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第38話  穏やかな日々


春の日差しが、やわらかく降りそそぐ。


リリア様とアルベール様は、結婚式の準備に追われ、慌ただしくも穏やかな日々を過ごしていらっしゃる。



「大変ですわね、アルベール様。」



リリア様が、微笑みながら言う。



「そうですね、リリア様。でも――」



アルベール様も、穏やかに笑みを返した。



「今、少し頑張っておけば、この先はきっと楽になりますから。」



――そう言いながら。



お二人は並んで、庭の雑草を抜いていらっしゃった。


婚約された今も変わらず、土に触れている姿が、なんともお二人らしい。



「お二人とも!」



私は、少し離れた場所から声を張り上げた。



「もうすぐ、衣装合わせの業者が参ります!そろそろお戻りください!」



「まあ、もうそんな時間?」



「行きましょうか、リリア様。」



名残惜しそうに顔を見合わせながら、お二人は立ち上がった。


……………………………………………


「ところで、アルベール様。」



歩きながら、リリア様がふいに口を開いた。



「なんでしょうか、リリア様。」



優しい眼差しで見つめ返しながら、アルベール様が応じる。



「前から、不思議に思っていたのですが……」



少し言いよどみ、視線を逸らす。



そして、視線を逸したまま、



「ア、アルベール様は……私のどのあたりを、良いと思ってくださったのでしょうか?」



頬をほんのり赤く染めながら、リリア様はそう尋ねた。



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