〈3〉ヤマタイ
ナオはヨシノとノハナの集落に連れて行かれた。集落の人々はみな、ヨシノやノハナと同じ貫頭衣を着て、茅葺きの屋根を被せた家しかなく、所々に松明で光を取っていた。
人々は見馴れるカッコをしているナオを不思議そうに見たが、ナオもまた不思議そうに人々や家を見た。
「確か、上野の科学博物館であんな服、着た人形、見たような気がするなぁ」ナオはポツリと呟いた。
「ヨシノ!」
家の前で父のオトシカ、母のナギリ、兄のタケヒト、弟のサヒトモの四人が待っていた。
「おとう!」
ヨシノとノハナはオトシカに抱き着いた。
「ヨシノ。その人は?」
みんな、改めてナオを見た。タケヒトは剣の柄を握った。
「え、斬るの?」ナオは呟いた。
「岩のほこらに行ったらいたの」ノハナが言った。
「もしかしたら神の遣いじゃないか、と思って」ヨシノが言った。
「神の遣い?」オトシカが言った。
「手足をバタつかせて、まるで矢に撃たれた人にしか見えなかったけど」ノハナが皮肉った。
「兎に角、中に入りましょう」ナギリが集落の人々の視線を気にして言った。
茅葺き屋根の中は地面を掘って床を作り、茅葺き屋根を被せた竪穴式住居。土器も見える。
「こりゃ一体、いつの時代だ?」ナオは呟いた。
囲炉裏の囲むように座り、ナオの両隣にヨシノとタケヒトが座り、ナオの前にオトシカが座り、ノハナはナギリにべったり甘えていた。
「お前は一体どこから来た。そんな見馴れるものを身にまとって」オトシカがナオに言った。
「どこから来たって、マジで言ってんのか」
「マジ? マジとはなんだ」
ナオは頭を抱えた。
「なんていったらいいのかな。少なくともここではない。この時代ではない。……未来。そう遠い未来。遠い遠い未来。未来って分かる?」
オトシカたちはピンと来てない。
「未来って、先のこと?」ヨシノが言った。
「そう! ずーとずーと先のこと。その先から来た、と思う、たぶん」
「ふーん」ヨシノ以外はどうもピンと来てない。
「クナのものではないのだな」
「クナ? クナって何?」
「クナも知らないのか?」
ナオはその晩、ヨシノの家族と話した。
ナオがクナの回し者でないことは伝わった。そして、ナオは自分が別の世界から来たことを話した。持っていてスマホも見せたが全く理解されなかった。分かったことはすぐ神と繋げたがることを知った。些細なことだがここでは「ヨシノさん」といってもヨシノには通じないことがわかった。この時代に、さん付けや殿などの敬称がないのだ。しかし、小説を描くにあたって何かと不具合が出るので細かいことには拘らないことにしよう。
〈一体ここはどこなんだ。もしかして、これが死後の世界?〉




