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子栗鼠の生徒

栗鼠のように頬を膨らませチーズを食べる愛らしい姿。

顔についた蜂蜜を拭いてあげるとニコニコとお礼を言い、また頬張るノア君に、救われた気になったといえば大袈裟でしょうか。


◇◇◇


「ゲー!お前そんな気持ちワリーモン食ってんのかよ!」


そう言われたのは10歳の頃、近所のガキ大将からでした。

普段からヒョロヒョロ、ガリ勉と言われていましたが、それに関しては事実だっただけに特に気にしたことはありませんでした。

ですが、好物であるチーズの蜂蜜がけを気持ち悪いと言われたことには、傷つきました。

その言葉は小さなトゲのように自分の中に残りました。

今では面と向かってそれを言う人間はいません。

しかし嫌そうな表情を向けられたり、遠巻きにヒソヒソと話されることは少なくありません。

もう慣れたもので、傷つくことはありません。とはいえやや辟易としていました。

そんなある日、隊長が保護した幼児、ノア君と過ごすことになりました。

舌足らずに話すノア君は驚いたことに文字を理解しているようでした。

ですが小さな手では書くことは難しいようです。

なので字の練習を提案してその日は過ごしました。

懸命に書き取りを続けるノア君の集中力には驚かされましたが、やはり小さな子供ですね、昼食を食べて程なく、ことりと眠ってしまいました。

おやつの時間と言われるようになった午後の休憩時間に出てきた今日のお茶請けは、チーズとナッツの盛り合わせでした。

好物のチーズが出てきたことに口角が上がるのが自分でも分かります。

簡易キッチンの棚に置いてある蜂蜜を持ってきていつも通りチーズにかけて味わっていると、ノア君の視線に気づきました。

ああ、迂闊でした。ため息をこらえていると、自分も食べたい、と言われました。

そんなことを言われたのは初めてです。

それがどれほど嬉しかったことか、きっと誰にも分からないでしょう。

自分の物と同じように、チーズに蜂蜜をかけてあげると、それは美味しそうに食べてくれました。

満面の笑みを浮かべはしゃぐノア君の姿に癒されると同時に私は救われたような気になったのです。

さらに後日、ノア君は私のためにと、チーズケーキという新しいスイーツを作ってくれました。

まさに至高のスイーツでした。

しかし、それを味わうことが出来ない所員が何人かいたようです。

不思議そうなノア君を見て、思わず声を出して笑ってしまいました。

エリックさん視点のお話でした。楽しんでいただけましたでしょうか

今日も来て下さる皆様に感謝します。ありがとうございます

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