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第21話 夜の訪問者 2
アルベール様は、なかなか口を開かなかった。
「……アルベール様?」
呼びかけると、アルベール様は決意したように顔を上げた。
「リリア様。こんな時間に申し訳ありません」
「ですが……どうしても、今お伝えしたくて」
そして、静かに告げる。
「ーー明日、私は東の国へ帰ります」
「!!」
突然の言葉に、リリア様は息を呑んだ。
……しばらくの沈黙。
「こんなに急に決まるなんて……」
苦しげに、リリア様が呟く。
「……きっと、私のせいなのね」
アルベール様は、すぐに首を横に振った。
「違います」
「ーー確かに、予定が早まったのは事実です。ですが、もともとこちらに長く滞在する予定ではありませんでした」
「今回は、完全に私の事情です」
「だから、どうか……そのようなことを言わないでください」
アルベール様はお優しいから、そう言ってくださるけれどーー、
やっぱり、自分が原因なんだろうな、とリリア様は思った。
「リリア様、そんな顔をしないでください。」
アルベール様の声がする。
いったい、どんな顔をしてしまったんだろう?
はっとして顔を上げると、暗闇でアルベール様と目が合う。
その瞳には、覚悟が感じられてーー、
次の言葉を、
聞くのが怖いと思った。




