第84話:エロコメディを好む者
「よっす。キワミ」
下校中。珍しく一人だったので俺は本屋に立ち寄ってラノベコーナーに行ったのだが、そこで二江キワミを発見してしまった。そうして彼女が手に取っている本を見るとエッチな女の子が表紙になっているタイトルからしてエッチな雰囲気が漂うエロコメディ。
「やっぱりそういうの読むのな」
「……エッチは人類の文化だよ」
「俺としてるだろ?」
「……ヒロインが淫らに乱れているのを妄想するのは……旦那様とのそれとは話題が違います」
「キワミはドスケベだな」
「……えへへ」
言っておくが褒めてないからな?
「……旦那様も本を買いに来たの?」
「まぁラノベ専門だが」
ご高尚な文学とか読んでいると五分で寝る。そもそもエンタメ性のない作品ってどうして出版されるんだ? と思っている酸いも甘いもわからない少年の俺だった。
「……じゃあこれおススメだよ」
と渡されたのは『オタクに厳しいはずのギャルが何故か俺にだけ甘い件』というタイトルのソレ。
「……ヒロインのギャルがエッチでエッチで♡」
うっとりとトリップしているところ悪いが。
「読んだのか?」
「……ロリコンロンリー理論先生は神だよ」
そのペンネームを聞くだけで通報したくなる俺が間違ってんのか?
「……とにかく一巻だけでも読んでよ。……面白くなかったら二巻は買わなくていいから」
「じゃあそうするか」
布教活動に賛成するのもある意味ではヒロインに対するご褒美。
「……それじゃあ私の家に行きましょう」
「そういやキワミの家って知らないな」
いつもレストランで食事取ってるし。お義父様も一緒することが多い。
「……メガフロートの高層マンションだよ」
「ふーん」
そうして旅の道連れに本を買って、そのままキワミについて行って彼女の家まで案内される。相手はもちろんドレスティック・インバータがあるので俺の家については熟知しているのだが。
「……じゃあくつろいでね。……お茶は何がいい? ……色々あるけど」
「じゃあほうじ茶で」
高層マンションの最上階。そこにあった広い部屋の豪奢な建物で。親子で住んでもまだ広いというべき住居空間。3LDKとかそんなレベルですらない。
「こんな贅沢な家に住んでんの?」
「……マンションを三部屋ほど買って壁をぶち抜いたの。……だから一般的なマンションの部屋より三倍広い空間ってわけ」
キッチンはもちろん一つしかないが、風呂は二つ、トイレは三つある。父親がエンドレース株式会社の課長なので稼いでいるだろなとは思っていたが、まさかこれほど。まぁその社長が何言ってんだって話ではあるが。俺もマンション買ってみようかなー。
「……じゃあさらに隣のマンションの部屋を買うよ。……旦那様の秘密基地にするといいんじゃない?」
「買うのはいいけどさ」
「……お金は出すから安心して。……じゃあ管理人に電話しよっか」
普通こういう場合ってお金持ちのおっさんが女子高生にマンションの部屋を買ってやるもんじゃねーの? なんで俺は女子高生に高級マンションを一室プレゼントされているわけ?
「……じゃあ本を読もう」
そういうわけでキワミの私室で本を読むことに。冷えたほうじ茶を飲みながら『オタクに厳しいはずのギャルが何故か俺にだけ甘い件』を読んでいたが、ヒロインのギャルが陰キャにメロメロな、とっても砂糖を吐ける内容のラブコメだった。ビーチクこそ出ていないが挿絵もおっぱいがいっぱい。これは立つな。
「……ヒロイン……エッチで可愛いでしょ?」
「エッチすぎやしませんかね」
「……最近のラブコメはエロ基本だから」
「キワミの大好きな?」
「……僕の大好きな♡」
トロンとした瞳でキワミは俺を見る。性的に発情しているらしい。
「……旦那様」
「責任は取らんぞ?」
「……大丈夫。……幸せ家族計画があるから」
準備万端かよ。
「……それにほら……ボクおっぱい大きいでしょ?」
まぁそりゃなぁ。ねえ?
「……実はまだ大きくなり続けていたり」
「マジ?」
「……ブラジャーがどんどんキツくなって困るんだよ」
巨乳の悩みという奴だ。
「……旦那様……揉みたくない?」
超揉みたい。
「……全部旦那様のモノだから」
俺にすり寄ってキスをしてくる。そうしてそのままキスをした状況で押し倒され、俺の背中にはベッドがあった。
「大丈夫か?」
「……ボクは何時でもおk」
さいですか。
「……旦那様は……ダメ?」
「ダメではないんだが。親が帰ってきたら気まずいレベルを超えるぞ?」
「……お父さんは会社勤めだし」
「母親は?」
「……気づいたらいなくなってた」
そりゃすまん。プライベートに足を突っ込んでしまった。
「……別にいいけど……じゃあお詫びにセクロスしよう……は通じる?」
「別に脅さなくてもお前とならウェルカムだぞ」
「……バーゴストライクには全員言ってるでしょ」
「もちろん」
誰一人として嫌いな奴がいない。箱推しともまた違うが。全員がオンリーワンでナンバーワン。
「……旦那様の浮気者♡」
嬉しそうにそう言って、キワミはキスをしてくる。
「……でも今だけはボクを見て?」
「そりゃもちろん」
ここでそういうことをするってことは、この部屋でキワミは俺を独占することで。
「……マンションを買うのは数日待ってね」
あ、そっちもガチなのね。
「……別荘兼隠れ家みたいな感じで使っていいから」
「じゃあ本の倉庫代わりにするよ」
「……いいね。……一緒に本を読もうね」
それだけで済むとは思えんのだが。
「……当然♡ ……旦那様は魅力的だから」
「どうせなら究極少女アルテミストとしたいかも」
「おkおk」
そうしてキワミはブローギアを召喚した。
うーん。デリシャス。




