザ伝 ~脳筋すぎて婚約破棄されたので、領地に戻って改革することにした。もちろん筋力で~  作者: 有山リョウ
第一章

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第十九話 聖女ラエルザ 精霊を発見する②


 二人してひとしきり笑った後、ラエルザは周囲を見回し、ところでと尋ねた。

「ソイル、貴方こんなところで何してたの? ここって魔物が出るかもしれないから危ないわよ?」

「あ、え、それは……」

 ラエルザに問われてソイルは答えに詰まった。下手な魔法をラエルザに知られたくはない。だがラエルザに嘘も吐きたくなかった。


「その……魔法の……練習……を」

「魔法! ソイル、貴方魔法が使えるの!」

 ラエルザはまた目を輝かせる。その顔は可愛いが、あまりに眩しすぎる。


「いや、その、俺は魔法を全然使えないんだ! 地面の色を変えることしかできなくて、本当に駄目で、だから……練習、を……」

 ソイルは叫ぶように真実を告げた。言っていてあまりにも情けなくなり、最後は消え入りそうなほど声が小さくなってしまう。


「そうなんだ。じゃぁ、私と一緒ね。治癒術ってわかる? 傷を治療する力なんだけれど」

 笑いながら話すラエルザに、ソイルは頷いた。神託教会に所属する聖職者の一部は、傷を治す奇跡の力を持っているという。ただキルクス村に治癒術の使いてはおらず、見たことはない。


「私、治癒術の才能があるけれど、全然使えないの。教会の人につきっきりで教えてもらったんだけれど、これが全くダメで……」

 照れ笑いを浮かべるラエルザの目が、ソイルの右手で止まった。


「怪我したの? 血が出てる!」

 ラエルザは大きな声をあげるが、先ほど魔法を使った時にできた傷だった。針で突いたような傷で、すでに血は止まっている。


「大丈夫だよ、大したことはないし」

「駄目よ! 悪化したらどうするの! 手を出して!」

 ラエルザは有無を言わさず、ソイルは言われるままに右手を差し出す。


「ちょうどいいわ、見ていて」

 ラエルザは、ソイルの右手の前に両手を差し出して目を瞑った。そして深呼吸をする。するとラエルザの手から、白い光が放たれた。ソイルが使用する、土魔法にも似た光だ。だがその光は小さい。掲げられた両手の先に、ほんの小さな光が頼りなく瞬いている。


 あまりにも小さく、不安定な光。しかし両手を掲げるラエルザの額からは汗が流れ、全力を尽くしているのがわかる。

 頼りなく明滅する光を手に受けていると、傷口が少しかゆくなる。ラエルザが唸り、力を籠めると光が少しだけ強くなる。すると傷口が塞がっていく。


「ど、どう? な、なおった?」

 ラエルザは額に汗を流し、荒い息を吐きながら尋ねる。

「う、うん。治ったよ……それより大丈夫?」

 呼吸が整わないラエルザを見て、ソイルは心配になってくる。ほんの小さな傷を治療するために、こんなに体力を消耗しては、割に合わないだろう。


「大丈夫、すぐに収まるから」

 ラエルザは何度かの深呼吸の後、ようやく呼吸が整う。

「私本当に下手で、これだけやってようやく小さな傷を治せる程度なの。教会の人もさじを投げたぐらいで……」

 額に汗を流す、ソイルは笑みを返した。 


「でも俺の方がもっと下手だよ、これを見てくれ」

 ソイルは膝をつき、右手を地面にかざして土魔法を発動した。すると地面が白く変色し始める。


「ほら、こんなことしかできない。がっかりだろ?」

「そんなことないわ、私が治せる傷なんて、これぐらいよ」

 ラエルザはソイルの前で親指と人差し指を近づける。二本の指の間は、ほとんど見えないほどの距離しか開いていない。


「私もソイルも、練習しないとだね」

「うん。俺の魔法は、もしかしたら土の栄養状態をよくすることができるかもしれないんだ。だから使えるようになったら、村の為になるかも」

「それはすごいわね!」

 ラエルザが笑顔を見せてくれる。その顔を見ると絶対にできるようになってやろうと心に誓う。


「あれ? 精霊様は?」

 ソイルが周囲を探すと、精霊様はラエルザの腰のあたりにいた。ラエルザが肩から下げるポシェットをしきりに触っている。


「何してるんだろ?」

「もしかして……これが欲しいのかな?」

 ラエルザがポシェットを開け、中から青く光る石を取り出す。石を見るなり精霊様が飛び跳ねる。ラエルザが石を差し出すと、精霊様は抱きつき頬ずりをする。


「へぇ、その石は何だい?」

 ソイルは青く光る意思をまじまじと見つめた。村では珍しい石を集める遊びが、子供の間ではやっている。ソイルも集めているが、こんなに透き通った青い石は見たことがない。


「いいでしょ、これ魔石っていうの。他にも沢山あるのよ」

 ラエルザは、ポシェットの中を見せる。肩から下げる小さな鞄の中には、大小さまざまな魔石が詰まっていた。

 自慢のコレクションを見せるラエルザの口元は、ニマッと緩んでいる。確かにきれいな石なので、自慢する気持ちもわかるが、疑問が出て来る。


「でも魔石って、魔物から取れる石だろ? どうやって手に入れたんだ?」

 ソイルは首を傾げた。するとラエルザは体を震わせ、顔がぎこちなく動く。


「え……そ、それは……あの、その……」

 ラエルザは額に汗をかき、視線を泳がせる。その顔色から、ソイルは答えにくいことを聞いたことを理解した。


「あの、言いにくいことなら……」

 ソイルが聞くのをやめようとしたその時だった。ラエルザの背後で梢が揺れる音がしたかと思うと、巨大な影が森の茂みから姿を現した。


ロメリア戦記のアニメが、2026年10月3日(土)21時~

アニメタイムズ・U-NEXT・Netflixにて国内独占&地上波先行配信!

また2026年10月5日より

TOKYO MX/BS11/サンテレビ/KBS京都/CBCにてⅡクールで放送が開始されます !



皆さん見てください

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