〈9〉伝説がはじまる
雲一つない夜空に満月が輝く。
ナオとヨシノとノハナの三人が出会った断崖絶壁の上に再び三人はいた。ナオはここに来たときのジャケットとパンツを履いていた。ただ違っていたのは満潮で絶壁のしたまで波が押し寄せていた。
「ナオが現れたのは満月の夜だった。だからもしかしたら満月の夜、ここから飛び降りればナオは自分の世界に戻れるかもしれないわ」ヨシノが言った。
「かも? かもって、戻れないかもしれないってこと」ナオは絶壁の下を見た。三十メートル下の断崖に激しく打ち寄せる波が見えた。
「そうね。そんなの誰もやったことないから。でも、ここがナオの世界と繋がってるかもしれない」
「やっぱ、かもなんだ」
「まぁ……」
「じゃぁ、戻れなかったら」
「私が埋葬してあげる。お花でいっぱいにしてあげる」
「埋葬は無理だ。波がここまで来てる」
「じゃぁ、波のないときに飛んで」
ノハナはナオに微笑んで見せた。
「考えとくよ。別に、今帰りたいとか、そんなの思ってないから」
「残念」
「残念って」
「別にナオがここから飛び降りるところが見たいんじゃないよ。ここから飛んで、ナオがよその世界に行くところが見たいのよ。そしたら私もいつか行けるでしょ」
「いやぁ、辞めた方がいい」
「なんで?」
「何も知らない原始人だから」
「あ、馬鹿にした! お姉ちゃん、私たちのこと馬鹿にしてるよ」
ヨシノはクスッと笑った。ナオはヨシノの笑い顔を見た。
ヨシノはナオの視線に気づきナオを見た。二人は見つめ合った。
〈やっぱり俺、どの時代に生まれても、ヨシノさんのこと好きなのかな。もっと邪馬台国や卑弥呼のこと、もっと知っておけばよかった……。でも、邪馬台国って、一体どこにあるんだっけ?〉
断崖絶壁の上でナオはヨシノの挟んでノハナをからかい、逃げている。
ナオを捕まえようとするノハナ。
謎に包まれた邪馬台国の女王卑弥呼の伝説はここから始まる。
〈おわり〉
この作品は2025年日本テレビ、シナリオライターコンテスト2025年に応募し、一次審査落ち。
翌年二月締め(2026年)、フジテレビ、第38回ヤングシナリオ大賞に応募するも落選。
この作品の改稿(加筆)し、続編を数話作り、小説を応募する予定です。
いつか公開すると思います。
その際はよろしくお願いします。
最後に、この小説のシナリオ版も公開してます。
日本古代史ミステリーの邪馬台国の女王卑弥呼というスーパースターが素材ですので、コンテンツとしてはかなり破壊力があると思っています。




