第75話:テスタロッサ
「ほー。いい景色だな」
アメリカのまっすぐ伸びる道。そこを壱岐尾先生のテスタロッサが走っていた。俺は助手席に座って、どこまでも続く岩波を見つめて、平らで真っ直ぐな道を走るテスタロッサに感動していた。壱岐尾先生が高級車好きだということは知っていたが、まぁあんだけ稼げば好きな車の十台や二十台買えるだろう。管理が面倒ということで、五台以上は買わないようにしているらしいが。日本だと車検もあるしな。これは金の問題ではなく大事に出来ない車を車庫にいれることに壱岐尾先生が忌避しているが故。
「専門の管理職を雇えばいいのでは?」と提案すると、「その手がありましたか」とも返ってきた。あとはディーラーとかに車を預けて管理してもらい、運転したい時だけ返してもらうとか。
「にしてもなーんにもないのな」
「そもそも日本の方がゴチャゴチャしすぎなんですよ。地平線が見えない国なんてそうありません」
まぁそれも事実だろうけど。
「こういうドライブもいいでしょう?」
「そうだな。免許を取ったら俺も車買うかー」
「あ、その時は先生に言ってくださいね。何でも買ってあげますから。もちろん車両保険も先生の名義でいいですよ?」
俺をどこまで甘やかす気だ。
「先生のご主人様ですから。生徒のエッチな命令に逆らうことができない……逆らう気も起こさないエッチな聖職者ですから♡」
まぁそのことに否定の挟みようも無いのだが。
「対向車も来ないな」
「そうですね。ここなら人目に付かないと思いませんか?」
えーと。それは。
「ご主人様が焦らすので、先生のアソコがもう蒸れちゃって」
きっと脇とか太ももとか、そこら辺のことを言っているんだろうけど。
「ご主人様ぁ♡」
どこまでも伸びる不毛の地に伸びる道路。その隅にテスタロッサを止めて、壱岐尾先生は俺に抱き着いてきた。
「ん♡ ちゅ♡」
そうして教師が生徒にキスをしてきて、そのまま衣服越しに俺の手をHカップのおっぱいへと導く。
「ドスケベだな」
「ご主人様の調教のおかげです♡」
そういうことをした覚えも無いのだが。
「テスタロッサの車内が汚れるぞ」
「そこは専門の業者に洗浄を頼むので問題ありません」
全ての条件は整った。
「じゃあ脱げ。生徒の俺の前で教師が全ラになれ」
「はい♡ ご主人様♡」
そうして恥ずかしそうに躊躇いながら、それも矛盾するように嬉しそうに服をはだけていく壱岐尾先生。うーん。教師とアメリカの不毛の地でセクロス。こういうこともあるんだなー。
「じゃあまずは車外で――――しろ」
「そんな♡ ご主人様の鬼畜♡」
「出来ないのか? ご主人様に逆らうのか?」
「そんなことありません♡ 喜んでさせていただきます♡」
そうして女性として終わっていることをさせて、その無様さに満足すると、御褒美として俺のアレを壱岐尾先生にプレゼントする。
「ご主人様の……大きい♡」
「バーゴストライクには好評だよな。これ」
「とっても気持ちいいです♡」
まぁ大きさについてはベテランのキレイさんのお墨付きだから、そこそこの大きさはあるんだろうけど。
「あ♡ はぁ♡ 素敵です♡ ご主人様ぁ♡」
一応幸せ家族計画はつけているからな?
「にしてもデカ乳だよなー」
「全部ご主人様のモノですよ♡」
「出るようになったら言えよ?」
「オリジナルカフェオレでも淹れますか?」
一応乳って血液なんだよな? 牛乳然り。アレ然り。
「ふい」
そうして一勝負終わって、社内にそういう匂いが充満して。消臭スプレーで匂いを消して。またドライブに戻る。
「どうせだからシカゴピザでも食べていきますか?」
「太るぞ?」
「大丈夫です。何故か先生が油を取るとおっぱいとお尻に肉が行きますので」
世界中の女性を敵に回しそうなことを平然と言ってのける。
「まぁじゃあ食っていくか。俺は別に構わんし」
どうせブローギアによるWARPドライバもあることだし。俺は単体で使えるが、今のところ、それをバーゴストライクに暴露する気は無い。そうしてシカゴに跳んで、テスタロッサで街中を横断。治安が日本ほど良くないとはいえ、そこは俺がいるので問題あるまい。テスタロッサを盗もうとする輩がいれば、地平の果てまでWARPドライバで放逐してやる。で、本場のシカゴピザを注文して、出て来たピザとも呼べない何かに俺はちょと引く。一応先にシカゴピザがどういうものなのかは調べていたのでアメリカで言う一人分を壱岐尾先生と二人で分けることにしたのだが、それはそれで正解だったらしい。
「美味しいですけど、胸やけがしますね」
「分かる。チーズと生地がとにかく主張しすぎる」
脂分と塩分は美味しいとは言うが、それにしてもこれはやりすぎだ。
「ご主人様。この後どうします?」
「無雲帝国に帰る」
「えー」
「壱岐尾先生も酒を飲みたいだろ?」
「それはそうですけど。お付き合いくださりますか?」
「俺が飲まなくてもいいならな」
まぁ飲酒は二十歳からだしな。
「じゃあ酔った先生を介抱してくださいね♡」
「酔っている先生を好き勝手していいって事か?」
「もちろん♡」
「了解。じゃあ家に帰るか」
ちなみにテスタロッサを盗もうとして空間的に放逐された人間は二人だった。バカな真似をしたものだが、同情する気すら失せる。
「じゃあ乾杯」
で、テスタロッサを車庫に入れて、そのまま俺は壱岐尾先生の自宅に招かれた。酒瓶が並んでいて、今日の先生の気分はスコッチらしい。
「うーん♪ 美味しい」
俺はアップルジュースを飲んでいた。
「ご主人様が成人したら一緒に飲みましょうね♡」
「そうだな。その時は最高の酒を頼む」
「ロマネコンティ?」
「いや、金額の話じゃない。そもそも酒の美味さは値段と比例するのか?」
「それは……確かにそうですね」
「なわけで壱岐尾先生のオススメの酒を教えてくれ」
「わかりました。あとぉ、それとぉ……二人きりの時はメスブタって呼んでくれませんか?」
それもご主人様の義務か。
「ドマゾメスブタ奴隷?」
「ぁん♡ はい♡ 先生はご主人様のドマゾメスブタ奴隷ですぅ♡」
本当にそれでいいのか?




