表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男女比『1:16億』の北半球 ~50年ぶりの生身の男に、世界中が大パニック&大熱狂!~  作者: 団田図


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/52

第11話 防疫施設

「お、お待ちしておりました、御手宮おてみや様! さあ、こちらへ!」

 壁を越えたタケルをいち早く取り囲んだのは、防護服のような白いスーツに身を包んだ北半球の役人たちだった。もちろん、全員が女性である。

 彼女たちはタケルを群衆の熱狂から引き剥がすようにして、本部ビルに併設された国境ゲートに臨時で設置した防疫施設へと足早に案内した。

「はぁ、はぁ……すごい人だったな」

 タケルが息をつきながら振り返ると、案内をしてくれている若い女性職員たちの様子がどこかおかしかった。彼女たちは防護マスク越しにも分かるほど顔を真っ赤にしており、チラチラと落ち着かない視線をタケルの顔や筋肉質な腕に向けているのだ。

「あ、あの。どうしました?」

「ひゃいっ!? い、いえ! その……本物の男の方って、こんなに背が高くて、ガッチリされているんだなって……それに、南半球の……男の方特有の匂いというか……」

 女性職員がモジモジと身体をよじらせながら答える。高度に自動化され泥臭い肉体労働が一切排除された北の社会で育った彼女たちにとって、タケルから発せられる太陽に焼かれたような乾いた土の匂いや汗、そして男性ホルモンの野性的な香りは、本能を直接揺さぶる劇薬だった。

「と、とにかく! まずは南半球の細菌や汚染物質を取り除くため、徹底的な洗浄と除菌を行います! こちらの除菌ルームへお入りください!」

 案内されたのは、壁一面が真っ白なタイルで覆われた、広大なシャワールームのような場所だった。

 女性職員はタブレット端末を操作しながら、どこか上擦った声でタケルに指示を出した。

「そ、それでは御手宮様。洗浄プロセスを開始しますので、あの……服を、すべて脱いで、ぜ、全裸になっていただけますか……?」

「……え?」

 タケルは自分の耳を疑った。目の前には、二十代前半と思われるうら若き女性職員が三人も並んで立っているのだ。

「全裸って……あんたたちがいる前で、ですか!?」

「は、はい。私たちは臨時防疫担当の検査官ですので、除菌液が皮膚の隅々まで浸透しているか、目視で確認する義務が……」

 女性職員は「義務」という言葉を使いながらも、その瞳の奥には隠しきれない好奇心と、未知の生物の生態を観察したいという欲望がメラメラと燃え上がっていた。

「いやいやいや! 無理です! 勘弁してください!」

 タケルは顔を真っ赤にしてボストンバッグを盾のように構えた。南半球では男ばかりだったため裸になることに抵抗はなかったが、同年代の女の子の前でスッポンポンになるなど、十七歳の純情な男子高校生には致死量を超える羞恥プレイである。

「お、お願いです、少しでも未知の病原菌が北半球に持ち込まれたら大変なことに……!」

「自分でしっかり洗いますから! せめて、パンツ一丁じゃダメですか!?」

 タケルが必死に懇願し、頭を下げ続けること数分。女性職員たちは「パンツの裏側に菌が残る可能性が……」などとブツブツ言いながらも、タケルのあまりの必死さに絆され、渋々といった様子で妥協した。

「わ、分かりました……それでは、下着一枚になって、あちらのサークルの中へ立ってください」


 タケルがシャツとズボンを脱ぎ、ボクサーパンツ一枚の姿になると、女性職員たちから一斉に「ほうぅ……」という熱っぽい感嘆の溜め息が漏れた。

 南の過酷な環境とジャンクフードで鍛え上げられた、厚い胸板と割れた腹筋。無駄のない引き締まった肉体が露わになったのだ。

「開始しますっ」

 女性職員が慌ててボタンを押すと、天井から特殊な青い光が降り注ぎ、同時に四方から細かいミスト状の除菌液が噴射された。

「うわっ、冷たっ! ……でも、いい匂いだ」

 ミストはタケルの肌に触れるとスッと馴染み、吹き抜ける熱風と、サバンナの乾いた草が擦れ合うような荒々しい匂いを完全に中和していく。北半球の最新鋭のシステムによって、タケルの体は文字通り『無菌状態』へと磨き上げられていった。

「除菌完了です。続いて、北半球の環境に適応していただくため、こちらの衣服を着用してください」

 手渡されたのは、北半球の最新バイオ繊維で作られたという、真っ白なシャツとスラックスだった。

 タケルが袖を通すと、サイズ自体はぴったり合っているのに、生地が異常なほど薄くて柔らかかった。まるで皮膚にもう一枚の層を重ねたように肌にピッタリと密着するのだ。

「なんか、これ……すげえピチピチなんですけど」

 タケルが腕を動かすと、バイオ繊維が筋肉の動きに合わせて伸縮し、彼のタフな上腕二頭筋や大胸筋のシルエットが、裸の時よりもむしろくっきりと浮き彫りになってしまった。

「す、素晴らしいです……」

「バイオ繊維が、男の人の隆起した筋肉をあんなに生々しくトレースするなんて……っ」

 女性職員たちは口元を押さえ、熱い視線をタケルの胸板に釘付けにしている。彼女たちの目には、タケルの存在そのものが動く芸術品のように映っているらしかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ