第37話 戻ってきた日常
「アルベール!!」
ルシアン様が、アルベール様に駆け寄った。
「今まで手紙もよこさずに、何をしていたんだ!」
「リリア様も、僕たちも、すごく心配していたんだからな!」
ルシアン様が、目を潤ませて言った。
「ルシアン、連絡もできずに申し訳なかった。」
「実は……」
アルベール様は、今までの出来事をルシアン様に話す。
東の国は大変な情勢であること。
自分はそこの王子であること。
そして――、
リリア様と婚約されたことを。
「なんだ、なんだ。王子とか聞いてないぞ! こっそり教えてくれたってよかったじゃないか!」
あまりのことに、ルシアン様は驚きを隠せない。
「ちゃっかり婚約までしたって? 抜け目ないよな、お前は。」
「――でも、リリア様。本当に良かったですね。」
ルシアン様が、リリア様のほうを見て言った。
「はい。」
リリア様が、笑顔で答える。
「アルベールは、これでも頼りがいのある男ですよ。待っていた分、存分に甘えてくださいね!」
「まあ……!」
ルシアン様は、笑顔でリリア様に言った。
「ルシアン様。ミリーにも、今回のことをお伝え願えますか?」
「もちろんですよ! 毎日心配していましたから、とても喜びますよ。」
「今日だって来られないのを、すごく残念そうにしていましたからね。」
ルシアン様は、快く引き受けてくれた。
――やがて、アルベール様とルシアン様が、楽しそうに話し始めた。
ようやく日常が戻ってきた――
そんな気持ちになった。
けれどそれは、以前と同じものではなく、
新しい未来へと続いていく、穏やかな始まりだった。




