表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
40/41

第39話 ヒヤシンスの咲くときに

「そうですね……」


アルベール様が、穏やかに口を開いた。


「昔、お城に子どもたちを招いてくださったことがありましたよね。」

「そこに、私もいたのです。」


「まあ!」



私は知っていたが、リリア様は初めて聞かれたようだった。



「私は、ルシアンのように社交的ではありませんでしたし……この髪の色もあって。」


「このあたりでは黒い髪は珍しく、ルシアン以外は、あまり近寄ってこなかったのです。」


「……そうですか……」


リリア様が、静かに言葉を返す。


「ですが――」


アルベール様が、リリア様を優しく見つめる。


「そんな私に、リリア様は、読んでいらした絵本を指さして、こう言ってくださったのです。」

『この人といっしょ……すてきね』


……リリア様が読んでおられたのは、『竹取物語』でした。」


「東の国のお話で……登場人物の髪の色が、私と同じだったのです。」


「その言葉に、私は――とても救われました。」


少しだけ、言葉を区切る。


「その時からずっと……優しいあなたを、忘れることはありませんでした。」



アルベール様は、静かに微笑んだ。



「私の『竹取の王子様作戦』は、いかがでしたか?」


「珍しい植物を、姫君に贈らせていただきましたが……」


「まあ。大成功でしたよ、アルベール様。」



リリア様も、くすりと笑う。



二人は見つめ合ったまま、やわらかく笑い合っていた。


――その時だった。 窓辺から、ふわりと甘い香りが流れてくる。



「……アンナ、見て。」


リリア様の声に振り向く。



そこには―― ヒヤシンスが、淡い色の花を咲かせていた。



「まあ……!」



思わず、声がこぼれる。



「ようやく、咲いてくれましたね。」



アルベール様が、優しく微笑んだ。



春の陽だまりの中、 私たちはしばらく、その花を見つめていた。



――静かに、可憐に咲いたその花は、 まるで二人の重なる想いのようだった――



最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。ブックマーク、リアクションいただいた方、ありがとうございます。とても嬉しかったです(*^^*)


幼かったリリアが、成長し、婚約するところまで書くことができ、今は胸がいっぱいです。


転生したら侍女でしたシリーズは、私が初めて書いた作品で、とても思い入れのあるものです。

作品を完結させることが、こんなにも大変で、そしてやりがいのあることなんだと実感した、貴重な時間でした。


もしかしたら、またいつかリリア達の話を書くかもしれません。その時は、どうぞよろしくお願いいたします。


感謝の気持ちを、めいいっぱい込めて。


お話、少しでも気に入っていただけたら、応援ボタンを押していただけると励みになります(^^)


※遅くなりましたが、エピローグを掲載しました!良かったら、見てみてくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ