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聖女ラエルザ伝 ~脳筋すぎて婚約破棄されたので、領地に戻って改革することにした。もちろん筋力で~  作者: 有山リョウ
第一章

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第十一話 聖女ラエルザ 魔物を討伐する②


 私が棍棒となったデザリアを肩に担ぎ、山を下りていた。見上げれば木々の間で輝く太陽は、すでに真上から傾き始めている。お昼を過ぎていることに気づくと、私のお腹が鳴った。


「お腹すいた♪ お腹すいた♪ お腹すいた♪ なー♪ 今日のお昼は何だろな~♪」

 お腹がすいた歌を歌いながら下山すると、麓から私を呼ぶ声がした。

 声のする方向に向かうと、麓に黒い侍女服を着たアリサが立っていた。その手には、籐で編まれたバスケットが握られている。


「アリサ、どうしたの?」

「お腹がすいているのではないかと思いまして、お昼をお持ちしました」

 アリサがバスケットを掲げた。私はスキップして駆け寄り、お弁当を確かめる。中にはハムや野菜を挟んだサンドイッチに、林檎と水筒が入っていた。


「ありがとう、とってもお腹がすいていたの」

「では、こちらにお座りになってください」

 アリサが格子柄のシートを敷いてくれるので、私はそこに座ってサンドイッチを頬張った。


「よく噛んで食べてください。はい、お茶です」

 腹ペコの私にアリサは注意しながら、水筒のお茶を入れてくれる。言われた通りよく噛んで食べ、お茶で一息入れる。横ではアリサが林檎の皮を剥いてくれていた。皮の一部を残し、兎さんにしてくれていて可愛い。手を伸ばしひとつつまむ。


「しかしお嬢様。山に入り魔物と戦うなど、お嬢様がする仕事ではないと思いますが?」

 シャクシャクと林檎を頬張る私に、アリサが眼鏡の下にある三白眼を向ける。

 魔物とは魔王ゼーダインが残した瘴気により、呪われた野生動物が変異した姿と言われている。凶暴で人々に害をなすことが知られている。


「仕方ないじゃない。領内の魔物を一掃することが、監査の一つなんだから」

 私は林檎をかじりながら答えた。王都からやって来た監査官のボードンは、領内の安全を問題視した。そして期間内に魔物の脅威を払拭できねば、領地を取り上げると宣言したのだ。

 私は魔物に立ち去ってもらえるよう、神様にお祈りをしてみますとその場で言いつつ、魔物の対処に乗り出したのだ。


「別にお嬢様がなさらずとも、私がいたしますよ?」

 アリサが平然と答えるも、私は駄目よと返す。

「アリサには、ボードン様の食事やお世話があるじゃない。ほったらかしにしたら、監査官の食事もまともに出せないのかと言い出すわよ」

 私はがみがみと怒鳴るボードンの姿が予想出来た。アリサとしては腹立たしいだろうが、ボードンをないがしろにしない方がいい。


「でしたら人を雇ってやらせましょう」

「無理言わないでよ。キルクス村の住人に魔物退治なんて無理よ。それに討伐報酬を支払うお金もないでしょ?」

 私は林檎を呑みこんで反論した。普通の領地であれば、自前の兵士や騎士団を抱えていたりする。だがキルクス村にそのような戦力はどこにもない。魔物を退治する専門の狩人もいるが、彼らを雇い入れるお金もないのだ。


「私がやった方が早い。それにそもそも領内の安全は、領主の仕事だし」

「それでも、危険すぎます!」

「そんなに危険じゃなかったわよ。それに最近、こういうこともできるようになってさ」

 私は立ち上がって数歩前に進むと、両手を構えて体に力を込めた。すると全身から赤い蒸気のようなものが噴き出し、体から力が沸き上がる。


「見てて、これすごいのよ」

 私はその場で跳躍した。すると体が天高く舞い上がり、森の木々を見下ろすほどの跳躍押した。眼下にはアリサの姿が小さく見える。

「どぉ、すごいでしょ!」

 空中で叫んだ私は、スカートを押さえながら着地した。


「お嬢様。その体から噴き出る赤い光は、闘気と呼ばれるものです。才能ある戦士が十年の修行を重ね、ようやく到達しうる武の極地ですよ」

「へぇ、そうなんだ。アリサはやっぱり物知りね」

 私は感心しながら、林檎をもう一つ食べた。


「その闘気だっけ? を使うまでもなかったから、危険じゃなかったわ」

「そうなのですか? 血マダラは強力な魔物と聞いておりましたが」

「普通だった。そうそう、言われた通りとって来たわよ。これって魔石っていうんでしょ?」

 私なポケットから、やや深い青色をした石を取り出してアリサに渡した。キラキラと光沢のある硝子のような石だった。


「はい、確かに魔石ですね。大きさや石の純度から見て、血マダラは第五から第六等級の魔物だったようですね」

 魔石を太陽に透かして見るアリサに対し、私はふ~んと気のない返事をした。魔物の強さは十段階あり、数が小さい方が強いと言われている。だが第六等級が、どれぐらいの強さなのかよくわからない。


「魔石は魔道具の原料ともなりますので、売ることが出来ます」

「それって高く売れる? 監査には税金を納めることがあるらしいけれど、その足しになったりする?」

 私は希望を込めて尋ねたが、アリサは静かに首を横に振った。


「六等級の魔石は高値で取引されますが、領主が収める税金には届きません。それに買い取り業者もいませんので、売却するには時間がかかります」

 私の希望は、一瞬にして落胆へと変わった。すぐに何でも解決とはいかない。


「なら、売却するまでは私が持っていていい?」

 私は光る魔石を太陽に透かして見た。綺麗な石を集めるのは大好きだ。王都にあったお屋敷には、大きな箱にいくつもコレクションを収めていたものだ。ただキルクス村にはさすがに持ってくることができずに諦めた。

 あれほどのコレクションを失ったのは大きな痛手だったが、新たに集め直そう。


「もちろんどうぞ、魔石は手に入れた者の所有物と決まっておりますので」

 アリサの言葉に、私はえへへと笑う。新コレクションの第一号だ。肩から下げるポシェットが部屋にあったはずだから、それに入れて持ち運ぼうと決める。


「さてと、腹ごしらえも済んだし、もうひと頑張りしますかね。近くにもう一体、狂暴な魔物が出るらしいの。ちょっと行ってくるね」

「お嬢様なら大丈夫かと思いますが、お気を付けください。油断大敵ですよ」

「うん、気を付ける。夕食までには帰るから」

「わかりました、お夕飯を作ってお待ちしております」

 立ち上がる私に、アリサがお辞儀をする。私は行ってきますと声を返して、元気よく進んだ。


 聖ラエルザ伝 第一章第二節

 魔物に苦しむ者達の声を聴き、聖女ラエルザが祈った。すると魔物は姿を消し、村人には安寧がもたらされた。


ロメリア戦記のアニメが、2026年10月3日(土)21時~

アニメタイムズ・U-NEXT・Netflixにて国内独占&地上波先行配信!

また2026年10月5日より

TOKYO MX/BS11/サンテレビ/KBS京都/CBCにてⅡクールで放送が開始されます !



皆さん見てください

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