39/41
第38話 穏やかな日々
春の日差しが、やわらかく降りそそぐ。
リリア様とアルベール様は、結婚式の準備に追われ、慌ただしくも穏やかな日々を過ごしていらっしゃる。
「大変ですわね、アルベール様。」
リリア様が、微笑みながら言う。
「そうですね、リリア様。でも――」
アルベール様も、穏やかに笑みを返した。
「今、少し頑張っておけば、この先はきっと楽になりますから。」
――そう言いながら。
お二人は並んで、庭の雑草を抜いていらっしゃった。
婚約された今も変わらず、土に触れている姿が、なんともお二人らしい。
「お二人とも!」
私は、少し離れた場所から声を張り上げた。
「もうすぐ、衣装合わせの業者が参ります!そろそろお戻りください!」
「まあ、もうそんな時間?」
「行きましょうか、リリア様。」
名残惜しそうに顔を見合わせながら、お二人は立ち上がった。
……………………………………………
「ところで、アルベール様。」
歩きながら、リリア様がふいに口を開いた。
「なんでしょうか、リリア様。」
優しい眼差しで見つめ返しながら、アルベール様が応じる。
「前から、不思議に思っていたのですが……」
少し言いよどみ、視線を逸らす。
そして、視線を逸したまま、
「ア、アルベール様は……私のどのあたりを、良いと思ってくださったのでしょうか?」
頬をほんのり赤く染めながら、リリア様はそう尋ねた。




