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エピローグ 花咲く未来へ


一年後の、ある晴れた日。


チェリーブロッサムは満開を迎え、

花びらは、ひらひらと踊るように舞っていた。


「リリア様、髪に花びらがついていますよ」


アルベール様が、優しく指でつまむ。


「ありがとうございます、アルベール様。今日は晴れて、本当によかったわ。」


リリア様が、ふわっと笑った。


「アルベール様、リリア!」


ミレーヌ様と、ルシアン様ご夫婦が、馬車から降りてきた。


「おめでとうございます、アルベール様。おめでとう、リリア……。とっても綺麗よ。」

「ガーデンウェディングだなんて本当に、あなたたちらしいわね。」


その言葉に、アルベール様と、リリア様は、顔を見合わせて微笑んだ。


「ミリー、ルシアン様。本日は、お越しいただき、ありがとうございます。」


リリア様が頭を下げた。


「おめでとうございます、リリア様。ミリーも、僕も、この日を楽しみにしてました。」

「おめでとう、アルベール。今日は、男前だな!」


「『今日は』なんて失礼よ、ルシアン。アルベール様は、いつだって、男前でいらしてよ。」


ミレーヌ様の言葉に、みんなの笑いがこぼれた。




――教会で、式が始まった。


リリア様と、アルベール様が、神父様の前に立つ。



リリア様の指に、アルベール様から指輪がはめられた。


指輪の箱は、かつて、ヒヤシンスの球根が入っていた箱だった。


それは、お二人にとって思い出の、とても大切な箱であった。


アルベール様と離れていても、リリア様は、辛抱強くお待ちになっていた。


そして――


幼かったリリア様を思い出し、胸がいっぱいになった私は、ハンカチで涙をぬぐった。



リリア様が、ご結婚された――。


リリア様の幼い頃から、一緒に過ごしてきた私は、リリア様を自分の子供のように思っていた。


ご結婚は、もちろん嬉しい。

けれど、これで手が離れてしまうのかと思うと、淋しくも感じた。



二人が誓いのキスを交わすと、賛美歌が流れる。


音楽に混ざり、


おぉーん、うぉーんと、号泣する声が聞こえてきた。


「リリア様〜、世界で一番綺麗ですよ〜!!」

「アルベールぅ!!幸せにしないと、承知しないぞぉお〜!!」


……涙でぐちゃぐちゃになりながら叫んでいたのは、私の夫である、料理長だった。


「まったく、なに泣いているのよ!」

「皆さんに、最高の料理をお出しするんでしょう?」


料理、という言葉に、ハッ!

と我に返った夫。


「そうだった、こうしちゃいられない。」

「食材たちが、オレを待っている……!」


猛ダッシュで、厨房へと戻っていった。


単純なんだから……。



アルベール様と、リリア様は、晴れて夫婦となられた。


アルベール様は、こっそりリリア様に耳打ちした。


「結婚したのですから、これからは、『様』は無しにしましょうね、リリア。」


とたんに、真っ赤になられたリリア様。


「まあ。そんな、突然変えるのは難しいですわ、アルベール様。」


「では、ゆっくり慣れてくださいね」


優しく微笑むアルベール様に、リリア様は照れくさそうに笑われた。



――あの日、何も選べなかった小さなお姫様は、今は心から愛する人を伴侶に選び、幸せになった。


その姿を見届けることができて、私は本当に幸せだ。



――お二人によって、お城の中も外も植物で溢れ、いつしか、


『世界で一番美しい庭園を持つお城』


と言われるようになったのは、数年後のことだった――



――終――


お久しぶりです。

二人の結婚式を書いてなかったことが、ずっと心残りでした。

ようやく書くことができ、作者ながら感激です(笑)

幸せになったリリアの話を、お読みいただけたら嬉しいです。

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