第36話 共に育てる未来
「王妃様――、」
「リリア様を、私の妻として迎えさせてください。」
「長い間、お待たせしてしまいました。」
「それでも……待っていてくださったリリア様と、 これからの時間を、共に育てていきたいのです。」
「私の妻は、……リリア様しか考えられません。」
深く、深く頭を下げた。
――沈黙の後
王妃様が、穏やかに口を開く。
「……顔を上げてください、アルベール様。」
「お言葉、とても光栄に思います。」
「――ですが。」
その視線は、リリア様へと向けられた。
「私は、娘の意思を何よりも尊重したいと考えています。」
「リリア。」
「あなたは、どう思うの?」
「……私は……」
リリア様は、顔を上げる。
「私も……」
「アルベール様以外の方は、考えられませんわ。」
「長い間……お待ちしておりました。」
「本当に、長い間……」
待っていた日々を思い出したのか、リリア様の目には涙が浮かんだ。
「リリア様……」
「私と、共に生きていただけますか?」
アルベール様が、そっと手を伸ばす。
「はい。もちろんです、アルベール様。」
リリア様もまた、その手を取った。
重なる手。
視線を合わせた二人は、ふわりと微笑んだ。
――ぱち、ぱち、と。
静かな拍手の音がした。
やがてその音は広がり、祝福となって場を満たしていく。
まるで 二人の未来を優しく後押しするかのように、
その拍手は、いつまでも鳴りやまなかった――。




