第92話:そしてテスト終わり
「はい。そこまで」
壱岐尾先生がそう言って、最後のテストが終わった。俺は吐息をついてテストの出来を想い馳せる。一応分からない問題はそんなになかったし。
「どうだった?」
隣のキラに聞いてみる。
「…………思ったより解けた」
本人が一番驚いているらしい。まぁいうて勉強会をしていた時も理解は進んでいたから、こうなるだろうなとは俺なんかは思っていたのだが。
「でも疲れた」
頭を使ったのだ。脳が糖分を欲しているのだろう。
「じゃあ甘いものでも食べに行くか?」
「メガフロートの方にパフェ専門店が出来たからそこに行こう」
そんなものが出来たのか。経済的な広がりについてはさすがに皇帝と言えど把握していないんだよなー。そもそも核融合炉心以外に興味ないし。イイトのトンネル効果アルゴリズムも目途が立ってきているし。あと三週間もあれば夏休みに突入。やることは色々ある。
「じゃあパフェ専門店に行こ?」
「……旦那様」
「オワル」
左隣と後ろの席の二人がソレを聞き逃すはずもなく。三美姫は俺と一緒にパフェ専門店に。と思っていたのだが。
「キラ。どこ行くの?」
さらに美姫が加わった。須久留ミズキ。これで四美姫。一人の冴えない男子に学園の四美姫が囲んでいるのだ。噂になるのもしょうがないと言えばしょうがない。
「パフェ専門店。ミズキも行く? 今なら奢っちゃうぞ」
「本当!? じゃあ是非行く!」
そうして五人でパフェ専門店に行くことに。キラは堕星少女スタッブスター。ミズキはスクール水着仮面二号。そのことを知っているクラスメイトは二人が仲良くなるのは自然と見ているらしい。多分この五人で一番の異物は俺だと思う。
「テストどうだった?」
ミズキが聞く。
「そこそこ」
と俺。
「まぁまぁ」
とキラ。
「……まぁ努力した程度には」
とキワミ。
「赤点は有り得んな」
とマスラオ。ちなみにだが、キワミとマスラオは謙遜している。この二人は学年でもトップクラスだ。
「どうせ一位はオワルだろうけど」
中間テストでは俺が学年一位だったしな。勉強はできるのだ。じゃなきゃブローギアなんて作れないって。まぁ九割五分はコネクトーン・ネクサスのおかげだが。
「そういうミズキは?」
「ま、まぁ赤点は回避できると思う……多分……」
思ったより自信がないらしい。綺麗な赤い髪をしていて知的に見えるが、中々苦労をしているらしい。
「ま、留年はしないようにな」
「そ、それは大丈夫……」
なんなら今度からミズキも勉強会に誘うか? 別に人数が増えてもあんまり意味無いし。ただし俺の家では無理になるが。ドレスティック・インバータの指定場所に選ばれているんでな。
「でも頭を使った後のパフェは最高だね」
「わかるわー。マジわかるわー」
で、ミズキとキラは美味しそうにパフェを食べていた。頭がいいから糖分を使うとか、赤点だから糖分を使わないとか、そんな簡単な世界だったら人間ももっと生きやすいんだろうけどさ。
俺はチーズケーキを食べながら苦笑した。今日のここの支払いはキラが担当する。キワミとマスラオは同じくらい金持ってるがはした金すぎて支払いを別々にするのも面倒だとのこと。気持ちはわからんじゃないが。
「ちなみに遠藤はキラのヒモ?」
「間違ってはいないぞ」
「うわぁ」
いや、俺が強制しているんじゃないんだが。それを言っても詮方無きか。
「夏休みは何する?」
トンネル効果の検証と炉心の独立かとエンドレース株式会社の利益算出と。
「キャンプ行こうぜ!」
「私は海に行きたい」
「……バーベキューもいいですね」
バーゴストライクの三人は普通の夏休みを過ごしたいらしい。どうせメターマンの駆逐もするんだろうけど。
「ミズキは?」
「スクール水着仮面の仕事があるから」
「まぁまぁ。ソレは空間転移で行けるでしょ? 夏休みはそれはそれとして楽しまない?」
いい考えだとは俺も思う。
「っていうか、米国の方をどうにかしてよ。キラ」
「と、言われても出動命令出てないし」
「変身自体は出来るんでしょ?」
「まぁ」
「じゃあボランティアで」
「絶対ヤ♪」
ニッコリと微笑んで残酷にキラは微笑む。
「少なくとも国際魔法少女基金に出動命令を出されない限り、私は動く気は無いよ」
ミズキは知らないだろうが、キワミとマスラオもバーゴストライクだ。そして二人ともキラと意見を共にしている。
「私一人だと手が回らないんだけど」
「頑張ってねー」
「いくらだったら動くの?」
「さあ? 国際魔法少女基金の動きについては私も知らないし」
ちなみに百億ドルで魔法少女を一人派遣するとは言っている。日本円で一兆円程度。今までは十億円程度で動いていたが、徹底的に非難された国際魔法少女基金は全力で足元を見ることにしたらしい。おかげで米国は都市部が崩壊して、死者も出て、今の政権はもう次の選挙に勝てる見込みはないらしい。
次の選挙に向けて大統領の席を狙っている政治家は、
「再びアメリカをバーゴストライクの庇護下に置くことを約束する。そのためならジャパニーズハラキリも厭わない」
とアメリカ国民を扇動していたりする。まぁやれるものならやってみろと言いたいが。
「うーん。パフェ美味しい」
「だよねー。疲れた時はパフェだよねー」
「……美味しいけどさ」
「さすが専門店だから底の底まで妥協無しだな」
四美姫はご満悦らしい。特にマスラオはパフェの底がコーンフレークでお茶を濁されると微妙な気持ちになるとのこと。俺はチーズケーキを食って、紅茶を飲んでいるだけだ。別にパフェを食ってもいいんだが、今日はキレイさんの手料理が待っているので腹をすかせた方がお得なのだ。ちなみにカレイの煮つけ。超絶楽しみ。
「オワルもパフェ頼んでいいよ?」
「遠慮してるわけじゃねーよ。腹は空かせておきたいの」
「香鳴さん家……」
「然りだな」
キラたちに奢ってもらう高級料理も美味しいが、キレイさんの手作りは至高の域だ。




